若年層を中心に老後の資産形成のための投資として人気のつみたてNISAの疑問について答えたい。
つみたてNISAとは?
つみたてNISAは、投資信託に投資するための証券口座とは別につくる口座のことで、そのつみたてNISA口座から指定の投資信託に積立により投資すると、その投資信託から得られる分配金や売却益が非課税になる。
つみたてNISAに関する疑問
つみたてNISAが人気であるのはなぜ?
つみたてNISA制度が開始される前から、(一般)NISAとジュニアNISAがあったものの、つみたてNISA口座の増え方は著しい。
つみたてNISAは、金融庁指定の投資信託のみへの積立による投資であるということから、投資経験がある人の割合が少ない日本では、銘柄選びが少ないことから初心者でも始めやすいと考えられたからではないか。
また、非課税期間が20年間と長いことから、(一般)NISAの5年間という非課税期間よりも長いことが魅力だと考える人もいると考えられる。
つみたてNISAはどこで開設できる?どこがおすすめ?
つみたてNISAは銀行、郵便局、証券会社などで取り扱っている。
つみたてNISAの口座開設は無料で、投資する投資信託も制度上買付手数料無料のもので、保有期間中にかかるコストも低いものに限定されているため、金融機関によって手数料の安い高いはない。
選び方としては、相談して投資したいのであれば窓口のある銀行や郵便局。
商品力やポイントで選ぶならネット証券が最適だ。
金融機関は変更できる?
つみたてNISA口座を開設している金融機関よりも他の金融機関の方が魅力的な商品があるなどの理由で金融機関を変更したいと考えることもあるだろう。
金融機関を変更する場合今預けている口座を廃止してからでないと変更できない。
まず、現在預けているつみたてNISA口座を書類手続により廃止し、完了したら受け取れる「非課税口座廃止通知書」を変更したい金融機関に添付のもと新しいつみたてNISA口座の開設手続をする。
ただし、変更前の金融機関で既に今年分を投資していると、10月以降に来年分からの変更となる。投資していない場合には9月までに手続すれば変更できる。
なお、つみたてNISA口座を変更前の金融機関で廃止しても、売却しない限りその預けていた資産は非課税のまま運用される。
新規投資可能額40万円のうち20万円しか使わなかった
新規投資可能額は1年限りで、翌年に繰り越すことはできない。もし20万円しか使わなかったとても翌年にはその枠はリセットされる。
一度売却した投資可能額は復活する?
投資可能額40万円は買付時に消費する。そのため、売却してもその枠は復活しない。また、その売却代金での買付でも新たな枠を消費することになる。
例えば、30万円の積立をして売却し、その後売却代金で充当しても残り10万円しか買付できない。
お金が必要になってしまった
つみたてNISAに預けている投資信託はいつでも売却可能で、国内株式を対象とする投資信託なら4営業日、海外株式を対象とする投資信託なら5営業日で換金可能。ただ、つみたてNISAは長期運用でコストを低減、資産形成を図るものであるため、できれば短期で売らないのがおすすめだ。
つみたてNISA口座が損しているやめた方が良い?
つみたてNISAは、長期で積立をすることにより、損するリスクを低減して利益を上げて資産形成するものだ。損をしてもできれば積立購入を続けてほしい。損をしているということはその分安く買えるということも意味する。できれば損をしても買うことを続けてほしい。
ワーキンググループによれば、投資信託の積立を5年間続けた人では中には損をしている人もいたが、積立を20年続けた人は2~8%の運用収益を得られているので、できればつみたてNISAの非課税期間中は毎月積立を続けるのがおすすめだ。
(参考)令和元年6月 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書
つみたてNISAの非課税期間が終了するとどうなるの?
つみたてNISAの非課税期間には延長できる制度はないため、非課税期間中に売却するか、終了時に売却していなければ課税口座に自動移管される。
そのとき、評価額が上がっていればその価格を買付価格として課税口座に移されるので、つみたてNISA口座に預けていた期間中に利益が出ていた分は実質非課税となる。
例えば、40万円投資したものが非課税期間終了時50万円になっていれば、課税口座には50万円で買付された取得単価で移され、その後課税口座でさらに60万円になった場合60万円-50万円の差額が利益として10万円に対して課税される。
一方、逆に損をした場合には、不利となる。例えば、40万円で投資したものが30万円になっていると30万円の買付価格で課税口座に移され、課税口座に移ってから40万円の元々の投資金額に戻っても10万円の利益として課税されてしまう。
つみたてNISAと(一般)NISA実際どちらが良いの?
つみたてNISAは、投資をしたことがなく金融商品について分からないという初心者が始めやすいという点ではおすすめだが、制度の仕組みでは(一般)NISAがおすすめだ。
(一般)NISAは、つみたてNISA対象の投資信託への積立投資も可能で、株式や対象外の投資信託、証券会社によっては外国株式にも非課税で投資でき、投資範囲が広い。また年間120万円まで新規投資可能であるため、つみたてNISAの年間投資金額の40万円よりも大きいため、つみたてNISAでは最大毎月33,333円までの積立しかできないが、(一般)NISAなら最大毎月10万円まで積立可能だ。また、(一般)NISAは非課税期間が短いことがつみたてNISAより劣る点ではあるがロールオーバーを使って非課税期間を延長させることができる。制度も2023年までとされたが延長が決定しており、2028年までとなっている。
つみたてNISAから(一般)NISAへの変更はどうやってするの?
口座を開設している金融機関で書類手続により変更できる。既に今年分を投資していると、10月以降に来年分からの変更となる。投資していない場合には9月までに手続すれば変更できる。
iDeCoの方が節税メリットが大きいと聞いたけど…
iDeCoは、運用益が非課税になるだけでなく、掛金が所得控除となる点でつみたてNISAより節税メリットが大きいといわれる所以だが、60歳まで引き出せないというデメリットもある。若い世代は将来どんな大きな資金が必要になる状況がくるか分からないことから、いつでも引き出せるつみたてNISAの方が最適だ。
iDeCoは無理のない少額、引き出せなくても大丈夫な余裕のある範囲で行うと良いだろう。
確定申告はしなくても良いの?
つみたてNISAでの損益は税務上生じていないとみなされる。そのため、確定申告は必要ない。逆に損をして他の利益と相殺したくてもできない。
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文/大堀貴子
フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。