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クラウドファンディングで話題に!なぜ、カワサキは生活密着型の3輪電動バイクを造ったのか?

2021.06.05

「嬉しい悲鳴」という言葉は、どちらかといえば紋切り型の表現だ。予想外に商品が売れた時、よくこの言葉を使う。

同時に紋切り型の表現とは、まるで印鑑を紙の上に押すような感覚のもの。あまり多用すると、それはコピペ文章のようになってしまう。

が、「嬉しい悲鳴」と表現するべき現象は、時折発生している。

たとえば、1台30万円するバイクを100台用意していたとする。それを発表したところ、僅か半日で100台全てが売れてしまった……このような現象は、まさに「嬉しい悲鳴」にほかならない。

半日でなくなった在庫

「すみません。この前ご案内した試乗会の件ですが……ちょっと開催が難しくなりました」

クラウドファンディング『Makuake』の広報から、そのような連絡があった。

筆者は二輪車メーカーとして有名な川崎重工業の『ノスリス』という製品に注目していた。

これは電動モーターが搭載された三輪自転車で、フル電動タイプ『NA-01』だと、最高速度40km/hでの走行が可能だ。Makuakeに出品されたというので、筆者はこのノスリスの試乗会に行くつもりだった。

ところが、その予定は思いがけない形で変更せざるを得なくなった。

Makuakeでのリターンとして用意された全100台のノスリスが、たったの14時間でなくなってしまったのだ。出資者が多数いた、ということである。

1台約30万円の乗り物

ノスリスには2種類のタイプが用意されている。電動アシストタイプとフル電動タイプだ。

前者は27万円、後者は32万円で出品されていた。気軽にポチれる価格では決してない。にもかかわらず、1日もしないうちに「好評につき受付終了」という表示が出てしまった。

幸い、5月19~20日に東京ドームシティで開催の『BICYCLE CITY EXPO 2021』にノスリスが出展されたので、そちらを取材した。

「紙オムツを運ぶっていうのはどうかな?」

2個の前輪を持つノスリスは、最大20kgの荷物を運べるように設計されている。

前方のカゴに、従来型の自転車では運べないくらいの重いものを遠慮なく載せることができる。買ったものを持ち帰るために、わざわざ自動車で近所のスーパーマーケットに出かける必要は、少なくなるかもしれない。

BICYCLE CITY EXPO 2021の川崎重工業のブースを訪れていた人が、

「この乗り物、高齢者の介護にも使えるんじゃないの? ほら、このカゴに薬局で買った紙オムツを載せてさ。オムツって軽いけどものすごくかさばるものじゃない? こういう乗り物だったら簡単に運べるよね」

と、言っていた。確かにその通りだ。従来型の自転車では運びにくいが、自動車を出すほどでもない。そのような買い物にノスリスはピッタリ適合するに違いない。

〝漢のカワサキ〟の挑戦

カワサキのバイクといえば、どうしても〝漢の乗り物〟というイメージが強い。

新谷かおるの漫画『ふたり鷹』に、Z400FXというマシンが登場する。これは80年代前半のバイク少年の憧れでもあり、四気筒400ccバイクの金字塔とも言えるものだった。いかにも漢らしいデザイン、そして四気筒ならではのスムーズな吹け上がりは、カワサキのブランドイメージ向上にも直結した。

そのような二輪メーカーが、まさかノスリスのような生活密着型の三輪モビリティを開発するとは。

が、カワサキにとってノスリスは「最大級の挑戦」でもある。

ノスリスは従来型の自転車のように、ペダルを漕いで走ることもできる。つまり状況に応じて電動走行、人力走行を選べるのだ。

フル電動モデルはいわゆる「ミニカー(マイクロカー)」と同じ扱いで普通自動車免許とナンバープレートが必要だが、車検と車庫証明の必要はない。これを便利と取るか、馴染みのない車種と取るかは人それぞれだろう。

ゆえに、ノスリスは駐車場に停めるべきか駐輪場に停めるべきかという議論も発生する。このあたりはノスリスに限らず、次世代型パーソナルモビリティに共通する苦悩でもある。

国内メーカーの「安心感」

それでもパーソナルモビリティの技術開発は、着実に進められている。

7、8年ほど前、日本でもアメリカのパーソナルモビリティが注目され始めた時のことは、今でもよく覚えている。充電池の進化により、強力な電動モーターを搭載したキックボードやスケートボードまで市場に出てくるようになったのもあの頃だ。

「ロサンゼルスではこんな乗り物が流行っている」と伝えるテクノロジーメディアの記事を読んで、筆者は首を捻っていた。

「もしこれを個人輸入して日本の公道で乗り回したら、違法だろうな」という疑念がどうしても頭から離れなかったのだ。

だからこそ、「新しい乗り物」は日本の法律をよく知っている国内メーカーが手がけるべきだと、筆者は確信するに至った。

当然のことではあるが、ノスリスには日本の公道で走行するための各種保安部品が搭載されている。ビーム、バックミラー、ウインカー等々。そのあたりは誰もが知っている二輪メーカーが手がけているから、心配には及ばない。

やはり、安全が一番重要だ。ノスリスの付加価値の半分ほどは「日本の公道を安全に走行できる」という部分である。

来年の一般販売を目指すノスリスは、Makuakeの出資者からの意見や要望を反映させながら、より使いやすい乗り物として改良していくという。

【参考】
重さ20kg積んでも快適走行!Kawasaki設計のラクラク電動3輪|ノスリス-Makuake

取材・文/澤田真一

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