小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

「スマホ料金値下げで国民の負担が4300億円減った」というのは本当か?

2021.07.24

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は総務省と消費者庁が公表した携帯電話料金値下げによる国民負担の軽減効果について話し合っていきます。

※新型コロナウイルス対策を行っております

新プラン契約が1500万以上、軽減効果4300億円の意味

房野氏:6月29日に総務省と消費者庁が会合を開き、携帯電話料金値下げによる国民負担の軽減効果が4300億円に上ったとする試算を公表しました。

房野氏

石川氏:今日(2021年6月29日)、武田良太総務大臣と井上信治消費者長官の共同会見があって発表されたもので、その情報のソースをあたっているんですけど……

武田良太総務大臣

石川氏

石野氏:NHKほか、各社からニュースが出ていましたよね。

石野氏

石川氏:記事の内容は誤解を招くと思う。春から始めた新料金プランの契約数がすでに1500万件を超えているという書き方をしている。ahamo、povo、LINEMOで1500万契約以上と読めて、それはおかしいんですよ。

石野氏:1500万はないですよね。

法林氏:あるわけない。

法林氏

石川氏:総務省の資料では、1500万契約は大手キャリアとMVNO両方の新料金プランの契約数を足したもので、それによって4300億円くらいの負担軽減効果があるという内容になっているんですが、記事をさらっと読むとahamo、povo、LINEMOで1500万契約、4300億円の軽減効果と誤解してしまう。そもそもKDDIとソフトバンクは、年間600億円から700億円くらいの減収要因、ドコモは色々足して100億円くらいの減収と言っている。仮にドコモが700億円減収と計算しても、3社で2000億円超えくらいなので、計算が合わない。新聞、テレビはもっと突っ込まないのかなと思った。

法林氏:新聞やテレビが疑問に思わずに、普通に報道しているとしたら問題。新プラン移行が1570万と言っているけど、ドコモはつい先日「100万契約を突破」と発表したばかり、KDDIは「100万契約が見えてきた」と言っているわけでしょ。

石川氏:まだ「見えてきた」だけ。

法林氏:3社足しても300万契約行くかな、みたいな世界でしかない。だからあの数字はMVNOの新プランの契約者数も含んでいる。

石野氏:あと、全員が全員、新料金プランになって安くなっているとは限らない。たくさん使いたいから容量を増やす人もいるわけで。まぁ、大本営発表ですよね。でも、それで成果が出たってことで……「終わりましたよ」というアピールだったら、いいんじゃないですかね(笑)

法林氏:まだほかにもやると言っているので、終わりとはならないでしょ。少し脱線すると、経済産業省の若いキャリア官僚2人が「家賃支援給付金」をだまし取った話がありましたね。政府がやっていることをチェックするのがメディアの仕事だと思う。それが通信行政についてはあまりできていない。大手メディアは、大本営発表をそのまま受けて報道するのではなく、それが本当にいいことなのか、悪いことなのか、きちんと検証して報道してほしい。

 また、メールアドレス(キャリアメール)持ち運びについて、武田大臣の発言では、持ち運びできないことで乗り換えをためらう人が一定数いるということでした。一定数って何なんだろうと思ったら、総務省が去年の年末に5000人くらいにアンケートをとっていて、74%の人が持ち運びたいと言っているそうです。信じるべきなのかもしれないけど、「本当に?」ってちょっと思う。

石川氏:そりゃアンケートで聞かれたら「持ち運びたい」と答えるけど、キャリアを乗り換えたいと思った時の障壁がメールアドレスなのかといったら、そうではないと思うんです。それ以前に乗り換えのモチベーションがないので、そこを対処していく必要があるんじゃないかと思います。SIMロック解除もほぼされている状態だし、2年縛りもなくなりつつあるし、解除金も安くなっていて解約しやすい環境が整っている。賛否あると思いますが、ここで端末割引の規制がなくなれば、一気に盛り上がって契約者が増えるんじゃないか。楽天モバイルにもチャンスが回ってくるだろうし、競争が加速されるだろうけど、総務省は頑なに端末割引はやらないと言っているので、ずっとこの膠着状態が続くんだろうと思います。

石野氏:今、もっと割引ができるようになったら、すごいことになりそうですね。

石川氏:それでいいような気がするんだけど、ドコモに対して遠慮しているのかなって気がする。

法林氏:そんな中、ドコモはヨドバシカメラで2万5300円引きの「iPhone SE」を出していた。売っているのはドコモのiPhoneなのでSIMロックはかかっているけど、回線契約がなくてもいいんですよ。SIMロックも一括払いで買えば解除できる。ドコモのSIMロックがかかっていても、ドコモのネットワークを使っているMVNOのSIMで使えるはず。ちゃんとチェックはしていないけど。

「iPhone SE」

石野氏:ドコモは、“試して感”がありますよね。NTTレゾナントのgoo Simsellerで、SIMフリー端末とセットでドコモのSIMを選べるし。

MVNOの契約数は本当に減ったのか

房野氏:調査会社のMM総研が、独自サービス型SIM、いわゆる格安SIMの契約数が初めて前年比減になっているというレポートを出していますが、これについてはどう思いますか?

法林氏:一部では楽天モバイルの移行者が増えたからMVNOの売上が下がったといわれているけど、MVNOの楽天は100万契約も減っていない気がする。

石川氏:MM総研のデータはUQ mobileのカウントがなくなったからじゃないかと思います。

法林氏:その影響だろうと思う。実はオンラインプランにそんなにたくさん移行したわけではなくて、意外にユーザーは動かないままだと思うんですよ。

石野氏:UQ mobileはKDDIに事業統合されているので、その分がMVNOとしてのカウントがなくなった。当然、ahamoなどにユーザーが獲られたわけで、そりゃMVNOの契約数は減るわなと。

法林氏:でも、実際にはそんなに減っていないと思う。

石川氏:MVNOとサブブランドとオンラインプランを分ける意味がどこまであるのかよくわからない。安いプランとして一緒に見るのか、セグメントで分けるのかの違いだと思う。細かく見ると確かに色々増減はあるだろうけど、全体的にユーザーが安い料金プランに移行しているトレンドなのは間違いないと思います。

房野氏:MVNOの新プランの人気は実際のところどうなんですか?

石野氏:新プランについて色々なMVNOに話を聞いているんですが、各社とも契約数は増えているそうです。プラン料金が下がったのでARPUは下がるんですけど、その分コストも下がるので、売上は下がるけど利益は増す。なんですけど、大手のMVNOは規制に従って手数料無料とかにしちゃっている。mineoは転出している人の方が多く、純減になっているらしいです。

石川氏:ahamoが始まったので、今年の2月、3月は結構ヤバい数字だったという話。しかもMVNOに契約をしている人たちはフットワークが軽いというか、1度キャリアの移行を経験しているので改めて移行しやすいし、解除料もないし、SIMフリー端末も持っている。MVNOのユーザーは流動性が高いと思うんですよ。そういう人を相手にしていると厳しいんじゃないかなって気がする。

石野氏:IIJmioも、契約数は増えているんですが、ポートアウトがどれくらいあるかは言っていない。

法林氏:先日、HISモバイルの新プラン発表会があって、その時に「契約数は数万回線」と言っていた。商売としてはかなり厳しいと思った。

石川氏:しかも、新プランの「格安ステップ」は1GBの音声SIMが月額590円から。

法林氏:総務省の、MVNOの料金に対する評価軸は筋が良くないと思う。石川君が言ったように、キャリアごととかMVNO/MNOで分けるとかじゃなくて、例えば自分で設備を持っているMNOと持っていないMVNOの、単純に料金を回線数で割った平均値とかで比較して違いを見せてもいいんじゃないかと思うけど、そうなっていないので評価しにくい。武田大臣も「自分が契約している料金プランを見直して」と一生懸命言っているけれど、そんな簡単な話ではないということが未だに理解されていない。

石野氏:見直した結果、mineoからIIJmioに行くといった細かい変化にしかなっていない(笑)

法林氏:そういったユーザーを移行させても大勢に影響はない。それ以外のユーザーはそんなに簡単には動かない。実は、キャリアとの契約をやめてもdアカウントやau ID、Yahoo! IDはそのまま使えばいいわけで、何も困らない。

石川氏:ある意味、大手3キャリアのIDに縛られているというか、縛られた方が都合がいいところもある。業界視点や競争施策視点では「MVNOやMNPを盛り上げていこう」となるけど、ユーザー視点からしたら「UQ mobileかY!mobileでいいんじゃない?」みたいな感じになる。

iOS向けRakuten Linkの仕様変更の影響は?

石野氏:楽天モバイルはMVNOからユーザーを獲得している感じがする。Rakuten UN-LIMIT VIで1GB以下が0円になって、本当に安くしたい人は結構移行している。

石川氏:楽天モバイルにとどまるか、だよね。

石野氏:そうですね。ただ、1GB以下が0円の契約なので、使い続けるんじゃないですか。サブ回線として使っている人が移っているような気がしますけど。

石川氏:今はスマホへの依存度が上がっていることもあって、楽天モバイルにはがんばってもらいたい。

石野氏:回線の使用量を1GB以下にしたら0円になるか、自分の回線で試してみたんですけど、本当に1円も請求が来ない。いい会社だなって思いました(笑)

房野氏:6か月使わないと解約になるんでしたっけ。

法林氏:使えばいい。電源を入れて家に置きっぱなしでもいいわけですよ。

石野氏:毎月、数日は使いますよ(笑) Rakuten Linkで電話をかけると無料なので、かけ放題と考えればお得ですよ。

石川氏:総務省がやるべきことは、3キャリアが持っているプラチナバンドを一部、楽天モバイルに早く渡すこと。それまで3年くらいかかりそうだから、楽天モバイルにはその間がんばってくれって感じ。

「+メッセージ」がLINEの代わりになる?

石川氏:国民が安全安心で使えるメッセージサービスというと、一応「+メッセージ」がある。ここ10年、コミュニケーションの多くの場面でLINEが使われてきたけれど、ちょっと疲弊してきているというか……。メッセージングサービスは10年以上経つと代替わりすることがあって、例えばケータイではキャリアメールがたくさん使われていたけれど、スマホになってLINEが使われるようになった。LINEの次は何だろうというタイミングになっているような気もするので、+メッセージはもうちょっと頑張った方がいいんじゃないかなって気がします。

法林氏:キャリアメールの持ち運びは必要なのかという議論があるけれど、実はスマホ以外の端末で送受信は、すでにできる。ソフトバンクのMMSはちょっと面倒だけど、「S!メール(MMS)どこでもアクセス」という別途のサービスを用意しているくらいなので、仕組みとしてはできている。ドコモメールもauメールも、外から見られる環境ができている。ただ、ユーザーが外から送信することと、ユーザーじゃない人が外から送信することは、だいぶ意味が違う。ちょっとリスクがある。

石野氏:技術的にはできるんですけど、キャリア端末であらかじめ設定されたドコモメールやauメールを使うのと、MNPしてauでドコモメールを使えるようにするために、IDとパスワードを入れて、ポートとか、いろんな設定があるじゃないですか。「キャリアメールを持ち運べるのだったらMNPしたい」と言っている人がそういう設定をするとは、あまり思えないんですよ。

石川氏:ユーザー層が乖離している。キャリアメールに縛られているユーザーと、メールアカウントを使いこなせる人は明らかに別。そこをはき違えている感じがする。

石野氏:また、そのサポートは誰がやるんだって話になる。

法林氏:しかも、そのサポートをするためにお金がかかったとして、それは乗り換えない人が間接的に負担することになる。キャリアメールの状況とLINEが個人情報の取り扱いに関して叩かれている状況を考えると、石川君がさっき言ったように、+メッセージみたいな新しいサービスに置き換わっていく可能性はあると思う。ユーザー的にも「別にLINEじゃなくてよくない?」と思うこともある。いろんな企業と結びついた公式アカウントもたくさんあるので、LINEはLINEで使えばいいと思うんですよ。でも「別にLINEにいろんな情報を流さなくていいよね」ということが見えてきた気がする。「+メッセージを上手に使いましょう」ということもアリだと思う。

石野氏:+メッセージはさっきのRakuten Linkと同じで、iOS問題が結構きつい。iPhone、iPadだと使いにくいというか。やっぱりSMSと一体になっているからいいのであって。

法林氏:そうだよねぇ。僕は、+メッセージをMVNOに早く開放するべきだと思っている。SIMフリー端末でも、+メッセージのアプリを入れると、ちゃんとメッセージが見られるんですよ。モトローラの「razr 5G」にソフトバンクのSIMフリー端末用のSIMカードを入れて使ったんだけど、Yahoo! JAPAN IDと1対1で結びつくので、Yahoo!メールがバンバンMMSで飛んでくるんです。標準のアプリで見ると読めないんだけど、+メッセージアプリだと全部見られるようになるんです。そこはアプリの良さがある。MVNOに開放して、使う幅を広げてあげるといいなと思う。

razr 5G

房野氏:+メッセージってどこが中心になってやっているんですか?

石野氏:一応、大手3キャリアでやることを決めたんですけど、KDDIが積極的。

法林氏:ソフトバンクは仕組みがちょっと違うので、そこは可哀想なんだけど。海外と日本の携帯電話システムを比べた時に、海外とちょっとズレているのがキャリアメール。海外のほとんどはSMS/MMSでずっとやってきた。日本は「昔、ショートメッセージを送っていたね」くらいのところで止まっている。iモードメールの良さはあったけど、その反動として進化の遅れがある。グローバルに合わせていくというなら、SMSをベースにした+メッセージを開放して、どこでも使えるようにする方がいい。

石野氏:ソフトバンクは3キャリア中、MMSを入れている唯一のキャリアで、一番移行しやすいはずだった。ただ、ソフトバンクはそこにメールアドレスを紐付けて、アプリをまるっと置き換える方向に出たため、最初に一番混乱してしまった。

石川氏:iPhoneを導入した時に、キャリアメールを使えるようにしなきゃ、みたいな時期があって。

法林氏:そういういろんな歴史的経緯がある。キャリアメールが使えないからというので始めた「Eメール(i)」が、先日、今さらながら障害が発生したり。

石川氏:止まったことに気がつくんだと。

房野氏:使っている人がちゃんといたんですね。

法林氏:一時期、Eメール(i)で発信される迷惑メールがひどかったことがあった。でも、Eメール(i)の受信を全部拒否したら、パタッと迷惑メールが止まった。これはキャリアメールのオープン化にも関わること。キャリアメールがオープン化されると、それを踏み台にして迷惑メールを送ってくるケースもあると思う。だから対策をしなくてはいけないんだけど、そうまでしてやる価値があるのかとも感じるところですね。

......続く!

次回は、MWC2021について会議する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/房野麻子

興味のあるジャンルを登録して@DIMEをもっと便利に!話題のコーヒーメーカー「BALMUDA The Brew」やAmazonギフト券が当たるキャンペーン実施中

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2021年11月16日(火) 発売

DIME最新号の特別付録は「自撮り棒一体型スマホ三脚」! 特集は「今聴くべき、ラジオと音声コンテンツ」、「家電進化論2022」

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。