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3000円の寿司が3万円になる日も近い?水産資源を守るために我々ができること

2021.06.13

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

持続可能な漁業で獲られたMSC「海のエコラベル」商品を購入することで海を守る

プラスチックごみや乱獲など、人間の活動により海洋資源の未来が脅かされている。このままでは将来、魚が食べられなく可能性も否定できず、SDGsの目標14では「海の豊かさを守ろう」と明示。海を守るための目標とターゲットが掲げられ、多くの国や機関が取り組んでいる。

その活動を担う国際非営利団体「MSC(Marine Stewardship Council=海洋管理協議会)」は、将来の世代まで水産資源を残していくために、認証制度と水産エコラベルを通じて、持続可能で適切に管理された漁業の普及に努めている。

MSC(本部・ロンドン)は1997年に設立され、現在は約20カ国に事務所を設置し世界中で活動しており、MSCジャパンは2007年に設立。MSC「海のエコラベル」の付いた水産品は世界約100カ国で4万5000品目以上、日本では約1000品目が承認、登録されており、イオングループ、生協・コープ、セブン&アイグループ、西友、ライフ、マクドナルドなどで販売されている。

持続可能で適切に管理された漁業のためのMSC漁業認証規格は、世界で広く認知されており、最新かつ確実な科学的根拠に基づき策定。漁業がこの規格を満たすためには、「水産資源が持続可能なレベルにある」「漁業による環境への負荷が抑えられている」「長期的な持続可能性を確実なものにする管理システムが機能している」ことを、独立した審査機関による審査を通じて実証することが求められる。

MSCジャパンは、国連が定めた6月8日「世界海洋デー」に合わせて、持続可能な漁業で獲られた水産物の証である MSC 「海のエコラベル」の認知向上を目的としたTwitter キャンペーンを7月31日まで実施中。キャンペーン動画を見てツイートした人に、MSC「海のエコラベル」付き製品などが抽選で合計672名に当たる。

キャンペーン動画では、芸能界随一の海洋生物好きとして知られるMSCアンバサダーのココリコ・田中直樹さん、食品経済統計や消費者行動の専門家である、日本大学生物資源科学部食品ビジネス学科教授の大石敦志さんが出演。現在の水産資源の状況、未来に起こるかもしれない危機について熱く語る。

MSCジャパンの調査では、日本人が積極的に摂りたい食材として「魚介類」は第2位だが、魚介類購入の際、重視する点として約7割が「価格」と回答。価格上昇を感じている人も約7割と魚介類の価格上昇を認識している一方、水産資源への危機感がある人は2割に留まることがわかった。

今キャンペーンで、消費者に「海のエコラベル」を広く認知して「海のエコラベル」商品を選ぶことで、水産資源の危機を認識してもらいたいとMSCジャパンでは考えている。

海の資源を守るためにできることとは?

キャンペーン開始に当たって、動画に出演しているMSCアンバサダーのココリコ・田中直樹さんと大石敦志教授、MSCジャパン プログラム・ディレクター石井幸造さんによるトークセッションが開催された。

田中さん「近所に40年以上営んでいる魚屋があり、その店のご主人とよく魚の話をするが、年々入る魚の数が明らかに少なくなっており、とくにこの2~3年は良くない状況と話しておられた。食卓によく上がるサンマやサバが、サイズダウンして漁獲しなければならず、おいしいものが少なくなっていると。魚と毎日向き合っているプロが仰っていることに危機感を覚えている」

石井さん「水産資源が減っている理由はいくつかあるが、そのうちの一つが過剰な漁獲にある。国連食糧農業機関の世界の水産資源の統計によると、獲りすぎが34%でこの比率は毎年上がっている。魚は本来再生可能な資源で、適切な量を漁獲していれば減ることはないが、今は獲りすぎの状況で、水産資源を残していくためには、適切に管理された持続可能な漁業を増やしていく必要がある」

田中さん「動画でも出てきたが、現在、獲れるだけ獲っている、これ以上獲ったら危ないギリギリの状態が94%に上る。卵からおいしく食べられる大きさまで育つのに何年もかかる魚種も多くある。魚の量は直ぐに戻らないということを考えると漁獲量は大きな問題だと危惧している」

大石さん「消費者の品目別価格弾力性をもとに漁獲量の変化による価格予想を行ったところ、今から約30年後の2050年には2000年代の初めより30~50%ほど魚介類の価格が上昇するという予測結果が計測された。キャンペーンを通じて、未来の水産資源危機について消費者に正しく知ってもらい、どう行動すべきかを考えるきっかけになってほしい」

石井さん「海のエコラベルは持続可能な漁業を認証して、MSCの厳格な規格に適合した漁業で獲られた水産物にのみ認められる証。消費者にはエコラベルのついた商品を選んでいただき、マーケットを拡大していく。それにより新たな漁業者が持続可能な行業に取り組むというインセンティブにつながる。この仕組みで重要なのは消費者に知ってもらいエコラベルを選んでいただくということ」

田中さん「僕がエコラベルでよく買うのはマクドナルドのフィレオフィッシュバーガーや、セブンプレミアムの辛子明太子。エコラベルの商品はコンビニ、スーパーでも並んでいるが、特別高いというわけではない。他の商品と比べても求めやすい価格でもあるので、見つけたらぜひ手に取って欲しい。

海のエコラベル自体を知らない方も多いので、アンバサダーとしてはまず海のエコラベルを知ってもらうことから始めていきたい。水産物を買う時は鮮度、味、求めやすい価格を重視すると思うが、これからはそこに海のエコラベルを加えてもらえたらと思っている」

大石さん「エコラベルはとても良い取り組み。消費者は環境に良いことをしようと思っても、具体的にどうすればいいかわからないことが多い。エコラベルの商品を買うことで海洋資源を守る仕組みができるのは重要なこと。消費者が積極的に社会に貢献している認識を持たせるという意味でも有効だと思う」

石井さん「ヨーロッパではサステナビリティが新しい商品価値として定着している。日本でも将来の購買層となる若い世代はSDGs、サステナビリティを学んでおり、近い将来、日本でもサステナビリティは商品に不可欠な価値になると思っている。海のエコラベルはサステナビリティを証明するものであり、その商品からどういった獲られ方をされたか追跡できるシステムなので食の安心にもつながる」

田中さん「水産資源に関わる問題としてプラスチックごみがあるが、海のごみの8割は街から出ている。そうした状況を知ってもらうことが大切で、当たり前だがごみをポイ捨てしないということから始めてもらいたい」

大石さん「田中さんの仰る通り、海洋資源を守るには一人一人の行動が大切。小さいことだが大勢集まると大きな力になり社会を動かしていく。とはいえ、人は理論よりも感情で動いてしまうので、いかにそういう行動をさせるかというインセンティブに工夫が必要で、海のエコラベルも、お笑いの世界と同じでいかにファンを増やしていくかが大事」

石井さん「日本人にとって魚はあって当たり前という感覚で、魚が減っているという話をしてもピンとこない人が多い。まずは、魚には限りがありこのままでは魚が食卓に上がることがなくなるかもしれないと知っていただきたい。魚を食べるときもどこでどのようにして獲られたものなのかを意識していただければと。日本でも海のエコラベルが付いた商品は増えてきており、意識して選んでいただくことが水産資源を残すことにつながる」

田中さん「次の世代の子供たちにも、今と同じように水産物を食べてもらいたいので、次世代につないでいくというのと同じ感覚で、持続可能な漁業で海にいる魚たちの命をつないでいくと考えてもらいたい」

【AJの読み】家計の負担にもならず、海を守る一助になる「海のエコラベル」を積極的に選ぼう!

魚が減っていると意識するようになったのは、数年前から話題となっているサンマ漁獲量の減少。1尾100円ほどで買えたサンマが1尾500円とかありえないでしょう!?と驚いたが、このまま乱獲を続けると他の魚種でも同じようなことが起こるのではと初めて危機感を覚えた。

MSC「海のエコラベル」は知らなかったが、意識して見るとスーパーやコンビニでも結構置いてあることがわかった。しかも田中さんが言っていたように値段も普通(主婦にはこれがものすごく重要)なので、海のエコラベル商品を選ぶことは家計の負担にならない。海を守る行動の第一歩として、積極的に購入したい。

文/阿部純子


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