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どこまで進化した?デジタルコクピット、先進運転支援システムを搭載した新型「ゴルフeTSI Active」試乗レポート

2021.07.03

いよいよ8代目となるVWゴルフの新型が上陸。発売が開始された。実は、我が愛車として、1985年からゴルフ2に乗り、そして現在もゴルフ7を愛用している筆者としては、ゴルフ8の登場は次期愛車候補としても、大いに気になっていたところなのである。

ここで試乗したのは、現時点でハッチバックモデルとして、先代の4気筒1.2LターボのTSIコンフォートラインに代わる eTSI Active Basic、Active、先代の4気筒1.4LターボのTSIハイライン、R-Lineに代わるTSI Style、eTSI R-Lineと揃う4モデルのラインナップの中で、事実上のベースグレードと言っていい、ゴルフとして初の48VマイルドハイブリッドをパワーユニットとするeTSI Activeである。

新型ゴルフはゴルフ7から採用されたMQBを継続採用したモデルであり、その進化版とも言えるのだが、どこから見てもゴルフそのもののエクステリアは、しかし実に新しい。空気抵抗を示すCD値がゴルフ7の0.30から0.275まで向上したボディのサイズは全長4295×全幅1790×全高1475mm、ホイールベース2620mmと、ゴルフ7に対して全長で+30mm、全幅で-10mm、全高で-5mm、ホイールベースは-15mmと、全長以外はわずかなダウンサイズ、というか、ほぼ変わらないサイズでの登場である。日本の路上で使い、日本の駐車スペースで止める上で、特に全幅1800mm以下は嬉しい。ゴルフ7に今だ満足して乗り続けている筆者が日々、感じていることでもある。

パワーユニットはActive Basic、eTSI Active用が3気筒1Lターボ+48Vマイルドハイブリッド、110ps/5500rpm、20.4kg-m/2000-3000rpm、WLTC総合モード燃費18.6km/L。一方、eTSI Style、eTSI R-Lineは4気筒1.5Lターボ+48Vマイルドハイブリッド、150ps/5000-6000rpm、25.5kg-m/1500-3500rpm、WLTC総合モード燃費17.3km/Lという2種類が、まずは用意されている。48Vマイルドハイブリッドのモーターのスペックは、どちらも13ps、8.3kg-mとなる。

ド派手なライムイエローメタリック(有償)に塗られたeTSI Activeのドアを開ければ、その開閉タッチの音は、ゴルフ7に増して高級感、重厚感あるものだった。ちなみに、1Lモデルと1.5Lモデルのエクステリアの識別点は、左右ヘッドライトをつなぐLEDバー(夜間のみ識別可)、フロントバンパー下のスリット下端のメッキモールディングの有無、フロントフェンダー左右のグレード名入りの加飾、そして16/17インチのタイヤ&ホイールなどになる。

そして、新型ゴルフのハイライトのひとつと言えるのが、先進感溢れるデジタルコクピットだ。

メーターは先代ゴルフの後期型、つまりゴルフ7.5でも採用されたデジタルメータークラスター”デジタルコクピット・プロ”が全車、標準装備となり、その左側には、同じく10インチのタッチ式インフォテイメントシステムが連続して配置されることになる。なお、タッチスライダーコントロールも多用され、インパネ左端にあるライトスイッチなど、今やすべてフラットパネルのタッチコントロール式に改められているのだから、先進感は申し分なしである。

また、7速DSGを引き継ぐミッションのセレクターも、レバー式ではなく、バイワイヤー化された、指先で操作できる小さなスイッチセレクターに改められている。そこで操作できるのはR、N、D/Sポジションで、P(パーキング)はその前にある独立したスイッチになる。もちろん、電子パーキングブレーキ(自動)、およびメモリー機能付きのオートブレーキホールドスイッチもその手前に用意されている。

デジタルコクピットの先進感もさることながら、このグレードで驚かされたのが、シートのかけ心地。これまでのゴルフ、というかフォルクスワーゲンの前席は、車種、グレードを問わず、硬めかつ、しっかりと体をホールドしてくれるタッチ、デザインが特徴的で、かけ心地の良さ、前上がりの座面の太腿裏の圧迫感のなさなど、個人的にも実用車としてこれ以上望めないシートとほれ込んでいたのだが、ベースグレードのeTSI Activeの前席のかけ心地は、なんと、ふんわりとしたソファ的なものになっていたのだからびっくり。フランス車的とも言える、分厚いクッション感あるソフトなタッチなのである。

まるでタブレットのようなインフォテイメントシステムに目を移せば、ゴルフ7.5以前のゴルフユーザーが乗り換えた場合、新鮮さとともに、覚えることがたくさんありすぎるほど多機能だ。ナビの目的地設定、ガソリン残量表示、エアコンのON/OFFなど、レクチャーを受けるか、取説を熟読しないと、すんなりとは出来なかったぐらいである(トホホ)。

新型ゴルフには標準装備でスマホとも連携できるWe Connect(10年間無償)、We Connect Plus(3年間無償)と呼ばれる、これからの時代のクルマに不可欠なモバイルオンラインサービスが付帯される。そう、車載通信モジュールがあらかじめ備わっているのだ。オンラインで目的地をクルマ(のナビ)にインポートでき、アプリでドアのロック、アンロックも可能となる。

ちなみに、ゴルフ7、7.5から買い替える場合に気になるはずの前後席のスペースだが、前席は同等。後席は頭上方向がやや狭まり、しかし、先代モデルで狭さを感じた膝周りスペースには、やや余裕が出ている印象だ。そして後席をよく使う、あるいは後席にペットを乗せる・・・というユ―ザーにとってうれしいのは、eTSI Active以上のグレードに3ゾーンフルオートエアコンが付いたこと。前席左右は当然として、後席(もちろんエアコン吹き出し口あり)もまた、独立した温度設定が可能になったのである!!

VW純正のペット用フラットベッド装着例

走行面での1Lモデルと1.5Lモデルの違いは、先代同様、タイヤ&ホイールサイズだけではない。フロントサスはともにストラット式だが、1Lはスチール、1.5Lはアルミのサブフレームにマウントされる。リヤサスは1Lがトーションビーム、1.5Lがスタビライザー付きの4リンクに格上げされるのも先代と変わらない。

さて、eTSI Activeを走らせれば、まずは3気筒とは思えないエンジンのスムーズさ、振動のなさ、必要十分なトルクに驚かされることになる。しかも、これまでのフォルクスワーゲンのクルマとは別物と感じさせる軽やかさ極まる加速、乗り味を披露する。さらにパワステの操舵感も実に軽々としているではないか。そして先代1.2Lモデルと比較すれば、圧倒的に静かに、爽快に走る。言い方を変えれば、これまでのフォルクスワーゲン感、ゴルフ感は希薄。1.2Lターボにしてまるでトルクの塊のようなエンジンフィール、ドシリとした乗り心地が特徴的だった先代までの乗り味は影を潜めているのだ。ゴルフ7のオーナーが、目隠しをされて乗り込み、走ったとしたら、フォルクスワーゲン、ゴルフとは気づかないかも知れない・・・。

また、アクセルペダルから足を離した走行では、すぐさまコースティング状態に入る。スルスルと、静かに、滑らかに滑走し、もちろん、燃費向上にも貢献する。そこからエンジンが始動しても、そうとは気づかせない制御の巧みさも、うれしいポイントだ。

市街地走行中に、ゴルフ7のオーナーとして感激したのは、DSGのマナーだ。先代は最後期型でかなり洗練されたとはいえ、基本、マニュアルミッションならではのギクシャク感がぬぐい切れなかった。初期型なら、発進、低速走行中はギクシャク感との戦いである。が、新型は、DSGそのものの改良とともに、48Vマイルドハイブリッドが功を奏し、今やギクシャクしたシフトショックは皆無。アイドリングストップからの復帰時の振動、音、ショックもまた、ないに等しくなっているのである。DSGユーザーにとって、48Vマイルドハイブリッド化は大歓迎すべき進化のひとつと断言したい。

205/55R16サイズのタイヤによる乗り心地は、前記の軽やかなドライブフィールの好みはともかくとして、依然、ゴルフ一流のしなやかさ、フラット感あるものだ。ゴルフ7に始めて乗った時は、進化著しい極上の乗り心地に、走り出してすぐに感動できたものだが、そこまでの劇的な印象こそないものの、街乗りメインでの使い勝手なら、穏やかな動力性能ながら、運転のしやすさ、快適性ともに、十分満足できると思える。もちろん、高速走行もソツなくこなし、山道ならパドルシフトを駆使すれば、それなりにキビキビと走れるから、新型ゴルフの3気筒1Lターボ、48Vマイルドハイブリッド恐るべし、といった結論になる。

ところで、新型ゴルフには、デジタルコクピットなどとともに、さらなる切り札がある。それは「トラベルアシスト」と呼ばれる、大きく進化した先進運転支援システムだ。それはACCとレーンキープアシストを組み合わせたもので、なんと210km/hまで機能する。追従走行時の加減速、渋滞追従、停止保持、再発進機能など、もはや完璧と言っていい。メーター内には車線、前後左右を走る車両(トラックも検知しトラックの絵も出る)が表示されるから、ブラインドスポットモニターの機能とともに、視覚的にも自車周囲の状況をリアルタイムに把握できて、実に安心・安全だ。

そんな新型ゴルフ eTSI Activeの価格は312.5万円。ナビのDiscover Proパッケージ19万8000円はぜひとも付けたいところで(メーター内にもマップが表示されるメリットは大)、LEDマトリックスヘッドライト”IQライト”、ダイナミックコーナリングライト、パークディスタンスコントロール、ヘッドアップディスプレーなどを含む20万9000円のテクノロジーパッケージに関しては、好みと予算で決めればいいだろう(ボディカラーの一部は有償で3万3000円、フロアマットは別途OP)。つまり、Discover Proパッケージのみの追加装備なら、332万3000円となるのがeTSI Activeである。先代ゴルフ7の1.2Lモデル、最終型のコンフォートライン マイスターが323万円だったのだから、48Vマイルドハイブリッド、トラベルアシストやモバイルオンラインサービスなどの進化ぶり、機能、装備を照らし合わせれば、お買い得とさえ言えるのではないだろうか。

結論として、eTSI Active の1Lモデルは、ドイツ車然とした骨太さのない、軽やかで爽やかな乗り味によって、国産車から突然乗り換えても違和感がないのが特徴だ。世界のCセグメント、コンパクトカーの基準を知る意味でも、国産車からの乗り換え、アップグレードにも、うってつけのように思える(軽やかに走る、パワステ軽々なゴルフを望む人にも向く)。しかし、これまでのゴルフのユーザーで、そのクラスを超えた重厚、高質な乗り味が気に入っているのなら、別途、試乗レポートをお届けする、1.5Lモデルを薦めたいというのが本音である。そのほうが、シートのかけ心地、レスポンスに優れた精密感ある重めのステアリングフィール、ドイツ車らしいガッチリ、ドシリとした乗り心地など、これまでのフォルクスワーゲンらしさ、ゴルフらしさが、大いなる進化の中にしっかりと継承されているからだ。

VWゴルフ
https://www.volkswagen.co.jp/ja/models/golf.html

文・写真/青山尚暉

モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車専門誌の編集を経て、現在、モータージャーナリスト、愛犬との快適安心なカーライフを提案するドッグライフプロデューサーのふたつの肩書を持つ。小学館PETomorrowでも「わんこと行くクルマ旅」を連載中。最新刊に「愛犬と乗るクルマ」がある。

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