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なぜ日本の企業は新たな働き方へのシフトが遅れているのか?グローバル企業とのギャップの背景にあるもの

2021.06.29

新型コロナウイルス感染症のパンデミックに伴い、国内外の企業が変革対応を余儀なくされた。しかし意識の面から行動面まで、グローバルと比べると日本は保守的な傾向にあることが調査で判明した。そのグローバルとのギャップを踏まえ、日本の課題と解決策を有識者に聞いた。

世界25ヶ国調査から浮き彫りとなった日本企業の特徴とは?

世界各国で会計、税務、コンサルティングを行うEY(アーンスト・アンド・ヤング)が、2021年2月~3月世界25ヶ国の従業員ビジネスパーソン15,316名、うち日本在住者1,009名に対して実施したオンライン調査によると、世界がコロナ禍を「企業変革の契機」と捉える一方、日本企業はあくまで「一時的な事象」と捉え、新たな働き方へのシフトが遅れている現状が浮き彫りになった。

「企業文化」「生産性」「柔軟性」の3つの観点から日本企業の特徴が見出された。

1.企業文化に大きな変化は見られない

出典元:EY Japan

全回答者のうち47%が、パンデミックが始まってから企業文化が変化し、良くなったと回答しているが、日本では33%と低い結果に。海外では企業文化がコロナ禍に適応している傾向にある一方で、日本企業には大きな変化が見られないことがわかった。

2.リモートワーク下での生産性に苦慮

出典元:EY Japan

日本企業は、リモートワーク下での生産性向上に苦慮している傾向にあることが次の3つの問いによりわかった。

全回答者の64%が、オンサイト勤務とリモートワークの新しい組み合わせが自社の生産性を向上させると考えているが、日本では39%にとどまった。

また、全回答者の65%が、オンサイト勤務/リモートワークにかかわらず、マネージャーやリーダーは能力を発揮していると考えているが、日本では37%にとどまった。

そして全回答者の66%が「働く場所に関係なく、会社は、自分の仕事に対する生産性を測定できる」と回答している一方で、日本の回答者では29%のみにとどまった。

日本企業におけるリーダーシップの役割は「ニューノーマル」の労働環境下では機能していないことと共に、パンデミック後、従業員の生産性を正確に測定することができていないことがわかった。

3.勤務地より勤務時間の柔軟性を重視する傾向

出典元:EY Japan

日本企業に勤務している従業員は、勤務地の柔軟性よりも勤務時間の柔軟性を重視する傾向にあることがわかった。

日本の回答者は、「働く場所の柔軟性」(74%)よりも「働く時間の柔軟性」(81%)を重視している傾向が出ていた。

出典元:EY Japan

またパンデミック後にフルタイムでオフィスに出社して、またはオフィス出社主体のハイブリッド型で働くことを希望する回答者は全体の34%にとどまったが、日本では46%にものぼる。

こうした結果から、海外では、企業文化がコロナ禍に適応している傾向にある一方で、日本企業には大きな変化が見られないという差が見られた。

日本のコロナ禍の対応はなぜ保守的か

本調査の結果について、EY Japan ピープル・アドバイザリー・サービス(組織・人事コンサルティング部門)のリーダー、鵜澤慎一郎氏にインタビューを行った。

本調査でわかった日本のコロナ禍の対応はグローバルと比べて保守的であるというギャップについて考えられる原因と対策について、鵜澤氏は次のように話す。

【取材協力】

鵜澤 慎一郎氏
EYアジアパシフィックピープルアドバイザリーサービス日本地域代表パートナー、ビジネスブレークスルー大学大学院経営学研究科客員教授。専門領域は人事戦略策定、グローバル人事変革、チェンジマネジメント等

●原因

「一言でいえば世代交代の遅れです。本調査の回答層は欧米ではデジタルネイティブと言われる若い世代が比較的多いのに対して、日本では中高年が中心でした。つまり日本では意思決定への関与や影響力を持つ階層で世代交代が遅れ、旧態依然のままであることが原因といえます。やはり世代が上がるほど、過去の成功体験も多いので変化することへの抵抗が高まります」

●対策

「対策としては、やはり企業の競争力強化と組織の活性化にむけて、組織なかで若い人を積極的に重要なポジションに登用する“抜擢人事”が大事になります。加えて、多様な価値観を受容し、新しい発想を受けいれる組織風土に変えるために女性の活躍推進やLGBTQ支援など“D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)”の後押しも有効です。

急にそこまでは無理という会社の風土であれば、このコロナ禍の状況を新たな働き方改革の好機と位置付けて、若手・中堅のプロジェクトチームを組成し、彼らに任せることから始めてみるのはどうでしょうか?」

グローバルとのギャップの背景

調査結果で浮き彫りになった日本とグローバルとのギャップ2点について、鵜澤に解説してもらった。

1.日本がリモートにおける生産性向上がむずかしいと考えがちな理由

「オンサイト勤務とリモートワークの新しい組み合わせが自社の生産性を向上させる」について世界は64%だが、日本は39%と少ない結果となった。日本は、リモートでの生産性向上はむずかしいと考えがちなのはどうしてなのか。

「リモート環境だと上司は部下の仕事が見えずに疑心暗鬼になり、結果として生産性が上がらないと思い込みがちです。この背景には日本では一般的に部下の仕事ぶりをアウトプット、つまり成果で判断するのではなく、どれだけ時間を費やしたか、みんなと頻繁にコミュニケーションしたかという途中経過のやりとりをもとに情意的に評価するからです。

一人で集中して仕事をしたいときはリモートワーク環境、みんなでアイデアを出し合ったり、意見交換する場はオフィス環境という組み合わせを上手く成り立たせるためには上司と部下の仕事の進め方を根本的に変える必要があります。上司は曖昧な指示をするのではなく、具体的な成果イメージや納期をきちんと最初に部下に伝達する、部下はリモートでも定期的に上司に進捗報告したり、相談するタッチポイントを最初から自分で作っておくことが有効です」

2.日本が働く場所の変化に柔軟に対応しにくい理由

日本は「働く場所の柔軟性」(74%)よりも「働く時間の柔軟性」(81%)を重視している。また、パンデミック後にフルタイムでオフィスに出社して、またはオフィス出社主体のハイブリッド型で働くことを希望する人が日本では46%である一方、世界は34%にとどまった。なぜ日本は働く場所の変化に適応できないのだろうか?

「これは日本の住宅事情、とりわけ大都市部では自宅でリモートワークをするスペース確保が難しいのでオフィスで働く方が快適だというやむを得ない事情もあります。

今後、日本でもシェアオフィスなどの供給や活用が増えていけば、遠くの会社よりも自宅近くのターミナル駅にあるシェアオフィスに寄って働くなどの選択肢が増えることが期待できますし、在宅勤務や地方移住を積極的に推奨する会社も日本で増えており、いつでもどこでも働くことができる環境が徐々に広がりつつあります。

加えて、働く時間の柔軟性、働く場所の柔軟性の問題はスペース確保などのハードな問題に加えて、コミュニケーションスタイルや働くことへの価値観といったソフト面を変えることがやはり必要になります。

かつてはライフワークバランスと言われましたが、現代ではライフワークインテグレーション(統合)と言われています。つまりハイブリッドな働き方が定着し、デジタルテクノロジーの進化でいつでもどこでも働くことができる時代では仕事とプライベートを分けることが意味をなさず、むしろそれをチャンスと捉えて、自分の裁量判断の中でいつ働き、いつ休むか、いつ家族と過ごしたり、趣味でリフレッシュするかを能動的に自分が選択していく自律した組織や人材になっていくことが一層求められます」

日本企業ではまだ古い環境と体質が、グローバルと比較すると残っていることがわかった。こうした差異に気付かせてくれたのも、このパンデミックのおかげとも考えられる。そこにいち早く気付くことが、変革への第一歩と言えるのかもしれない。

【出典】
EY JAPAN「『コロナ禍から始まる労働環境ハイブリッド時代の勝ち抜き方』とは ―EY世界25カ国 従業員調査結果―」

取材・文/石原亜香利

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