湖の目の前にサウナ室がやってきたらいいのに。フィンランドのサウナ文化をこよなく愛する温泉道場社員の他愛のない思いつきを形にしたのがキャンプ場に待機している「サウナワゴン」だ。
※こちらの記事は小学館から絶賛発売中のサウナムック「Saunner+」から一部抜粋して掲載しています。ぜひ合わせてご覧ください。
北欧サウナの神髄に触れられるワゴン
「フィンランドでは何でもサウナにしちゃいます。クルマはもちろん、電話ボックスをサウナにするとかね。風呂好きの日本人があちこちに小さな露天風呂を作るように、サウナが生活に密接しているフィンランド人の遊び心でしょうか。サウナをチャーミングに楽しんでいるんです。
日本にもトレーラータイプや軽トラに載せるサウナを自作している人はいますが、コモリバのサウナワゴンは自走式。おそらく日本初の自走するサウナ室ではないでしょうか」(温泉道場・新谷竹朗さん)
サウナワゴンは、目的もなくフィンランドを旅している最中に触れたサウナ文化に着想を得て、株式会社温泉道場が企画・開発した。『ワーゲンバス タイプⅡ』にロウリュ可の電気式ストーブを搭載。ボディーはサウナをイメージした色に塗装し、後部のサウナ室は総ヒノキ張りでドアを開けると爽やかな香りが漂う。
「北欧ではサウナの後に湖に入ってクールダウンします。冬は凍った湖に穴を開けて飛び込むし、海沿いなら海にダイブ。それに、野の花を摘み入れた水でロウリュして香りを楽しむし、白樺の枝葉を束ねたヴィヒタも使うなど、サウナとともに自然をまるごと楽しんでいるんです」
日本では湖へ飛び込めるサウナ施設を探すことすら大変だが、自走式のサウナワゴンであれば気に入った場所に出かけ、そこで蒸気浴ができる。フィンランドのサウナ文化に極めて近い楽しみ方ができるのだ。
「僕が考えるサウナの醍醐味はクールダウン。サウナで身体に負荷をかけた後の水風呂は最高です。天然の川や湖という最高の水風呂の前に、サウナ室が移動してくるっておもしろいと思いませんか」
しかも、サウナ室はクルマが持つ高い気密性と低い天井により、蒸気浴に適した環境となる。
「知り合いのキャンピングカービルダーに作ってもらったので蒸気が運転席に漏れることはないですが、古いクルマなのでトラブルが多く、道端で〝動かない、どうしよう〟と考え込むのは当たり前。日々の生活ではめったにない体験なので、大変だけど憎めないかわいさがあります」
最高の水風呂を求めてサウナワゴンで出発!
後部サウナ室は6人が入れる広さ。「サウナの温度も大切ですが、どこで、誰と一緒に過ごすかなど感覚的なことが重要な要素ではないでしょうか」
自然の中でも都市部でも蒸気浴ができます
搭載しているのは温度が安定する電気ストーブ。薪の香りはしないが、煙が出ないので都市部でもサウナを楽しめる。
ワゴンを企画した新谷さんは系列店「おふろcafé utatane」支配人。「コモリバに来られない人は、utataneで本格サウナを楽しんで」
サウナの後はワゴンの前を流れる川へドボン。キャンプはもちろん、トレランやカヌーなどアクティビティーとの相性もよさそうだ。
ときたまひみつきち・COMORIVER
埼玉を中心に全国で温泉施設を展開する温泉道場が運営するキャンプ場。
[住]埼玉県比企郡ときがわ町本郷930-1 [営]8:00〜18:00 [休]火 [料]グランピング(2食付)1万6500円~、持ち込みキャンプ4400円~ほか。サウナバンは現在、不定期のイベントで稼働する。
施設内はほかも充実
薪ストーブを使った2種類のサウナ
蒸気が効率よく回るドーム屋根の「イグルーサウナ」と、サウナ小屋をイメージした「サウナmokki」で本格薪炊きサウナを体験。
川沿いのテントでとっておきの休日
川沿いに並ぶのはダブルマットを2台設置したグランピングテント。BBQとアメニティー付きプランならキャンプ初心者も安心だ。
サウナーたちの伝説のバイブル復汗!SJ MOOK『Saunner+(サウナープラス)』
サウナを愛してやまない「サウナー」のための本、現在のサウナブームの火付け役となった伝説のサウナ専門誌『Saunner』(2014年、小学館刊)が、7年の時を経てついに復汗(刊)! コロナ禍による危機を超え、ブームを超え、日本のサウナの未来を考えるというテーマのもと、パワーアップして再登場!
定価1320円(税込)
B5判/132ページ
https://www.shogakukan.co.jp/books/09104252
取材・文/大森弘恵