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好感度を上げるならつや顔!?女性の顔が3歳若く見えるメカニズム

2021.06.11

 テレワークが増えるなかで、オンラインミーティングで自分の顔の映えを良くする“女優ライト”がヒット商品になるなど、顔のライティングへの関心が密かに高まっている。

 こうしたなかで、「顔の“つや”があるとき、それがないときに比べると、相手に好印象を与え、3歳程度若く見える」という発表が、資生堂と、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)との共同研究の成果として発表された。

 資生堂ではこの成果を糸口に「リモートワークやオンラインイベントなど画面越しでのコミュニケーションの場面でも、新たなスキンケアの重要性が見いだせないか」を考えている。

 そこで今回は、この共同研究に携わった研究員に直接話を聞いてみた。

 そもそも顔の“つや”とは何か? 資生堂の池田華子氏(みらい開発研究所)によると、顔の光沢である“つや”と“テカリ”は、光の鏡面反射と拡散反射という現象の複合的要因によって起こることがわかっている、という。

「鏡面反射は、物体に光が当たり、ピカッと光る感じの光沢。拡散反射は、光が皮膚内部に入り、いろいろと多重反射し、拡散的に外に広がった光沢です。この状態は“フォギー”(霧のような)と言われることもあり、肌の内側が光っているような印象を受けます。肌に光が当たると、両方の現象が起きますが、拡散反射と鏡面反射が含まれていると“つや”と感じられ、鏡面反射が優位になると“テカリ”と感じられやすくなります」

 そして、顔に“つや”があるとき、“テカリ”があるときでは、相手に与える印象が異なる。端的にいえば、顔に表れる“つや”は美しいけれど、“テカリ”はそうではないものというのが一般的な印象だろう。その傾向は、検索エンジンで「肌 つや」というクエリーを入力すると、それを可能にする手段が上位表示されるが、「肌 テカリ」では、その対策方法が多く表示されることからもうかがえる。

「しかし、“つや”と“テカリ”を見た時にどう感じるかという気持ちの部分を経験値ではなく計測するアプローチは、これまではほとんどありませんでした。この部分を科学的に検証したのが、今回の試みです。こうしたことを明らかにしていくことで、肌を変える、見た目を変えるだけでなく、心もいきいきと健やかになっていただくことを目指しています」(池田氏)

 今回の共同研究では、上述の“つや”、“テカリ”、両方ともない“マット”の3つの状態が、どんな印象をもたらすか、また、それらが顔全体、ほお、Tゾーン(おでこ、眉間、鼻先にかけての部分)と、どこの位置にあるかで、どう印象が変わるのか。これを成人女性モデル10名(30歳~44歳)の写真で、160名の成人女性(30歳~49歳)に見てもらい、印象評定実験を行なった。

↑いちばん左が“マット”。真ん中が“つや”(Radiance)、右が“テカリ”(Oily shine)。“つや”と“テカリ”は、上から順番に顔全体(entire face)、ほお(cheek)、Tゾーンの違いを設けた。この7種類のパターンを10人の女性モデルで再現し、実験参加者160名の女性に評価してもらった(詳細はこちら

つや顔はマット顔よりも3歳程度も若齢に!“つや”や“テカリ”の位置でも、印象は変わる

 その結果、顔全体に“つや”がある女性は、「魅力的」「好感が持てる」「褒めたくなる」「幸せそう」「女性らしい」などの項目で、圧倒的にポジティブな印象を与えていた。

「このほか、顔全体に“つや”がある女性は、“マット”(“つや”および“テカリ”がまったくない状態)のときに比べて、3歳程度も若齢に見えることがわかりました。ただし、“テカリ”の顔も“マット”の顔に比べると、悪くない評価が得られています。この結果から、顔全体の“つや”は顔全体の“テカリ”より評価が高く、顔全体の“テカリ”はマット顔よりも評価が高いことがわかりました」(池田氏)

 つまり、相手に好印象を与えるには、顔に光沢があることが大事ではあるが、どのような光沢であるか、という光沢の種類も大事ということだ。

↑左写真が顔全体に“つや”があるとき、中央写真が顔全体に“テカリ”があるとき、右写真が“マット”のとき。右から左の順に好印象になった。ちなみに、顔全体に“つや”がある顔は疲れているように見えない、“マット”の顔は疲れて見えるという印象を顕著に与える結果となった。

 ここまでの結果は、概ね想定できる結果かもしれないが、“つや”や“テカリ”の位置によっても相手への印象は変わることがわかった。これを知っておくと、オンラインコミュニケーションの際の効果的な演出に役立つかもしれない。

「圧倒的に評価が良いのは、ほおとTゾーンの両方に“つや”がある場合(=顔全体の“つや”)ですが、ほおのみの“つや”は、Tゾーンのみに比べ、より健康的な印象を与えました。また、Tゾーンのみの“つや”は、ほおのみに比べると女性らしさがより感じられる結果になりました」(池田氏)

 ちなみに、女性モデルの顔に“つや”を再現する際は下図のように、様々な光源を組み合わせることで、何パターンもライティングのタイプを作り、さらに肌の表面状態を異なる化粧品の組み合わせによって変えることで多様な光沢の特徴を撮影した。さらに、実験で用いられた画像は様々な光沢の要素をCG加工で組み合わせたそうだ。

 対面ではメイクアップやスキンケアで再現するしかないが、オンラインでのやり取りの場合、ライティングによって、相手への印象を工夫することができるかもしれない。とはいえ、“つや”や“テカリ”を出す際に大切なのは、やはり肌の状態。ライティング以上に肌表面の状態が影響することを池田氏は強調する。

「ライティングは、鏡面反射と拡散反射のそれぞれが持つ特徴を引き出すためのものであり、それだけで“つや”や“テカリ”を作り出すものではありません。より重要なのは、肌状態が整っていること。その際は、肌のキメ細かさなどがポイントになります。そこは普段のスキンケアやメイクアップなどによって改善することが期待できます」

↑女性の顔をライティングしたときの構成。AとBは光源を傘に反射させた光、Dはフラッシュ発光部の前面に取り付けて光をやわらかくするディフューザーを付けたもの。卓上のリングライトなどを使う際、直接当てるだけでない方法なども試してはいかが?

 なお繰り返しになるが、今回の取り組みは、女性モデルを、女性の参加者が評価したものなので、女性を男性が、男性を女性が、男性を男性が評価したときにも当てはまるかの科学的な判断材料になるわけではない。しかし、これまでのような経験的な評価のみではなく、科学的な手続きで客観的に印象評価ができるようになることで、私たちが、なぜそう感じるかがより具体的に解明されるはず。普段は気づかない相手の顔の情報から、思わぬ印象を受けていたり、経験的に知られていたことに科学的な根拠が示されるかもしれない。

「今後この結果を対面コミュニケーションにおけるスキンケアやファンデーションの製品設計に活かせないか、また、オンラインなどディスプレイを介したコミュニケーションでの活用を探れないかを考えています」(池田氏)

 上記のような成果を踏まえ、共同研究として肌の“つや”がもたらす魅力と脳活動の関係を捉えるステップに進み、その脳活動を特定することに成功した(詳細はこちら)。

 資生堂では、こうした研究活動を通じて、化粧行為がもたらす心身への影響、たとえば「美しさ」「心地よさ」「効果感」といった人間の心理・感性を科学的に解明し、製品開発やブランド・イノベーションを進めていきたいとしている。

↑プレゼンしてくれた資生堂 みらい開発研究所の池田華子氏(いけだ・はなこ 博士、神経科学。写真中央)。共同研究者のマネージャーの互恵子氏(たがい・けいこ 博士、学術。写真左)、佐伯百合子氏(さへき・ゆりこ。 写真右)。互氏は、長年肌の研究や化粧の心身への有用性に関する研究に携わり、『化粧心理学』や『化粧セラピー』(ともに共著)などで、セルフマッサージやメイクアップの効果、スキンケアと睡眠の関係などを解説している。巣籠もり生活が続き、生活が乱れがちな方には、改めて見直したい知見が紹介されている。

↑資生堂グローバルイノベーションセンターの1階・2階部分は、“美のひらめきと出会う場所”をテーマにした都市型オープンラボ「S/PARK」として、一般公開している。カフェ、スタジオ、ミュージアムのほか、「S/PARK Beauty Bar」(上写真)には同社研究員による個別の肌カウンセリングから「マイコスメ」を作れるサービス(現在はコロナ禍のため休止中。再開情報はウェブサイトを要確認)などがある。横浜みなとみらい21地区(神奈川県)へ出かけたときは、足を運んでみては?

↑資生堂では、同社ハンドソープ・消毒液・ハンドクリームの対象商品(全22商品)の売上から、売上に連動して発生するコストを除いた利益を新型コロナウイルス感染症の対応に尽力している医療現場をサポートするために寄付する「資生堂Hand in Handプロジェクト」を6月30日まで行なっている。3年目を迎えた「S/PARK」には、こうした取り組みの発信拠点としての役割もある。

資生堂プレスリリース
NICTプレスリリース

取材・文/橋本 保

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