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なぜ、人材の多様化が進んでいない職場ではパワハラが起こりやすいのか?

2021.07.01

■連載/あるあるビジネス処方箋

 1年前に、大手士業系コンサルティングファーム・名南経営コンサルティング取締役で、社会保険労務士法人名南経営の代表社員である大津章敬(おおつあきのり)さんを取材した。その詳細は1年前に別の媒体で記事として掲載したのだが、大津さんの話す言葉の中で会社員が考えるべきことがいくつもあるように思えるので、ここであらためてその一部を紹介したい。

 大津さんは1994年から社会保険労務士として、中小企業から大企業まで幅広く、人事労務のコンサルティングに関わる。専門は、企業の人事制度整備・ワークルール策定など人事労務環境整備。特に労働関係法令の知識を活かし、労働時間制度などの労務管理の最適化を実施したうえで、それを前提とした人事制度の設計を得意とする。

 大津さんが1時間半ほどのインタビューの真ん中あたりで答えていたのが、次のものだ。

多様な人材がそろっているほうが、組織は強いと思います。意見や考え方の相違が多少はないと、一面的な物の見方が強くなりがちです。それが、間違った方向に進んでいく場合があります。

 ここまで述べたことは、この20数年で見てきた多くの企業に程度の違いはあれ、おおむね言えることです。たとえば、社長や役員と似たタイプの管理職が多い会社は、特に社員数が100∼200人の中小企業に目立ちます。会社の総務、人事から相談を受ける時は「管理職に登用する際は、同じタイプの人が増えないように、バランスを考慮されたほうがよろしいのではないでしょうか…」と助言します。

 それを実行するのは小さな会社ではすぐには難しいのかもしれませんが、多様な人材で組織を作ることを総務や人事として意識の片隅に置いておくだけでも、効果があると思います。」

 私には、まさにその通りに思える。ただし、上司が自分と意見と違う部下を受け入れるのは、実に難しいことに見える。「意見と違うところの中身や程度」にもよるのだろうが、得てして上司は部下を意のままに動かそうとする傾向があるように思えてならない。こんな問いかけをしたところ、大津さんはこう答えていた。

「上司は自分と似たような仕事の仕方をする部下を「使える」と高く評価する傾向があるように思います。実は、私にもそのような思いがあります。31歳で管理職になり、4年前から役員をしていますが、似たような仕事の仕方をする部下を高く評価したくなる思いは確かにあるのです。

 実際はそのような思いに駆られることなく、部下を評価し、育成するように心掛けているつもりです。たとえば、私は若い頃から新規提案を積極的にするタイプでした。今もその姿勢は変わりません。ですから、部下を見る時に新規提案に熱心な人を重んじたくなります。

 しかし、新規提案には積極的ではなかったとしても、仕事ができて、適性があると思える部下に活躍してもらえる仕事を任せることもあります。管理職に登用する場合もありました。こういう態勢にしたほうが、部署やチーム、そして会社にとって、そして最終的には顧客に価値があるように私は考えています。ただ単に、私と違うタイプを優遇するのではありません。きちんとした仕事をする力がまずは必要で、そのうえで例えば、発想の仕方が違う人を登用するようにしているのです。」

 私は、特に関心を持ったのは冒頭のこの言葉だ。「上司は自分と似たような仕事の仕方をする部下を「使える」と高く評価する傾向がある」。私が会社員の頃を振り返っても、確かに上司は自分と似たタイプを優遇するケースが目立つ。

 やや話が広がるが、大切なことなので述べておきたい。新聞やテレビ、雑誌、ネットニュースは今なお「実力主義の時代到来」と特集を組むが、数十年前から実力主義の企業が多数のはずだ。私が問題視するのは「実力主義」なるものを装いながら、上司が部下を公平とは言い難い基準で評価しているのではないか、といったことだ。つまり、人を評価できる力をそもそも兼ね備えているのか、それを裏付けるだけの教育や研修を受けているのか否か。管理職と呼ぶにふさわしいレベルであるのか…だ。

 さらに言えば、例えば管理職に安易に昇格させたり、その後も、部下育成などの教育研修を受けさせることなく、ある意味で野放しになっていないだろうか。管理職にふさわしくない仕事や言動であろうとも、降格すらできないようになっているならば事態は深刻だと思う。

 大津さんは人事コンサルタントであるから、部下育成を心得ている。だから、次のような言葉が出てくるのだろう。

「実際はそのような思いに駆られることなく、部下を評価し、育成するように心掛けているつもりです。」
ただ単に、私と違うタイプを優遇するのではありません。きちんとした仕事をする力がまずは必要で、そのうえで例えば、発想の仕方が違う人を登用するようにしているのです。

 取材の終わりに、こうも答えていた。

多様な人材がいない職場は、パワーハラスメント(以降、パワハラ)が起こる可能性が高くなるとも思います。中小企業よりは人事評価が客観的と思える大企業でも、起こりうるでしょう。むしろ、大企業のほうが、管理職や社員(一般職)がデキナイ人や異質な人に強く当たり、深刻になる傾向があると私は見ています。大企業の人材は中小企業に比べてレベルが総じて高いために、仕事の成果や実績に差がつきやすい一面があるからだと思います。

 多くの人が「多様な人材を」と言う。それを拒んでいるのは実は管理職であり、それを意のままに動かそうとする役員たちではないか。なぜ、新聞やテレビ、雑誌、ネットニュースでは管理職や役員の部下育成などマネジメント力に難が多いことが問題視されないのか。私には解せない。読者諸氏は、何を思うだろう。

文/吉田典史

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