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歯科医が解説!今われわれができる感染予防は「唾液の質を上げる」こと

2021.07.23

 新型コロナウイルスは未知のウイルスですが、これまでに知られていたコロナウイルス4種は風邪を引き起こすウイルスで、通常は風邪の10~15%、流行期では35%の原因となります。そして過去に、この4種のコロナウイルスに感染したときの免疫が記憶として残り、新型コロナウイルスに対しても抵抗性を示すことがわかっています。

 つまり唾液の中に新型コロナウイルスと類似した免疫があれば、抗感染力が上がり、感染予防につながると考えられているのです。しかし、コロナウイルスに対する免疫がなくても、自分で唾液の質を上げることで免疫力を高め、感染予防ができる裏ワザを解説します。新型コロナウイルス感染患者の主流が高齢者から20~30歳代に移行している中、若者は必見です。

様々な役割をもつ唾液

 唾液のほとんどが耳下腺・顎下腺・舌下腺の3大唾液腺からの分泌であり、1日に約1.5Lが分泌されます。そのうち99.5%が水分で、残りのわずかな成分0.5%に多彩な機能を持った無機成分(カルシウム、リン酸、ナトリウム、重炭酸塩など)と有機成分(IgA、ラクトフェリン、リゾチーム、ムチン、アミラーゼなど)が含まれています。

 唾液には体の状態が反映される側面があり、変動が大きく、個人差も大きいのです。病気の早期発見や診断に唾液が使用されるものそのためです。唾液には大きく分けて6つの機能があります。

1.自浄作用:歯の表面や歯の間についた歯垢(プラーク)や食べカスを洗い流す作用

2.石灰化促進作用:歯の表面を覆うエナメル質のダメージを修復する作用

3.緩衝作用:食事で歯が弱くなる環境(=酸性)を元の安定した環境(=中性)に戻す作用

4.消化作用:食べものを分解して体内に吸収しやすくする作用

5.細胞活性作用:細胞を元気にして傷ついた細胞を治す作用

6.抗感染作用:ウイルスや細菌が体内に入り悪い状態や病気にならないようにする作用

 例えば、動物は傷を舐めて治そうとしますが、それは唾液中に抗菌物質や成長因子を含んでいるからです。唾液の機能の中で感染対策として注目されているのが、6の抗菌作用です。唾液中には、体外から侵入して来た細菌やウイルスなどの病原体から体を守るタンパクがあり、免疫グロブリンと呼ばれます。

 この免疫グロブリンは5種類(IgA:約6割、IgG:約3割、IgM:1割弱、IgD・IgE:微量)から成り、IgGやIgMは病原体が体内に入ってから初めて働き出すのに対し、IgAは病原体が体内に入る前から働きます。まるで勇敢なソルジャー(戦士)のような「感染予防の砦」なのです。またIgMやIgGは決まった病原体にしか反応しないのですが、IgAはさまざまな種類に果敢に立ち向かう性質も、感染予防に大きく貢献しています。

ヨーグルトが唾液の質を向上させる

 2010年、日本の研究でヨーグルトが唾液中のIgAに影響を与えることが発見されました。免疫が低下した高齢者に対し1日1回100gの乳酸菌1073R-1株を使用したヨーグルトを、12週間摂取してもらいました。するとその菌株を使用していないヨーグルトを同様に食べていた人たちより、唾液中IgAが有意に高くなりました。

 摂取開始後4週から両方のヨーグルトを食べた人のIgAは多くなったのですが、8週後では乳酸菌1073R-1株のヨーグルトを食べた人たちの方が入っていないヨーグルトを食べた人たちより約1.3倍多くなり、それは12週後でも同様に1.3倍のままでした。

 この結果、唾液中のIgAが増えることによって風邪のコロナウイルスだけでなく、インフルエンザウイルスにも抵抗力が大きくなることが証明されました。この効果は、細菌叢(さいきんそう、細菌の集団)のバランス改善によって、健康に好影響を与える腸内細菌が活性化したことが要因です。

唾液と腸の相関性

 多くのウイルスや細菌などの病原体が口や鼻から体内に侵入し、腸に達します。腸は体内にありながら外と直結していることから「内なる外」とよばれますが、身体を守るために腸には免疫細胞が70%と多く存在し、これを「腸管免疫」と呼びます。そして腸管免疫が高まると唾液中のIgAが増える相関がわかりました。

 ある粘膜が病原体にさらされると、離れた別の粘膜においてもIgAの量が増えて免疫力を上げる身体の仕組みが「共通粘膜免疫システム」なのですが、一見すると関係のない腸と唾液腺にも、粘膜免疫の連動があるのです。

 よく噛むことが健康に大切と言われますが、IgAを増やすことにもなります。よく噛むと唾液腺が刺激され、唾液の量が増えることが知られていましたが、昨年12月には、ガムを5分間噛むだけでIgAの量が一気に倍増するとの研究結果も発表されました。
 
 また、自律神経により唾液の分泌は調整されます。軽めの運動はストレスを軽減させIgAを増加させますので、ウォーキングのような軽い有酸素運動は有効です。しかし筋トレなど激しい運動は、帰ってストレスになりIgAを減少させますから注意しましょう。

 気をつけたいのは唾液の分泌を少なくする行動です。血管収縮作用がある喫煙のほか、マスク生活もその1つです。マスクをつけていると、鼻で息をするのが苦しくなり、口で息をしがちで、口の中が乾燥します。こまめに水分補給して、口の中を潤し、体の水分量を保ってください。特にこれから暑くなる季節には気をつけましょう。

 また、口の中が汚れていると、その病原体にIgAが反応してしまい、外敵のウイルスや細菌に抵抗する力が落ちてしまいます。歯磨き・舌磨きはIgAを増やして機能させる基本ですから、お忘れなく。セルフケアだけでは落とせない口の中の細菌は、腸内細菌を乱し全身に悪影響を与えることが知られています。定期的にかかりつけ歯科医で、口腔ケアをしっかりと受けてください。

腸能力は感染予防と幸せ感アップ

 実は腸が脳に支配されていることをご存知でしょうか。脳は幸せホルモンを分泌し、人に多幸感を与えますが、脳から腸への副交換神経の情報伝達量は10%なのに対し、腸から脳へは90%にもなります。そのため、腸内細菌を健康に保つと脳は安定し、幸せホルモンである「ドーパミン」「セロトニン」「オキシトシン」が分泌されやすくなるのです。 ‘健口’は“腸能力”を向上させ、そして幸せ感までもアップさせてくれます。

 われわれ日本人の腸は世界で稀に見る良い細菌叢を持っていると言われています。他の国や地域と比べ、善玉菌が豊富にいて悪玉菌が少ないのです。恵まれた体質なので、これを有効に活用して感染予防したいですね。

文/宮本日出(歯科医)

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