
ダンサーを目指す女性が運命に導かれるようにしてたどり着いたのは、危機的状況に陥っていたドラァグクラブだった。
2021年6月3日より独占配信中のNetflix映画『ダンシング・クイーンズ』は、スウェーデンで制作されたヒューマン映画。
監督は『Mending Hugo’s Heart』のヘレナ・ベリストローム。
あらすじ
スウェーデンの小さな島で生まれ育ったディラン(モリー・ナトリー)は、幼い頃から踊ることが大好きで、あだ名は“島のダンシング・クイーン”。
配達の仕事をしながら、島の子どもたちにダンスも教えていた。
ディランは約1年半前に最愛の母を亡くし悲しみにくれていたが、祖母は前を向いてダンサーの夢を追いかけるよう後押しする。
祖母に励まされたディランは、ダンス・カンパニーのオーディションを受けるため、船に乗って街へと向かう。しかしオーディション会場であるはずの大劇場に到着してから日付を間違えていたことに気付き、愕然とする。
大劇場に居合わせた女性は、ショックを受けているディランを見かねて「ディスコダンスが学べる場所がある」とアドバイス。女性に勧められてディランがたどり着いたのは、とあるドラァグクラブだった。
ディランはしばらくの間、ドラァグクラブの清掃員として働くことになる。
清掃作業の合間に振付師ビクトルの前でダンスを披露したディランはその才能を絶賛されるが、女性であるためドラァグクラブの舞台に立つことはできない。
そこでディランは、ある大胆な策を思い付く。
見どころ
スウェーデンで『ダンシング・クイーン』(単数形だが)といえばABBAの名曲を思い出すが、本作ではホイットニー・ヒューストンの『I Wanna Dance with Somebody』にのせて物語が展開される。
冒頭のシーンでは、スウェーデンの寒々しく厳しい気候の中で、太陽のようにキラキラと明るく輝く小さなミラーボールがとても印象的だ。
小さなミラーボールは、ディランと亡くなった母親にとって、ダンスとディスコがいかに心の拠り所であったのかを見事に視覚的に表現しているとおもう。
ドラァグクラブに潜り込むディランの雑な男装は一目でバレそうなものだが、そこには目をつぶり、純粋に音楽とダンスを楽しむべき作品だ。
音楽やダンスの素晴らしいところは、なんといっても性別・国・文化・人種などのあらゆる垣根を超えて、立場の異なる人と人の心をひとつにしてくれるところ。
たしかにディランは“ウソをつく”という良くないことをしていたし、本来ドラァグクラブの舞台に立つ資格はない。
しかし、ダンスを純粋に愛する心は、他のドラァグクイーンたちとまったく同じ。ステージを最高のものにしたいという気持ちには、一ミリもくもりがない。
ディランは必死の思いで罪悪感に苛まれながら潜り込んだのであって、世の中や他人を舐めた態度からくるのではなかったことは伝わってくる。
そんなディランのことを、ドラァグクイーンたちが最終的にどう評価するのかについては、ぜひNetflixで本編を観てほしい。
Netflix映画『ダンシング・クイーンズ』
独占配信中
文/吉野潤子
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