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なぜ、進まない?世界の企業の7割が「女性の地位向上は最優先事項ではない」

2021.06.11

IBM Institute for Business Value「ジェンダー・インクルージョン施策の危機 – 善意は必要だが十分ではない(英文:Women, leadership, and missed opportunities)」

IBM Institute for Business Value(IBV)の新たな調査「ジェンダー・インクルージョン施策の危機 – 善意は必要だが十分ではない(英文:Women, leadership, and missed opportunities)」によると、調査対象となった企業の経営層、管理職、プロフェッショナルは、新型コロナウイルスの感染拡大によって女性が職場で直面している課題に関する認識が高まっているにもかかわらず、世界中の企業の70パーセントはいまだにジェンダー・エクイティー(男女間における不平等解消を目指す取り組み)を最優先事項としていないことが判明した。

またこの調査では、ビジネスにおいて大胆かつ持続可能な変革を推進する上で役立つ行動について、ジェンダー・インクルージョンをビジネスにおける最優先事項としている企業から学んだ内容とともに紹介している。

このグローバルな調査「ジェンダー・インクルージョン施策の危機 – 善意は必要だが十分ではない」は、2019年に発表された同様の調査に続くもので、ジェンダー・エクイティーが岐路に立っていて、女性にとっての上級職への昇進の道が険しくなっている可能性も示している。調査対象の女性のうち、2021年にシニア・バイスプレジデント、バイスプレジデント、ディレクターおよびマネージャーの役職に就いている人は、2019年より少数だった。

IBMのグローバル・マーケット担当シニア・バイスプレジデントで、IBM Women's Communityのシニア・エグゼクティブ・スポンサーであるブリジット・バン・クラリンゲン氏(Bridget van Kralingen)は、次のように述べている。

「このデータは、女性管理職の多くが、今まさに困難に直面していることを示しています。これらの問題への取り組みをこの数年よりもさらに深化させないと、進展どころかさらに後戻りする危険性すらあります。私たちは、今こそ創造的な解決策を見出し、すべての女性がそのポテンシャルを最大限に発揮できるような、有意義で継続的な変化を起こすために一層努力する必要があります」

また、調査結果から、対象となった従業員が、ジェンダー・エクイティーに対処するための実効性の低い型どおりの取り組みに疲労感を覚え、楽観的な見方が衰退するのを感じていることも明らかとなっている。自社の組織が今後5年間でジェンダー・エクイティーを大きく向上させると予想する回答者は、女性で62%(2019年から9ポイント減)、男性で60%(同7ポイント減)にとどまった。

プログラムの増加が進展につながらず

今回の調査によれば、2019年と比較して、より多くの組織が、ジェンダー・フリーの採用選考や女性の育児休業など、ジェンダー・エクイティーとジェンダー・インクルージョンの向上を図るためのプログラムを増やしている。

しかし、調査では、プログラムを導入しても考え方やカルチャーが十分に変わらないことが一因となり、これらの取り組みが必ずしもより良い成果につながっていないことも示唆されている。

例えば、2019年と比較して、両方の調査に回答した企業で、性的偏見を伴う言動に対して上級管理職が公然と異議を唱えているとした回答者の数は減少している。

「先駆的企業」の利益

調査では、女性の地位向上をビジネスにおける正式な優先事項に指定し、ジェンダー・インクルージョンが財務業績の推進要因と考え、行動することに意欲的な「先駆的企業」と呼ばれる回答者のグループ(11%)を特定した。

「先駆的企業」は、好調な財務業績(今回の調査で他の組織が報告した平均と比較して、平均で61%も高い収益増加率)に加えて、より強固なイノベーションと、より高い顧客および従業員満足度を達成している。

持続可能な進展に向けたロードマップ

調査から、「先駆的企業」の例にならって、職場におけるジェンダー・エクイティーの進展を加速するために組織が行うことのできる、具体的で大胆な取り組みを特定している。

■最大限のコミットをもって大胆に思考する

例えば、ジェンダー・エクイティーを、ビジネスにおける正式な5大優先事項にして、女性が職場に復帰する道筋を作る。IBMでは、12カ月間離職していた技術系専門職に対して、6カ月の「リターンシップ」(有給)を用意し、トレーニング、ツールやテクノロジーへのアクセス、メンターシップ、それぞれの専門知識にあわせた技術的なプロジェクトへの参画機会を提供している。

■リスク発生時の具体的な介入策を明確にする

例えば、補助的な子育て支援やメンタル・ヘルス・リソースへのアクセスといった追加的な福利厚生がカギとなる。最近行われたIBVの別の調査 ( https://www.ibm.com/thought-leadership/jp-ja/institute-business-value/c-suite-study/ceo/ ) によると、高業績企業(調査対象のうち収益成長率で上位20%に入っていた企業)のCEOの77%は、短期的な利益を犠牲にしても従業員の福利厚生を優先すると回答している。

■価値実現を企図する文化を創造し、道を譲ることを主張する

共感的なリーダーシップと、中間管理職が前向きなカルチャー変化の提唱者になれるようにすることに重点を置く。リーダーとなる人々は、それぞれの個人的および職業的ニーズに合わせた柔軟性をもって、インクルーシブなチーム・カルチャーを意図的に支持し、女性のリーダーたちの将来的な昇進機会を支援するため、ビジネスと個人の目標に対してアカウンタビリティーを設定することができる。

■テクノロジーを活用してパフォーマンスを加速させる

組織は、AIなどのテクノロジーを使って候補者の選考プロセスにおけるバイアスを減らし、コミュニケーションとフィードバック用のクラウド・ベースのデジタル・ツールを用意することで、職場における女性のサポートに有効なものとそうでないものを明らかにできる。

さらに、パンデミックの終息後でも男女が物理的およびリモートの環境でも効果的に連携することができる協調ツールとチーミングの方法にも投資することが可能だ。

<調査方法>
今回の調査は、IBM Institute for Business ValueがOxford Economicsと協力して、9地域の10業種にわたる2,600人を超える役員、中間管理職およびプロフェッショナル(男女同数)を対象に実施した。これは、縦断的解析を可能とするため、同一範囲の役職、業種および地域を代表する2,300人を対象に行われた、2019年の調査に続くものだ。
*2019年と2021年のいずれの調査においても回答者のあった組織をいう。

出典元:日本IBM
https://www.ibm.com/downloads/cas/1JBAOYAK

構成/こじへい

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