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純利益5兆円のソフトバンクグループ、3時間の長丁場だったNTTグループ、通信キャリア各社の決算発表をおさらい

2021.06.16

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は通信キャリア各社の決算発表会見について話し合っていきます。

※新型コロナウイルス対策を行っております

ソフトバンクグループとNTTグループ

房野氏:ソフトバンクグループの2021年3月期決算は、純利益が約5兆円となりました。これは日本企業として過去最大ということで、大きな話題になっていましたね。

房野氏

法林氏:5兆円稼いでも、株価は上がっていない。ちょっと可哀想だね。

法林氏

石野氏:5兆円の稼ぎ方がね……

石野氏

法林氏:まぁね、実業ではないからね。

石川氏:来期は簡単に1兆円赤字になる可能性もある。

石川氏

石野氏:そうなんですよね。

法林氏:ソフトバンクグループの決算発表会で良かったのは、孫さんが投資しているサービスを一生懸命説明していたこと。ああいうことって大事だと思う。たくさんの会社に出資しているから、そこからわかりやすいものをピックアップしたんだろうけど、いいなと。闇雲にお金を出しているんじゃなくて、これのここが面白いと思うから出している、という説明をしている。どうかはわからないけど、本人もそのサービスを気に入っているようにも受け取れた。

ソフトバンクグループ代表取締役会長兼社長 孫 正義氏

石野氏:ソフトバンクグループの場合、単純に投資しているだけじゃなくて、あの中から日本に導入されるものも、いくつかあるやらないやら、みたいな感じなので、ちゃんと説明しておいた方がいいということがあるのかな。単なる投資とは違う感じですね。最近、ギャンブルに強いなという感じ。

法林氏:今回、紹介していた中でも国と地域ごとの違いや、米国市場ではこんなニーズがあるといった事情を踏まえて説明していた。孫さんって、そういうところをちゃんとやるよなって思いました。

石野氏:ソフトバンクグループとNTTグループの決算発表会が同じ日で、実はソフトバンクグループの方はちゃんと聞けなかったんですよね。

房野氏:NTTは5社分の発表をまとめて行いましたね。

法林氏:ちょっと、あり得ない。

石野氏:発表の順番や、やり方が悪くなかったですか。

法林氏:総じて今回のNTTグループにはすごく不満。

石川氏:何が不満ですか?

法林氏:色んなことに対して。決算発表会は、あのまとめ方といい、発表する順序といい、もうちょっとわかりやすく説明する方法があるでしょって思うわけですよ。大きな会社がいくつも集まっているわけだから、もうちょっと考えてほしい。

石野氏:そうですねぇ。

房野氏:NTTドコモ単独では発表しないんですね。

石川氏:NTTグループの中の1社として発表している。

石野氏:ドコモはもう上場していないので。上場している持株会社の下で発表している。

法林氏:丁寧に説明しましたといわれればそれまでなんだけど……時間にしてどれくらいかかったっけ。

石野氏:約3時間でした。

法林氏:決算会見にそれはおかしいでしょ。孫さんが好き放題話していた時とは違うわけだから(笑)。ソフトバンクグループにしても、ビジョン・ファンド1、2が投資しているすべての会社を順番に説明するわけじゃない。注目株を整理して説明しているのと、次はドコモです、次はNTT東日本です、とやっているのと、どちらがいいか。投資家的に考えたら、断然ソフトバンクグループの方がいい。

石野氏:NTTの決算会見、投資家はぐったりしたでしょうね。せめてドコモ、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)という順番にしてほしかった。持株、ドコモ、NTT東日本、西日本とやって、最後にNTTコムという順番だった。東と西、それぞれやるのかと思って……

石川氏:そりゃ別会社だから。

法林氏:売上もだいぶ違う。

石野氏:それはそうなんですけど……

法林氏:僕も、ちょっとどうかと思いました。

石野氏:それぞれ持ち時間は半分ずつくらいでいいんじゃないかと思いました。

石川氏:まぁ、別日程がいいのか一緒にやるのがいいのか、議論の余地がありますね。

法林氏:会社としてはグループになったので、ちょっと難しいよね。ただ、全部がっつり説明する必要があるかどうか。

石川氏:ソフトバンクグループの企業を全部一緒にやりますかといわれても困っちゃうじゃないですか。

法林氏:一応、ソフトバンクグループ、通信のソフトバンク、ヤフー……

石川氏:それを1日でやるんですよ。

法林氏:嫌でしょ。ただ、ソフトバンクグループの方は個別に上場しているからね。NTTの方は、NTT東西、ドコモ、NTTコムは上場していない。グループの下になっちゃったから。だから1日でやるしかないというのは、理屈としてはわかるんだけど、それにしてもやり方があるんじゃないかな。

石野氏:そう言っているとドコモが出てこなくなる可能性もあるんで、あまり言い過ぎるのも良くない。

法林氏:でも、NTTグループはドコモが売上の多くを占めている。どこを説明すべきかとなったら、そりゃドコモを説明しなくてはいけない。

石野氏:東西は5分ずつとか、同時に並べてやってくれてもいい。全部フラットにやり過ぎていたというか。

ソフトバンクが損害賠償請求する1000億円の中身とは

房野氏:ドコモとソフトバンク、単体としてはどうでしたか? 

石野氏:ドコモはまだahamoの影響が出ていないので、数字の変化にはあまりインパクトがなかった。

房野氏:昨年と比べては?

石野氏:増収増益だったかな。ボロボロではないです。

石川氏:ahamoが始まったのは3月26日からだし。影響としては来年どうなるかの方が注目で、確かドコモは通信料収入で110億円くらい下がると試算している。一方、KDDIは、料金値下げの影響を600億から700億円、ソフトバンクは700億円と言っている。2社は600億から700億円下がるだろうとみていて、ドコモは強気なのかなんなのかわからないけど、あまり減らないという感じ。

石野氏:ドコモの場合、110億円のマイナスは全体ではなくて、差し引きした後の減益見込み。ahamoとかでプラン変更すると減収にはなるんですけど、新規ユーザーを獲得すればプラスになるのと、ユーザーが増えると端末が売れるようになるので、そのプラスがあるという説明だったかな、確か。

房野氏:でも、ahamoは端末ラインアップが少ないですよね。

石野氏:まぁ、でも、他社から移ってくる時には、iPhoneかXperia、Galaxyを買う人が多いんじゃないかな。新しめのiPhoneを使っていれば、SIMロックを解除すればいいですけど、Androidだと周波数の違いがあるので、端末は買い直した方が良いと思うので。あと、機種変更のベースが増えるので売上は成り立つかなという感じ。

石川氏:社長が売上が下がるという予想はできないよね。

法林氏:まぁ(笑)、決算会見は誰のためにやっているのかということを考えると、投資家に対しては「今年もがんばって稼ぎます」と言うよな、みたいな話。

石野氏:でも新料金プランを出した後なんかは、「これくらい減収します」ということは言うんじゃないですかね。

石川氏:営業利益で(KDDI、ソフトバンクに抜かれて)3番手になり続けるのは、まずいわけですよ。ドコモは3番手だから完全子会社化されて、吉澤前社長は結果的に交代させられた形になった。ということは、それなりに数字で結果を出さなくてはならない。逆に、ソフトバンクの宮川社長は、最初は少なめの数字を言っておいて、後で「頑張りました!」とそれ以上の成績を出せる方がいい。

ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 兼 渉外担当 宮川 潤一氏

楽天は2021年度が踏ん張りどころ

房野氏:楽天とKDDIの決算会見はどうでしたか?

法林氏:楽天は、モバイルセグメントの赤字を赤字として見ていない。

石野氏:料金プランが4月1日からRakuten UN-LIMIT VIになって、0円で済ませる人が増えているんじゃないかという質問で、三木谷社長は「思ったより多くない」というような回答をしていました。以前のプランだったら、1年経ったらみんな2980円+税を支払うことになりますが、新プランだとそれが0円から2980円の間になった。

石川氏:以前の計画では、損益分岐点が700万契約といっていたけれど、もっと契約数を増やさないといけないかもしれないですね。

金融サービスに注力する各キャリア

石川氏:各社とも通信料収入がちょっと不安定になりつつあるので、顧客基盤をベースにした金融や決済に注力している。その点では、コマースが強い楽天がリードしているし、地味だけどauは金融でリードしている。ソフトバンクは、いろんなパーツが揃ってきている。ドコモは、dカードは強いけど、金融、銀行に関してはようやく三菱UFJ銀行と組んだ。あとは、それがどうなってくるかというところだと思います。

房野氏:ドコモと三井住友系との関係はどうなるのでしょうか。

法林氏:ドコモは2019年に三井住友フィナンシャルグループとの資本提携を解消した。それが恐らく、今回の三菱UFJ銀行との業務提携の伏線だった。

石野氏:吉澤前社長の前のドコモの社長だった加藤 薫さんが、三菱UFJフィナンシャル・グループの社外取締役になっている。

法林氏:そこは何かあるかもしれないって思っていたけど……。加藤さんは、三井住友カードに出向していた経験があって、現在は三菱UFJの社外取締役になっている。dカードやdポイントといった金融系の事業を作ることができたのは、加藤さんの出向という背景があったからでしょう。

房野氏:三井住友とドコモが一緒に作ったiDがどうなるんだろうと考えてしまうのですが。

法林氏:最近、感じていることなんだけど、社会全体として、系列的やグループ的な物事の考え方がなくなってきているような気がする。NTTグループは基本的に全方位。だから、三井住友とiDを一緒に作った関係もあるのでクレジットカードはやるけど、若い人向けの銀行業をやりましょうとなれば、「auとバッティングするけど、うちはうちで三菱UFJとやるよ」という考えかもしれない。そういったパターンになっていくのかなと。組めるところとは組み、出資できるところには出資して、勝ち残っていくサービスを強化していくという感じで。

 ただ、三菱UFJ側の事情もあるでしょう。三菱UFJは元々、個人向けリテール事業が弱い。若い人はオンライン銀行でいいという感覚がある。

石野氏:銀行はATMもどんどんなくなっていますしね。

石川氏:セブン銀行で十分ですよ。

法林氏:セブン銀行、ローソン銀行、イオン銀行、それぞれのATMで十分という感覚になっている。

石野氏:ATMもなくなっているし、支店もどんどん統廃合しているし。

法林氏:三井住友銀行と三菱UFJ銀行は、店舗外ATMが共同利用されている。そこら辺も少し絡んでいるのかなって気がしました。

 今度、振り込み手数料が見直されて安くなるじゃないですか。オンライン同士の振込手数料も安くしたり。銀行業全般的に見直しがかかっているタイミングですね。

石川氏:予想以上にキャッシュレス決済が進んでいることもある。Visaが日本でもApple Payで使えるようになったことも、色々影響するんじゃないかなって気がしています。

石野氏:メガバンクでも、DXが進んでいるところと全然進んでいないところの差がありますね。進んでいないところはシステムもかなり使いにくいし、アプリが無駄にたくさんあったりする。三菱UFJ銀行は結構デジタル化していて使いやすい。加藤さんを招いた効果が出ているんじゃないかな(笑)

法林氏:ほんと?(笑)

石野氏:気がついたら、加藤さんはキリンホールディングスの社外取締役も今年からやっていますね。理由が「国内携帯事業の黎明期からの経験を通じて」「特にDX戦略や新規事業の適切性及び妥当性について(中略)有益なご意見やご指導をいただける」となっている。

石川氏:古い業界に取って代わるのが、キャリアたちがやっている顧客基盤のビジネスなんじゃないかなって気がしている。通信キャリアにとって、そこの市場は重要になってくるだろうし、色々とやれることがあるような気がする。

iモード時代のドコモ、金融で復活なるか

法林氏:例えば、その昔、自動販売機の中にFOMAが入っていたような話があるように、通信キャリアは、もともといろんな業界とつながりがあった。金融系に関しては楽天がすごい。環境が整っている。それに比べるとドコモは一番立ち後れている。

石野氏:ドコモは銀行を持っていない。

法林氏:僕は楽天証券もPayPay証券(旧OneTapBUY)も口座を作ってみたんですけど、それらと比べてみると「日興フロッギー+ docomo」はdポイントが使えるだけで、ほかは日興さんに任せているという感じ。楽天はありとあらゆる金融商品をみんな売っている。そりゃまぁ、強いよなと思った。

石野氏:KDDIにもauじぶん銀行やauカブコム証券があって。

法林氏:すごくがんばっている。

石川氏:auフィナンシャルホールディングスを設立しているし。

石野氏:ソフトバンクにもPayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)があり、PayPay証券がある。そういう中で、ドコモは金融系の会社を持っていないというか。

PayPay証券

法林氏:ドコモにはドコモ口座があるけれど、去年は不祥事もあったりと、ちょっとうまく運営できていない。

房野氏:ドコモユーザー6000万の口座ができたら、メガバンクを超えちゃうくらいの規模ですよね。

法林氏:そうだけど、でも、そうならないと思う。そんなにみんな口座を作らないと思う(笑)

石川氏:日本でオンラインバンキングを軌道に乗せたのはiモード。1999年にiモードができて、ここで商売ができますよと銀行を引っ張ってきた。あの頃はいろんな銀行と組んでいた、最も優れていたプラットフォームだったにも関わらず、そこを活かせなかったという部分はあるかなって気がします。

法林氏:iモードはあくまでクローズドな携帯電話コンテンツサービス。携帯電話の中で銀行取引ができたり、地図が見られたりして、他社も追いかけた。いち早くできたiモードはすごいし、iモードというお手本があったから、auのEZwebも、当時のJ-フォン、ボーダフォンを受け継いだソフトバンクのサービスもうまく行った。

 iモードは優れていて、携帯電話ネットワークを通じて、銀行の口座につなげることができた。クローズドでやっていたから、安全性が高かった。それをオープンな時代に、どうやって安全を担保しながらサービスを広げていくかということになる前に、iモードのサービスはなくなってしまった。

石川氏:ずっとプラットフォームの議論を繰り返している。今はAppleのApp Storeが強いけれど、なんだかんだApp Storeは、Appleが管理しているからこそセキュリティもしっかりしているし、ユーザーの使いやすいプラットフォームとして形成されている。結局、強いところが出てきて、周りがやいのやいのと言う。その繰り返しだと思います。

......続く!

次回は、総務省の「内外価格差調査」について会議する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/房野麻子

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