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つながるエリアや通信速度、契約者数の実態を捉えていない総務省の「内外価格調査」に意味はあるのか?

2021.06.17

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は総務省の「内外価格調査」について話し合っていきます。

※新型コロナウイルス対策を行っております

月々20GBでは世界で2番目に安い水準だけど……

石川氏:総務省が5月25日に発表した「電気通信サービスに係る内外価格差調査」について言ってもいいですか? 「日本は世界で2番目に安くなりました」と言っている。それはつまり、各キャリアがこの調査のために月々20GBのデータ容量の料金プランを安くしたってことなんですよ。順序が逆だよってこと。料金競争をして下がって、結果として安くなったのではなくて、この調査で安くなるように調整した。この調査のためのahamoだったりpovoだったりLINEMOだったりする。

石川氏

石野氏:このグラフが先にあったんじゃないかっていう気すらしますよね。

石野氏

石川氏:総務省がやっている調査では、各国のトップキャリアの20GBプランがいくらかを調べている。ドコモがahamoをサブブランドではなくてメインブランドのプランにしたことで、結果としてこの調査にうまくはまった。それで、日本の携帯電話料金が安くなったように見えるだけで、意味がないというか、調査の根底が崩れるというか。

法林氏:あの調査に給料を払うことが腹立たしい。

法林氏

石野氏:まぁ、グラフが先に用意されていたような感じですよね。「こんな風に、折れ線グラフの数値が落ちないですかね」みたいな(笑)

石川氏:去年、携帯電話料金の値下げが議論されている段階で、「20GBプランを下げればいいんでしょ」的なことを言っているキャリアの幹部がいましたからね。この調査がゴールでしかなかった。

石野氏:料金が安くなったのは良いのかもしれないけれど、結果を見ると、こんなに安くする必要が本当にあったかというくらい値下げしている。これじゃデフレ方向に行っちゃうじゃないですか。諸外国と比べて、なぜこんなに安くする必要があったのかというのが、ちょっと謎。

石川氏:そうだし、先日の決算発表会で言っていたけれど、ahamoはまだ100万契約しかない。たった100万契約しかないのに、「日本の携帯電話料金が安さで世界第2位なりました」と言っていいのか。

法林氏:auのpovoは「100万が見えてきた」という表現だった。

石野氏:「見えてきた」という言い方が気になる。どこまでだったら見えてくるんだと(笑)

房野氏:ドコモで8200万、auが6000万、ソフトバンクで4500万契約という中、ahamoやpovoの100万契約は結構少ない印象ですが。

【参考】携帯電話・PHS契約数>事業者別契約数|一般社団法人 電気通信事業者協会

房野氏

法林氏:そんなものですよ。料金プランの動きは相当遅いものなので。ahamoは留守電などのサービスやキャリアメールがないことがマイナスだし、後付けされたけどサポートがないという話も出ていたので、仕方がないという気がする。

房野氏:20GBの契約者数が分母に対して少ないと。

法林氏:だから、あの調査には意味がないんですよ。

石川氏:茶番でしかない。

法林氏:この内外価格調査については、ずっと言ってきたけれど、エリアの広さや実効速度が一切考慮されず、料金だけで比較することは意味がないですよ。例えば、全国サービスと言いながら、局所的にしかつながらず、でも月額費用はゼロ円で、たくさん人が集まってきて、「No.1キャリアになりました」って話になったら、世界で一番安いと言えちゃうわけです。その代わり、ごく一部のエリアでしかつながらない、こういうことができなくはない。そういう極論ができちゃうので、この調査には意味がないんですよ。

石川氏:本当に意味がないことばかり。回線契約をしない人に対して端末の販売を拒否しているってことを覆面調査して、違反が多かったということだけど、わざわざそんな覆面調査に税金を使わないでくださいって気がする。電気通信事業法を改正したことによって、いろんな無駄が発生している気がする。

法林氏:例えば、「回線契約と端末の売買はセットにしてはならない」と完全に決めてしまって、「もしそれに反する売り方をしているのであれば、総務省が指導します」という形にするだけで、覆面調査なんてしなくても届出してもらえばいい。わざわざお金をかけてまで、やる必要性があるのか。そもそも、回線契約をせずに、そのキャリアの端末を買う人がどれほどいるのか。ahamoの100万人より遙かに少ない。もちろん、回線契約せずに買える方がいいのは事実だけどね。

石野氏:ソフトバンクの「Redmi Note 9T」が出た時は、端末単体を求める人が結構いたという話です。

法林氏:回線契約を紐付けて端末販売することを禁止すればいい。もっとほかに突っ込むべきことはたくさんある。SIMロックが10月から原則禁止になることは歓迎だけど、その前に、iPhoneで使っていたSIMカードがAndroid端末で使えないというロックの件はどうするのか。これについては何年も言われ続けているのに、何も対処がされていない。

法律改正の効果とは?

石川氏:総務省は、ユーザーが契約しているキャリアから移りやすいように、流動性を高めるようにするだけでいい気がする。端末割引の上限が2万2000円とか、ああいったルールがほころびを見せている感じがします。先日、総務省の「競争ルールの検証に関するWG」でAppleが本社からプレゼンして、「2万2000円の割引上限はどうなんだ、市場は全然活性化していない、MNPの件数も下がっているし、端末の売上は5Gが始まったにも関わらず横ばいになっている」という指摘をしていた。

 すでに安い料金プランが提供されたことでゴールは達成しているので、今後は逆に規制を緩めていく方向でもいいんじゃないかと思う。楽天モバイルのように大幅な設備投資を伴う時期の会社は端末割引の規制を緩くするとか、iPhoneで割引を盛々にして売っていく方法もアリな気がするし、「ウチは端末割引は一切やらない、その代わり安い料金プランで頑張る」っていうのもアリな気がするし。各社2980円くらいの料金で横並びになったのも、画一的なルールが設定されたからだと思うので、ルールの見直しをやっていった方がいいんじゃないかと思う。

房野氏:従来、期末や新モデルが出た時に、型落ちモデルは安売りしていました。今はどうですか?

法林氏:しています。

石川氏:生産中止後、12か月経過で半額、24か月経過で8割まで割引していいというルールがある。ただ、生産中止とは何をもって中止なのかという問題がある。国内キャリアとメーカーであればはっきりしている。でも、iPhoneは世界中で売っているので、もしかして「iPhone 8」がまだ作られているかもしれない。このルールは、iPhoneをルールから外すための仕組みだったりする。

iPhone 8

法林氏:今までもAppleは1世代前、2世代前のモデルを安く売ってきたけれど、このルールだと引っかかってしまう。だけど、いわゆる情報通信機器ってどんどん進化していくものなので、「発売から何年経ったらこうしていい」というルールにすべき。現行モデルかどうかなんて関係ないですよ。クルマだって13年経ったら税金が上がる。それと同じことだと思うんですよ。

 そもそもの話として、これは経産省の管轄ですよ。総務省が口をはさんでいること自体が問題。先進国の中で、日本だけが2万円台のミッドレンジ端末しか売れない国になったらどうするのか。

石川氏:ドコモが夏モデルで4G端末を出した。あれは3Gケータイからの乗り換え用としての端末で、上限の2万2000円を割り引けば実質0円で販売できるような値段設定になっている。だから5Gを外して4G端末にしているんだと思うんですが、あれが売れれば売れるほど5Gの普及が遅れる。4G端末を持った人は2、3年使い続けるので。そういうことを考えると、総務省がやっていることは明らかに5Gの促進を遅らせる。もっと上手なやり方があると思いますね。

......続く!

次回は、「Google I/O 2021」イベントからわかった2021年Googleの戦略について会議する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/房野麻子

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