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経営者に求められるSDGs時代の理念とは?ブレない会社の存続に不可欠な3つの視点

2021.07.18

非本質的な問題ではなく、真の「課題」に目を向ける

今、SDGsやVUCAの時代だといわれます。まさに社会の変革期です。そうした時代に会社がブレずに存続していく上で、大切にしたいことが3つあります。ひとつは、問題ではなく課題に目を向けること。2つめは、部分ではなく全体をとらえること。そして、最後に「矛盾なき両立」という選択をする、ということです。

順番に見ていきましょう。ひとつ目は「課題」と「問題」の違いに気づくことです。実は多くの会社が問題視していることは、本質的な問題ではなく、非本質的な問題であり、それに気づかずに頭を悩ませているから経営者の意思決定がブレていくのです。

「課題」とは、理想と現実のギャップであり、本来あるべき姿や目標に向けて、取り組むべき「本質的な問題」と言えます。一方で、社内で起きるほとんどの問題は、「非本質的な問題」であることがほとんどで、それに振り回させて、忙しくしているが、目標としているゴールに近づいていない、ということがよくあります。

例えば、「社員の離職率が高い」というのは、本質的な問題ではありません。もちろん、離職率を下げたい、と目標を定めている会社にとっては、それは「課題」となり得ますが、ここで考えて頂きていのが、理想とする社員がそもそも採用できているのかどうか、会社にマッチしていない社員が入社していないか、理想とする人事制度が確立しているのか、など、本質的な「理想と現実のギャップ」に目を向けない限り、本質的な問題となる「課題」の解決に取り組むことができていない、といったことが良く起きています。

そもそも、「理想」の言語化ができていない限り、社内は問題に振り回され、ブレ続ける運命にあります。なぜなら、問題というものは、は外部環境、内部環境の変化に伴い常に起きる流動的なものだからです。一方で、課題の解決に取り組むのは、「理想」となるゴール、つまり目的や目標となる軸があるため、ブレない意思決定を行うことが可能となります。

また、どのレベルまでやろうとしているのか、離職率ゼロを目指すのか、今より〇%の改善を目指すのか、この現状とのギャップが明確に認識されることによって、「課題」に取り組む方針がより明確になりやすいことでしょう。先行きの見通しづらい現代においては、極めて重要な視点と言えます。

部分に捉われるのではなく、全体を見る

売上や粗利、営業利益、純資産などの各種の経営数字について、経営管理や財務の数字を軽視したために苦境に陥る会社の事例は枚挙にいとまがないほどです。一方で、数字ばかりを重視しすぎたために罠に陥ってしまう会社があるのも事実です。

数字などの目標によって社員を管理する方法はMBO(Management by Objectives)と呼ばれ、20世紀後半以降、日本でもずいぶん取り入れられました。しかし、この方法だと、部門ごとの数字さえ達成できればよく、例えば製造部門が顧客や営業の声を反映せず、良い品質の商品を作っていればいい、ということになってしまいます。

そこで、「全体を有機的なものとして捉える最適化の概念が必要だ」「全体をシステムとして捉えることなしに部分的な目標を達成することだけをめざしてはいけない」と説いたのが、エドワーズ・デミング博士です。品質管理や最適化の概念を日本の製造業に広めた人物で、彼の名を冠した「デミング賞」なら知っている方も多いのではないでしょうか。

全体への理解が欠如した営業活動、生産活動によって部分最適のみを追うということは、人間の体で例えると、手の役割だけを重視したために、体全体としての運動機能性が下がってしまう、ということと同じです。

実際、MBO を取り入れていない企業の方が、結果的に利益が高かったという調査データもあります。今回の3つの視点のふたつ目は、「部分ではなく全体をとらえる」という視点です。

多くの会社経営において「全体をとらえる」ということがないため、組織のひとりひとりが部分最適に走ります。さらには、全体に対する責任を負う、という意識が希薄になります。もちろん、各自の責任範囲の明確化は必要なことです。が、この「部分最適」によって、自分の数字だけやればいいという意識や、他人への無関心、無責状態、免責状態に陥らないよう、全体への理解促進を組織的に行う必要がある、ということです。リーダーが、「理想」を掲げ、情報共有や教育によって全体最適への課題意識の醸成と責任の明確化の両面を図るのです。

そして、それを国家レベルで実行したのが渋沢栄一です。日本という国や社会全体の発展のためには、あらゆる業態業種が必要だと言って全体最適の精神で行動しました。明治維新を経験し、高い志で数々の偉業を成し遂げた渋沢栄一の思想が今、改めて注目されているのは、変化の激しい現代との共通点が多いからでしょう。

「矛盾なき両立」を選択する

3つ目に大切にしたいのは、理念や社会性と言った視点と、経済合理性という一見矛盾する視点を矛盾なく両立させることです。まずは、会社としての軸を持つことです。軸とはつまり経営理念です。前回の記事で書いた「三方よし」もそのひとつといえるでしょう。

多くの経営者が、高い理念をもって社員にも社会にもよい会社でありたい、と願う一方で、お金を稼ぎたい、利益が欲しいといった経済合理性の間で揺れ動き、どっちつかずの軸がないまま悩みを重ねています。もしくは、どちらか一方に偏ってしまうことも多いものです。

ここで、提唱したいのは、「理念と経済は両立できる」ということです。言われてみれば、当たり前の事実かもしれませんが、残念なことに、実際の経営の現場では、そもそも理念経営と経済合理性は、矛盾するものだと誤解されてしまっているケースが多いものです。

大切なのは、理念が言語化されていて、社員の魂に火がつくような、ワクワクする感覚が生まれるような文章であること。そして、その言葉の通りにあること自体に、経済合理性が矛盾なく含まれていること。その理由が語られていることです。そういう言葉になるまでチームで議論を重ねるということが、極めて重要です。そもそも何のために我々はこの事業を行っているのか?そのためには、どれくらいの売上、どれくらいの利益が、なぜ必要なのか、時間をかけて腹落ちするまで語り合い、言語化する必要があるのです。

そうやって作り上げた理念が拠り所となり、みんなが同じ方向を見て、共に「やろう!」と思える感覚が続くのが、ブレずに存続できる会社の共通項です。背景にある自己利益追求の本音や意図を隠そうとしても、いつかは表に現れてくるものです。なので、心から「世のため人のため」を願うことと、そのためには経済合理性も必要だ、とオープンに正直に言葉にすることです。

理念がなければ、苦しい時に続ける理由がなくなってしまいます。経済効率だけで考えれば、苦労してまで人件費を支払う必要がないですし、辛いことはやめて儲かることだけをした方が早いわけです。

リーマンショックで日本も多大な影響を受けましたが、アメリカはそれ以上にダメージが大きかったのです。しかし、厳しい状況下で生き残ったのは、理念を持った会社だったことを実例が示しています。同じように今、コロナ禍で多くの企業が苦しんでいますが、経済合理性と矛盾なき理念を両立させて経営をしている会社だけが、ブレずに未来を信じて前に進み続けることができ、生き残っていくはずだと私は信じています。

文/清水康一朗

ラーニングエッジ株式会社代表。静岡県浜松市出身。98年慶應義塾大学理工学部卒業後、人材業界のベンチャー企業に入社。2000年、デロイトトーマツコンサルティング(現アビームコンサルティング)に入社。2003年にラーニングエッジ株式会社を設立。コンサルで学んだマーケティングや顧客管理のノウハウをベースに、ビジネスセミナーポータルサイト「セミナーズ」を立ち上げ、日本でナンバーワンの登録数をもつ業界最大のサイトに成長させる。アップル創業者スティーブ・ウォズニアック氏など世界トップクラス人材のセミナーを数多く開催し、世界的な指導者のメンターとして有名なアンソニー・ロビンズ氏の日本国内で公認された唯一のイベントプロモーターでもある。そのリーダーシップが高く評価され、2007年のアントレプレナー・オブ・ザ・イヤーのセミファイナリストにも選出されている。

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