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不動産、ESG、データセンター、アウトバウンド、日本人投資家の戦略はこれからどう変わる?

2021.07.07

CBRE「投資戦略に関するアンケート調査」

世界最大規模の事業用不動産サービスおよび投資顧問会社・CBREはこのほど、世界の投資家に対して投資戦略に関するアンケート調査「 CBRE INVESTOR INTENTIONS SURVEY 2021」(以下、IIS)を毎年実施している。

当調査では、米州、欧州・中東・アフリカ(以下、EMEA)、アジア太平洋地域(以下、APAC)の3つの投資対象地域で分類し、各地域の投資戦略の特徴を分析している。

本レポートでは、同調査結果のうち、日本の投資家や投資市場にとって特に重要とみられるポイントを選んで考察した。その概要は下記の通りである。

●世界の投資家の64%が 「2021年に不動産投資額を前年より増やす」と回答。CBREでは、2021年の世界の不動産投資総額は前年に比べて約20%増加すると予想する。

●ESGの評価基準を投資判断に採用している日本の投資家は28%と、他の地域を大きく下回っている。ただし、53%の投資家が採用を予定もしくは検討中としている。日本のESG投資は今後拡大する可能性は高い。

●APACの投資家の間でデータセンターへの人気が高まっている。日本の市場は未だ投資機会は限られるものの、最近では海外投資家が参画する開発がみられ始めた。海外投資家の存在感が増すことで、現在は黎明期にある市場の拡大が加速する可能性がある。

●日本からのアウトバウンド投資先として人気が高い米州の投資家は、オフィス需要に対して最も悲観的な見方をしている。今後もオフィス投資が中心になるとみられる日本のアウトバウンド投資では、オフィス需要の変化に注視して投資を進める必要がある。

2021年、世界の不動産投資は回復へ、CBREは20%程度の増加を予想

IISによれば、世界の投資家の64%が 「2021年に不動産投資額を前年より増やす」と回答(Figure 1)。米州で同回答を選択した投資家は全体の70%と、3地域の中で最も高い。新型コロナウィルス感染症(以下、COVID-19)収束後の景気回復への期待が投資意欲を後押ししていると考えられる。

2021年Q1の世界の投資額は対前年同期比31%減の1,840億USドル(19.5兆円、Figure 2)だった。感染拡大が抑制されているAPACでは前年同期を上回った一方、米州とEMEAがそれぞれ同3割~4割減となった。ただし、ワクチン接種の普及で経済正常化が進む米国を中心に、投資額は下期には前年の水準を上回る可能性がある。CBREでは、2021年の世界の投資額は2020年に比べて15%から20%程度増加すると予測する。

日本については、コロナ禍の長期化による影響に注視する必要があるものの、海外投資家が牽引役となって2020年の投資額を押し上げる可能性もある。

日本のESG投資は拡大へ

IISによれば、投資判断の際の基準の一つとしてESGを採用している不動産投資家の比率は、EMEAが66%と最も高く、次いで米州が64%、APACが49%となった(Figure 3)。一方、日本の投資家は28%と、他の地域を大きく下回っている。ただし、ESGの採用を予定している、もしくは検討中と回答した投資家は53%を占めた。日本のESG投資は今後拡大していく可能性は高い。

データセンター投資市場は海外プレイヤーの存在感が高まる

主要なアセットタイプの取引利回りが低下する中、より高い利回りが期待できるオルタナティブ投資に不動産投資家は注目している。IISでは、積極的に投資したいオルタナティブ投資の対象として、米州ではトップに不動産債権が選ばれたのに対し、EMEAおよび日本では学生寮、APACではデータセンターが選ばれた(Figure 4)。

各地域で回答が分かれたのは、それぞれの地域における各アセットタイプの流動性や成長性などの違いを反映していると考えられる。

中でもAPACでは、データセンターが43%、冷凍・冷蔵倉庫が32%と、前年の調査結果に比べていずれも10ポイント以上増加した。リモートワーク普及によるデータ通信量の増加や新興国を中心とした食生活の変化などが、これらのアセットタイプへの関心を高めている。

なお、両アセットタイプを選択した日本の投資家の割合は11%以下と、米州やAPAC内の他市場に比べてやや低い。日本の調査で最も回答率が高かった学生寮は、運営会社へのマスターリースで安定した収益が期待できることや、開発投資においても市場に参入しやすい点などが評価されていると考えら
れる。一方のデータセンターや冷凍・冷蔵倉庫については、事業者自身による開発やBTS開発が多く、売買市場で検討できる既存案件が少ないことが、相対的な関心の低さの主因と考えられる。

ただしデータセンターについては、海外事業者と国内投資家とのJVによる開発が徐々に増えている。更に、2020年以降は海外投資家が出資するケースもみられ始めた。海外投資家の存在感が増すことで、現在は黎明期にある市場の拡大が加速する可能性がある。今後は日本のプレイヤーも徐々に増えてくるものとみられる。

日本のアウトバウンド投資 求められる新しいオフィス投資戦略

IISによれば、日本からのアウトバンド投資にあたって最も魅力的な地域として、日本の投資家の41%が北米を選んだ。その北米における投資家の不動産投資戦略は、コロナ禍を受けて変化したようだ。北米を中心とする米州の投資家が選択した主な投資対象は、前年調査と変わらず物流施設と住宅が上位を占めたものの、いずれも回答率は前年に比べて減少した(Figure 5)。

一方で、オフィスとホテルの回答率が前年より上昇した。両アセットの価格下落に対する期待が、その背景と考えられる(Figure 6)。物流施設や住宅については、コロナ前の価格水準に対して大きなディスカウントを期待できない一方で、オフィスやホテルについては、9割を超える投資家がコロナ前の価格からのディスカウントを想定している。日本の投資家が北米で投資する場合も、これらのアセットタイプを割安で取得できる可能性がありそうだ。

ただし、パンデミックが収束すれば回復が期待できるホテルマーケットとは異なり、米州のオフィス需要がコロナ前の水準に戻るかどうかについては、Figure 7の通り、現地の投資家の多くは懐疑的にみている。

2016年から2020年の5年間でみると、日本のアウトバウンド投資におけるオフィス投資額の比率は61%を占めた。オフィス投資を今後も戦略の中心に据える日本の投資家が多いとみられるものの、日本以上にオフィス需要が変化する可能性には留意すべきであろう。

■まとめ

本レポートは、IISの調査結果を基に、2021年の日本の投資戦略を海外と比較して考察した。

2021年の世界の投資家の投資意欲は、日本の投資家と同様に高い。2021年の世界の投資額は前年を上回る可能性がある。また、今後、日本においてESG投資を行う投資家が増加すると考えられる。

オルタナティブ投資として、APCAの投資家はデータセンターに対して非常に関心が高い。一方で、日本の投資家の関心は海外投資家に比べて低い。日本の市場では未だ投資機会は限られるものの、海外投資家が参画した開発が見られ始めた。海外投資家の存在感が高まり、市場拡大が加速する可能性がある。今後、日本のプレイヤーも徐々に増えるだろう。

日本の投資家が海外で投資する場合、地域は米国、アセットタイプはオフィスが主要な投資先となっている。とはいえ、米国のオフィス需要がコロナ前の水準に戻るかどうかについて、米国の投資家は懐疑的にみている。日本のアウトバウンド投資はオフィス投資を今後も戦略の中心に据える投資家が多いと考えられる。日本国内の市場以上にオフィス需要が変化する可能性には留意すべきであろう。

出典元:CBRE

構成/こじへい

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