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中小企業が事業の継続困難につながると想定しているリスクTOP3、3位設備の故障、2位感染症、1位は?

2021.06.20

2021年は、東日本大震災から10年が経過した節目の年に当たる。

その間にも台風や地震などの自然災害は各地で相次ぎ、さらに新型コロナウイルスの感染拡大やサイバー攻撃の増加など、企業活動に影響を及ぼすリスクは山積している。そうしたリスクを事前に想定し、発生後の対応措置などを事前に準備しておくことは、事業の継続のみならず企業価値の維持や向上の観点からも欠かせない要素となっている。

そこで帝国データバンクは、事業継続計画(BCP)に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2021年5月調査とともに行った。

BCP策定、中小企業の取り組みが課題に

自社における事業継続計画(以下、BCP)の策定状況について尋ねたところ、「策定している」企業の割合(以下、BCP策定率)は17.6%となり、前年(2020年5月)から1.0ポイント増加した。BCP策定率は年々上昇し過去最高を記録したものの、未だ2割を下回る低水準となっている。また、「現在、策定中」(7.9%)、「策定を検討している」(24.1%)ではそれぞれ減少。BCPに対して『策定意向あり』(「策定している」「現在、策定中」「策定を検討している」の合計)とする企業は49.6%で前年比3.3ポイント減少し、「策定していない」は42.5%で同3.1ポイント増だった。

事業継続計画(BCP)の策定状況

BCP策定率 (大企業・中小企業の推移)

企業がBCPを策定している割合を規模別でみると、2021年は大企業が32.0%、中小企業が14.7%となり、中小企業は低位にとどまっている。また、BCPに関する調査を開始した2016年からの推移をみると、大企業・中小企業ともに緩やかながらも増加傾向にあり、特に直近2年間は高まりがみられる。

企業からは、「中小企業の場合は資金調達を含めて対応は非常に難しい」(光学機械・写真機械器具卸売、東京都)や、「BCPの必要性は理解しているが、従業員があまり多くない企業でどのレベルのBCPが必要なのか分からない」(施設野菜作農業、岐阜県)などの声が聞かれるなど、BCPに対する中小企業の取り組みが課題となっている。

BCPを策定している割合を都道府県別にみると、栃木県と高知県が28.2%で最も高かった。全国(17.6%)と比較して+10.6ポイントだった。また、次いで茨城県(24.7%)や滋賀県(22.7%)が続いており、全国を5ポイント以上上回っている。

BCP策定率 (都道府県別)

想定リスクは「自然災害」がトップ、前年からは「情報セキュリティ上のリスク」が急伸

BCPを『策定意向あり』(「策定している」「現在、策定中」「策定を検討している」の合計)とする企業に対して、どのようなリスクによって事業の継続が困難になると想定しているか尋ねたところ、地震や風水害、噴火などの「自然災害」が72.4%となり、2017年から5年連続で最も高くなった(複数回答、以下同)。次いで、新型コロナウイルスなど「感染症」(60.4%)が続き、1度目の緊急事態宣言が発出されていた1年前(69.2%、2020年5月)より減少したものの、6割超と高水準になっている。また、1年前と比較すると「設備の故障」(前回調査30.6%→今回35.8%)、「情報セキュリティ上のリスク」(同27.8%→同32.9%)の増加が目立つ。特に情報面に関しては、2020年のサイバー犯罪の検挙数が過去最高となるなど情報系のリスクは顕在化しており、データの取扱いに対する意識が高まっている可能性が示唆される。

事業の継続が困難になると 想定しているリスク(複数回答)

規模別では、大企業では「自然災害」「情報セキュリティ上のリスク」に対する意識が中小企業と比較して特に高く、「事務所を2階以上に移転し、データのバックアップ設備を導入するなど、可能性の高い自然災害やデータ消失に対する準備を順次行っている」(看板・標識機製造、岡山県)や「従来は自然災害時の対応が主であったが、新型コロナウイルスの感染拡大にともない、今回の経験をBCPに反映した」(医薬品卸売、高知県)などの意見が聞かれる。中小企業では「取引先の倒産」「経営者の不測の事態」などで大企業を上回る。企業からは、「最低限のリスクに対応すべく周辺企業の倒産回避や労災の上乗せ、生命保険などを設けている」(職別工事、千葉県)や、「情報管理に対する費用を中小企業が捻出するのはなかなか困難」(舗装材料製造、群馬県)などの声が聞かれた。

事業中断リスクへの備え、「従業員の安否確認手段の整備」が68.5%で引き続きトップ

BCPを『策定意向あり』(「策定している」「現在、策定中」「策定を検討している」の合計)とする企業に対して、事業が中断するリスクに備えて実施あるいは検討している内容を尋ねたところ、「従業員の安否確認手段の整備」が68.5%で最も高く、同様の設問を尋ねている2017年から5年連続でトップとなった(複数回答、以下同)。次いで「情報システムのバックアップ」が55.4%で続いた。各項目の多くで大企業が中小企業を上回っているなかでも、それぞれの規模で取り組む内容には違いがみられた。

事業中断リスクに備えた 実施・検討内容(複数回答)

BCP策定の効果は従業員の意識向上がトップ、受注や税制優遇の機会増加にも寄与

BCPを「策定している」企業に対して、策定による効果を尋ねたところ、「従業員のリスクに対する意識が向上した」が55.5%でトップとなった(複数回答、以下同)。特に大企業では6割を上回る。次いで、「事業の優先順位が明確になった」(33.4%)、「業務の定型化・マニュアル化が進んだ」(33.0%)が3割台で続いた。また、「取引先からの信頼が高まった」(23.2%)のような企業の見られ方に関して、「県の公共工事の総合評価入札での加点となり、受注機会を増やすことができた」(土木工事、茨城県)や「事業継続力強化計画の認証取得による税制優遇を得た」(一般貨物自動車運送、兵庫県)のようなメリットを実感する声もある。

事業継続計画(BCP)策定の効果(複数回答)

BCPを策定していない理由、スキル・ノウハウ面や人材の確保などが引き続き課題に

BCPについて「策定していない」企業にその理由を尋ねたところ、「策定に必要なスキル・ノウハウがない」が41.9%で最も高かった(複数回答、以下同)。同様の設問を尋ねている2017年調査から5年連続でトップだった。次いで、「策定する人材を確保できない」(29.3%)や「書類作りで終わってしまい、実践的に使える計画にすることが難しい」(27.4%)など、例年と同様の項目が上位に並んだ。

企業からは、「現状では資金の調達が難しく、BCPを策定しても実行に移すことが困難」(肉製品製造、山形県)や「今後は考えていかなければならない課題だとは思うが、手が回らないのが実情」(木造建築工事、山口県)のような難しさを感じている声が多い。中小企業では、「必要性を感じない」がとりわけ大企業より高い。また、「自社のみ策定しても効果が期待できない」など、策定に難しさを感じていることに加えて、BCPの必要性に対して懐疑的に考えている様子もうかがえる。加えて、費用面に対する懸念も大企業より高水準となっている。

BCPを策定していない理由(複数回答)

2021年6月14日12時現在、新型コロナウイルスの影響を受けた倒産は全国で1,598件確認されている。また、近年各地で頻繁に発生している豪雨や地震などの自然災害、さらにはサイバー攻撃によるシステム障害や情報漏えいなど、社会環境の変化とともに企業経営を取り巻くリスクは増大しており、事業継続計画の重要性は今まで以上に高まっている。

こうしたなか本調査では、BCPを策定している企業の割合を表す「BCP策定率」は17.6%となった。緩やかに上昇し過去最高となったものの、BCPの策定を検討している割合の減少に加え、策定していない割合は増加している。また、大企業と中小企業における策定率の差は、引き続き鮮明に表れている。

BCPの策定が高まらない背景には、策定していない理由を尋ねている2017年から5年連続で最も高い「策定に必要なスキル・ノウハウがない」ことがあげられる。それらの蓄積に向けて人材・時間・費用を割くことが必須であるが、特に費用面などは中小企業では確保が難しい実態がある。また、実践的に使えるように運用する難しさもあげられており、BCPの運用に関してもこれからの課題の一つといえよう。

このような課題を抱えているが、解消に向けて今後も一層の支援策が欠かせない。企業からも、BCPが必要と分かりながらも踏み出せないといった声や、策定に向けてモデルケースや具体的な手順を知りたいといった声が多くあがっている。官民を問わず、特に中小企業に対してスキルやノウハウ、策定によるメリットを広く伝えていくことがBCP策定率を向上させる第一歩となろう。

構成/ino.

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