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三菱UFJ銀行がマネーフォワードと合弁会社を設立した理由

2021.06.30

2021年6月8日に三菱UFJ銀行が、マネーフォワードグループと中小企業向けのオンラインファクタリング事業開始に向けて、合弁会社を設立する契約を締結した。(プレスリリース

2022年春の事業会社に向けて、2021年夏頃に合弁会社を設立するという。

そもそもオンラインファクタリングとは何か?融資との違いは何か?なぜ三菱UFJ銀行が参入を決めたのだろうか。

金融機関視点で2つのメリットがある一方、金融庁が警鐘を鳴らすほどの課題もある。順に解説しよう。

■三菱UFJ銀行とマネーフォワードグループの発表内容まとめ

・三菱UFJ銀行が49%、マネーフォワード社が51%を出資して合弁会社を設立
・合弁会社名は株式会社 Biz Forward
・オンラインファクタリング事業のほか請求代行事業を行う

マネーフォワードケッサイ社はマネーフォワード社の子会社で後払い決済やファクタリング事業を展開している。

ファクタリングとは売掛債権、つまり請求書を買い取るサービス

企業間の取引での支払いは、後払いが基本。

製品やサービス提供を行う企業は、これらが完了するまでお金が入ってこない一方、人件費をはじめ、先だって支払うものがある。

そのために必要な現金が無いと、会社経営が成り立たずに倒産してしまうことすらある。

そこに目を付けたのが「ファクタリング」というサービス。

製品やサービスの提供完了までに、受注した企業が発行する「請求書」を買い取り、発注元企業の代わりに、現金を受注元へと支払うサービスである。オンラインファクタリングでは、請求書の買い取りをはじめとした事務手続きがインターネット上の手続きで完結する。

■ファクタリングのイメージと仕組みのまとめ

引用元:ファクタリングとは?/マネーフォワード ケッサイ

図中のお客様が受注した企業、売掛先が発注元企業となる。

後払いで商品やサービスの代金を受け取ることを「売掛」

というが、受注した企業が持つ売掛債権をファクタリング会社が先んじて買い取り、現金を受注企業へ支払う。

受注企業は、発注元企業から入金があったら、立て替えてもらった分をファクタリング会社に渡す。

もし発注元企業から入金がない場合、ファクタリング会社が発注元企業に対して取り立てを行う。

金融機関が持つメリット1:ファクタリングは「お金の貸し借り」ではない

発注元企業は、現金が早期に手に入るメリットがあり、ファクタリング会社は、手数料を稼げる。

ファクタリング会社が取る手数料は、マネーフォワード ケッサイ社の場合で、請求書額面の最大10%。

■マネーフォワード ケッサイ社のファクタリングの手数料

引用元:アーリーペイメントの特徴 /マネーフォワード ケッサイ社
注:アーリーペイメント(Early Payment)はマネーフォワード ケッサイ社のファクタリングサービス名

例えば1000万円の請求書であれば最大で100万円の手数料がかかる。

お金の流れは、受注企業が、1000万円の請求書をファクタリング会社に提示して900万円の現金を受け取る。

後日、発注元企業から1000万円の入金があり次第、ファクタリング会社へと支払う流れとなる。

行っていることはファクタリング会社と受注企業とのお金の貸し借りのようだが、ここまであえて「貸し借り」という言葉を使わなかった。

なぜなら「ファクタリング」は法的には金銭の貸し借りではないから。

「売買契約に基づく指名債権の譲渡であり、金銭の貸し借りではないので、貸金業の登録は必要ありません。」(金融庁より引用)としているため、貸金業の登録が不要、つまり三菱UFJ銀行のような銀行や、アコムやプロミスのような消費者金融のような規制を受けないため、参入障壁が低い。

つまり契約書の売買契約を取り交わしているので貸し借りには該当しないという法解釈がある。

あまり名前を聞いたことがない企業が、貸金業登録なくファクタリングサービスを提供している事例を目にするが、違法にはならないのである。

一方で、仕組みが融資に似ているので、受注企業や発注元企業がきちんとお金を支払うかどうか「与信」管理は、銀行をはじめとした金融機関に多数のノウハウがある。参入すれば稼ぎやすいのは一目瞭然だ。

ちなみに市場規模では、ファクタリング市場は2019年で約6兆円(500億ユーロ・1ユーロ/130円換算)、2019年末の全国114銀行の個人ローンなども含めた貸出金総額が約500兆円。融資に対してざっくり1%程度の市場規模であることがわかる。

□データ引用元
ファクタリング市場:Evolution of Global Factoring Volume (in Euro billions)/FCI
貸出金総額:全国銀行 預金・貸出金速報/全国銀行協会

金融機関が持つメリット2:融資よりも収益率が高い

まず金融機関が貸金業としてお金を貸す場合は、元本が100万円以上の場合、年利は15%までと利息制限法で決まっている。

先述した手数料が10%のファクタリングの例で計算してみよう。請求書の入金予定日が2ヶ月後とし、手数料を年利換算すれば、(100万円÷1000万円)×(2ヶ月÷12カ月)=60%となる。

融資ではないため年利が15%を超えていても違法とならないのである。道義的に考えて、実際にはこの金利よりも低くサービスが利用できるかもしれないが、融資に比べて金融機関が収益を上げやすいとみて間違いない。

ちなみに銀行融資の場合は、会社の過去業績や取引実績を評価して無担保で貸してくれる場合もあるが、ファクタリングの場合は、「請求書」という担保が必ず存在する。

しかし、企業は業績より請求書が偽装しやすく、金融機関の取りっぱぐれが起きやすいので、融資より金利が高いのは、リスクが上乗せされているともいえる。

ファクタリングを偽装した融資や高額過ぎる手数料に、金融庁が警鐘を鳴らす

■ファクタリングに関する注意喚起

引用元:金融庁

先立つ支払をなんとかしようとするあまり、高手数料のファクタリング業者を利用してしまった。

請求金額の入金がない場合に、回収をファクタリング業者が行わず、請求書の売主である受注企業がすべての責任を持つ。すなわち貸金となるが、それでも資金が欲しかった。

資金繰りに苦しむ経営者にとって、銀行融資の審査が通らない場合の最後の砦として機能するファクタリング。

ファクタリングと融資は仕組みが似ていて、ファクタリングが持つ2つのメリット【①貸金業登録不要、②収益率が高い】を悪用した事例が増えていそうだ。金融庁が警鐘を鳴らすほか、日本弁護士連合会も、違法業者の取り締まり強化を求める声明を昨年2020年6月17日に発表している。

このような環境下「新しい金融サービスの提供により中小企業の資金需要に対応」と銘打った三菱UFJ銀行とマネーフォワードグループとの合弁会社は、果たして中小企業の救世主となるのだろうか。

様々な課題がありそうだが、ファクタリング事業者と利用者とが、現状より納得できる法整備や、ITを利活用した新しい仕組みの登場に期待したい。

文/久我吉史

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