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温室効果ガス排出抑制、災害時の再生可能エネルギー供給、群馬県吾妻郡とパナソニックが進める先進的な防災対策

2021.07.16

近年は豪雨・台風・地震などの災害により避難所への退避を余儀なくされる状況が増えている。そこで地方自治体などでは、災害時の防災対策を進めている。

そんな中、群馬県・吾妻郡では温室効果ガス排出を抑えながら、災害時には再生可能エネルギーを避難した人たちに供給するよう、公共施設の設備更新を行っている。

安全と安心を暮らしにもたらすために努力する、吾妻郡の今を探ってみたい。

年間880万人もの観光客が訪れる自然豊かなリゾート地、吾妻郡

群馬県北西部に位置する吾妻郡は、草津町、高山村、嬬恋村、中之条町、長野原町、東吾妻町からなる。

6町村の役場は標高300mを超え、特に嬬恋村では850m、草津町は1171mを超す高地となっており、高原野菜といった農産物の生産も盛んだ。

また、浅間山や草津白根山などの火山や、草津、四万、万座、沢渡温泉などの観光資源にも恵まれ、年間880万人もの観光客が訪れるリゾート地でもある。

標高2568mで今も火口から常時噴気する浅間山と天明三年の浅間山大噴火で誕生した鬼押出し溶岩

また、渓谷美に優れた吾妻川が吾妻郡の中央部を流れる。その中流部の長野原町には、洪水調節、流水の正常な機能の維持、水道および工業用水の補給と発電を目的とした八ッ場ダム(やんばダム)が、2020年3月末に完成した。

重力式コンクリートダムの偉容

2019年10月の台風19号は吾妻郡にも影響をもたらした

しかし、八ッ場ダム完成前に吾妻川流域を災害が襲った。2019年10月6日に南鳥島近海で発生した台風第19号は、10日から13日までの総降水量が、神奈川県箱根で1000ミリに達し、東日本を中心に17地点で500ミリを超えた。特に静岡県や新潟県、関東甲信地方、東北地方の多くの地点で3、6、12、24時間降水量の観測史上1 位の値を更新するなど記録的な大雨となった。そして、吾妻川流域にも甚大な被害をもたらした。

【参考】令和元年東日本台風(台風第19号)による大雨、暴風等|気象庁

流域の住民の多くが避難所へ避難し、不安な時を過ごしたという。2021年7月現在もその爪痕は流域の各所に見られ、復興にはかなりの時間を要する。

台風19号での苦い経験を通じて、吾妻郡では住民の防災への願いは以前にも増して強まった。

避難所として利用されることの多い公立小中学校や、役場、児童施設、デイサービスセンター、病院などの防災対策として、環境省の「地域の防災・減災と低炭素化を同時実現する避難施設等への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業」の補助金なども活用しつつ、温室効果ガス排出を抑え災害時に再生可能エネルギー供給する機能を、吾妻郡の各所に導入している。

それでは、吾妻郡での事例を見ていこう。

「星舞う故郷」高山村の保健福祉センター

県立ぐんま天文台があり、緑豊かで澄んだ空気が魅力な高原の村、高山村。「高山村 保健福祉センター」は、保健・福祉事業事務所、デイサービスセンター、児童館と保育所を施設内にもつ、災害時には避難施設にもなる住民の大切な宝だ。

ここは、村で2番目にエネルギーコストがかかっており、光熱費は運営上の悩みのひとつでもあった。

同施設は太陽光発電を90.4kW、蓄電池は150kWh、LED照明器具は約600台、業務用エコキュートは35kW、空調設備7系統、同じく空調用のLPガス バルクタンク、スマートフォンを240台分同時に充電可能な600Wの災害時コンセントなどを導入した。

屋根部分に太陽光発電を設置

屋根裏に設置された蓄電池

屋根裏の空調設備

地下に設置された業務用エコキュート

3000Lの地下貯湯槽

LPガス バルクタンク

これは令和元年から2年度への継続事業として国の補助金を2億4600万円ほど受けながらの導入となっている。

各設備の導入により、電気料金は年間400万円ほどの削減が可能となり、電気・ガス・灯油で年間500万円ほどの節約が可能になった。

高山村保健福祉センターの説明をしてくれた、高山村役場 保健みらい課長 割田信一さん

また、太陽光蓄電池やLPガスなどに分散化することで、停電時でもセンターの機能を維持できるようになった。

役場? お城!? ユニークな庁舎が魅力の東吾妻町

真田氏上州の拠点であり、国指定史跡の岩櫃城跡を抱く岩櫃山を擁する、東吾妻町。この町はユニークな庁舎を持つ。

東吾妻町役場本庁舎

地上3階建て地下1階の鉄筋コンクリート造一部鉄骨造、延べ床面積5667平米の町営温泉センターが、あたかも城のような外観で1996年に建てられた。以来、地域の住民や観光客から愛されてきた。

しかし、築後20年を過ぎようという時期に更新が必要となったが、温泉センターを廃止する動きが出てきた。鉄筋コンクリートと鉄骨構造と立派な建物を壊すのはもったいないと、東吾妻町役場本庁舎移転工事基本設計案が持ち上がった。

2016年7月から役場本庁舎移転の設計などのプロポーザルを実施。2018年1月〜12月にかけて役場本庁舎増改築工事の施工が行われた。

太陽光発電20kW、蓄電池44.8kWh、LED照明約460台、空調設備6系統、災害時にスマートフォンが700台同時充電可能な1750Wの災害時コンセントなどが設置された。

太陽光発電

庁舎内の蓄電池(扉奥)

空調設備

LPガス・タンク

地下のガスヒートポンプエアコン

庁舎内にはエネルギーマネージメントシステム(BEMS)の各種エネルギーデータが誰でも確認できるモニタが設置された。

東吾妻町では役場本庁舎以外でも、町民体育館や東吾妻中学校(体育館)に太陽光発電、蓄電池、災害時コンセントなどの設備を導入、災害時の避難所の設備強化を図っている。

東吾妻町について熱く語ってくれた東吾妻町役場 総務課 係長 日野辰彦さん

愛妻家の聖地。夏秋キャベツ出荷で名高い嬬恋村

群馬県の最西端に位置。浅間山や四阿山、草津白根山に囲まれた平均標高1000mの高原地帯、嬬恋村。

一日の寒暖差が大きく、その気候を生かした夏秋キャベツは全国に名を知られ、群馬県産夏秋キャベツ出荷量は50年連続日本一を誇る。

嬬恋村村長 熊川 栄氏

〝愛妻家の聖地〟としても知られる嬬恋村は、台風19号での辛い被災経験をしている。その際、住民の多くが嬬恋中学校などの避難所生活を体験。その経験もあり村民の防災への意識は高い。

嬬恋中学校は、太陽光発電31.6kW、蓄電池33.6kWh、LED照明約900台、スマートフォン60台が同時に充電できる150Wの非常時コンセントなどの施設を導入した。

太陽光発電。積雪を考えて脚部が長めになっている

体育館脇の倉庫に設置された蓄電池

生徒が利用する食堂。コロナ禍で人数制限されているのが残念

体育館の天井。館内がとにかく明るくなったと生徒から大好評

太陽光発電量や蓄電池残量などがひと目でわかる

非常時コンセント。赤い電源コンセントがめずらしい

嬬恋中学校の説明をしてくれた左から教頭の水出さん、嬬恋村教育委員会 山﨑さん、嬬恋村教育委員会 笠原さん

長野原町・草津町・中之条町・嬬恋村4町村の組合による西吾妻福祉病院

長野原町にあり、吾妻郡内の4町村の組合による西吾妻福祉病院も低炭素化・防災対策の設備を導入している。

病床数は74床。内科、循環器科、小児科、外科、整形外科、脳神経外科、泌尿器科、産婦人科、リハビリテーション科、放射線科をもち、「救急医療」「高齢者医療」「在宅サービス」を3つの柱として24時間・365日の診療体制で西吾妻地域の安心な暮らしに寄与している。

ここでは、台風19号の被害などを受け、広大な敷地を活用した368kWの大規模太陽光発電、416kWhの蓄電池、約2100台のLED照明、15系統の空調設備を導入している。

太陽光発電パネル。地面に敷いているのは防草シート

蓄電池。奥に見えるのは蓄電池と制御装置用の空調用エアコン

空調設備

総事業費は約6億4000万円ほど。「地域の防災・減災と低炭素化を同時実現する避難施設等への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業」の補助金4億5000万円強を充当して設備更新を行った。

その結果、売電量は半分になり、減った売電量のうち約2/3を太陽光発電とのこり1/3を節電でまかなっており、天気が良ければ午前中の太陽光発電で蓄電池が満杯になる。

左)西吾妻福祉病院組合の事務局長 木村泰志さん、右)西吾妻福祉病院 総務課係長 今井浩則さん

縁の下の力持ちになったパナソニック

吾妻郡の様々な施設をご紹介してきた。それぞれの設備は主に地元の施工会社が設置しているが、システムの設計や各種機器の製造・開発にはパナソニックグループが縁の下の力持ちとしての役割を担っている。

吾妻郡のある群馬県をはじめ、栃木県・茨城県・新潟県・長野県を担当エリアとするパナソニック株式会社 ライフソリューションズ社 関東電材営業部の関東電材営業開発部は、自治体などの施主の事業化支援を電設資材販売を通じて行っている。

パナソニック株式会社 ライフソリューションズ社 関東電材営業部 関東電材営業開発部 部長 高巣昭彦さん

また、パナソニック環境エンジニアリング株式会社も地方自治体の温室効果ガス排出を抑え災害時に再生可能エネルギーを供給する仕組み作りを、全国規模でサポートしている。

パナソニック環境エンジニアリング株式会社 営業統括本部 副本部長 斎藤恒宏さん

地方自治体で進む低炭素排出・再生可能エネルギーの防災活用

温室効果ガス排出を抑制し、再生可能エネルギーを防災設備で活用する取組みは、未来の日本、世界のための課題のひとつ。その活動は地方自治体で確実に進捗していることが吾妻郡の事例からご理解いただけたかと思う。

そして、太陽光発電などの再生可能エネルギーが供給される防災設備が整えば、災害大国となりつつある日本で生活する我々にとって、暮らしに平穏をもたらす光明となるのではなかろうか。

取材・文/中馬幹弘

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