
2021年6月23日より独占配信中のNetflix映画『ハウス・オブ・フラワーズ: ザ・ムービー』は、同サービスの人気オリジナルシリーズ『ハウス・オブ・フラワーズ』(全3シーズン)の続編。
メキシコの上流階級で生花店を経営していたデ・ラ・モーラ家の人々の悲喜こもごもを描いたブラック・コメディだ。
主演は『我らのための死』のセシリア・スアレス、原作・制作は『我らのための死』マノロ・カーロ。
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あらすじ
デ・ラ・モーラ家の3姉弟を育ててくれた家族同然の家政婦デリアが大病を患い、長女パウリーナ(セシリア・スアレス)は見舞いに訪れる。
病床のデリアが夢に見るのは、賑やかで楽しかった昔の日々と、“秘密の宝箱”の記憶。
パウリーナと次女エレーナは子どもの頃、両親の寝室の壁の中によく宝箱を隠して遊んでいた。
本人たちもすっかり忘れていたことを、なぜかデリアが急に夢の中で思い出したのだった。
「私が見た夢はきっと信託だと思うの」とデリア。
一家の宿敵アグスティンに復讐するための証拠が、宝箱に納められているのではないかと言うのだ。
パウリーナとエレーナと末っ子長男フリアンの3人は、かつての我が家を訪問し、現住人で大金持ちの老婦人に交渉するが、立ち入りを断固拒否されてしまう。
パウリーナは元夫で敏腕弁護士で現在女性になっているマリア・ホセ(男性の頃の名はホセ・マリア)に相談し、建物に侵入するための作戦を練る。
見どころ
パウリーナたちの両親であるエルネストとビルヒニアが若かりし頃と現在のエピソードが、交互に展開されていく本作。
ドラマ版に引き続きほぼ全員が波瀾万丈の人生を送っている本作だが、実はけっこう“身から出た錆”も多いようだ。
親の代から恋愛関係が複雑に乱れており、揃いも揃って自己中心的で主張の激しい人間ばかりが衝突を繰り返している、デ・ラ・モーラ家とその友人たち。
この性質は、親から子へ、子から孫へとしっかり受け継がれているようだ。
とくに、ビルヒニアの元彼であるサロの結婚式での回想シーンは凄まじい。一応ギャグ風に描かれているが、似た経験がある女性はとても笑っては観られないかもしれない……。
もしも一人ひとりが“譲り合い”や“わが身を省みる”ということをしないまま自分の欲を押し通したら、こんな感じの世の中になるのだろうか。
ドタバタ系ブラック・コメディとしては刺激的でとても面白いが、欲を慎んで理性的に生きることも大切だと実感させられる、反面教師的なエンタメ作品でもある。
とはいえ、最後の最後には感動的かつ綺麗に締めくくるところはお見事。
私利私欲にまみれて自分勝手な人ばかりが擦った揉んだを繰り広げる中だからこそ、時々キラリと光る利他の心と真実の愛が、より一層際立つのかもしれない。
Netflix映画『ハウス・オブ・フラワーズ: ザ・ムービー』
独占配信中
文/吉野潤子
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