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マイナポータルで「わたしの情報」を管理できるのか?問われる個人情報と利便性の関係

2021.06.16

新連載/TOKYO 2040 SideB  第五回『個人情報は行政DXでどう使われていく?』

 この連載の第二回で取り上げた「マイナンバー」ですが、6月1日に「マイナポータル」のサイトもデザインが一新され、大変に使いやすくなっています! あわせてスマートフォン用のアプリ「マイナポータルAP」もアップデートされています。

https://myna.go.jp/

 アプリのバージョンナンバーも「17.2.0」になっており、一般的にバージョンナンバーはメジャーアップデートで整数部分が増えていくのですが、マイナポータルAPはバージョン履歴を辿ると、一足飛びに数字が増えていることがあり、おそらくサーバーなどの外側からでは見えない部分でも頻繁に改善が進んでいるものと思われます。

個人情報問題と利便性のバランス

「マイナンバーカード」は6月7日時点で申請枚数が5,000万枚を突破したとのことで、9月のデジタル庁開設に向けて、マイナンバーまわりの行政サービスも着々と整えられていることを実感します。

 DIME本誌の連載小説『TOKYO2040』では、近未来のうちに行政サービスでの個人情報の取り扱いは国によって一元化されるという想定をしています。20年後までに、マイナポータルを中心に国が個人情報政策をアップデートし続け、サービスインフラは広域自治体(都道府県)が連携して敷設して運用し、行政サービスそのものの提供や窓口は基礎自治体(市区町村)がきめ細かく対応していくイメージです。

 そういった未来が現実になっていくとして、住民は一元化された行政サービスの恩恵を受けられるのと同時に、個人情報がどのように扱われるのか、プライバシー保護は万全なのかという不安を抱くことになります。

 例えば、一年にわたって続いている新型コロナウィルス対策において、特別定額給付金やワクチン接種予約では、国に個人にまつわる情報が集積されていないことから、初動の遅さや、申し込みや実施された後のフォローがきめ細かくなされないという懸念が多くありました。

 しかし、これは政府によって国民一人ひとりの情報が「握られていない」ということを同時に示しているので、「民主主義国家における個人情報取り扱いに関する理想としては良かったが、運用の実態としては不便であった」ということになるかと思います。

 このバランスをどうとっていくかの鍵は、今後のマイナポータルの発展にあると思っています。

 電子データについて、外部からのクラッキングを適切に防ぐということは当然としつつ、行政サービス側が取得する個人情報は一箇所にまとめず、サービスの主体ごと、機能ごとに分かれているのが理想です。もちろん、国が提供するものだけでなく、広域自治体、基礎自治体で取り扱われる個人情報や付帯する機微情報も含みます。

 そして、利用する住民としては面倒臭くはあるのですが、必要に応じて個人情報として取得された内容を行政サービスで転用することの許可を出したり、関連付けを断ったりできると大変コントローラブルになります。SNSを使いこなしている方は、TwitterやFacebookの「アプリ連携」という設定項目で、SNSの情報を他のアプリで使い回してよいかどうかをON/OFFしたりすることがあると思います。そういったコントロールを自身の個人情報について行うのです。

 すると問題は、個人情報を使わせる/使わせないの二元論ではなくなり、グラデーションになります。

 もちろん、老若男女にとって使いやすいユーザーインターフェースが伴わなければなりませんし、そもそも個人情報を行政とはいえ他者に委ねるというのはどういうことなのかという概念の理解も必要になります。その人や人生にとって良い選択は何なのか、うまく導くことができるのか、というところに問題のポイントが変わることになります。

イラスト/フロムボンド

マイナポータルで「わたしの情報」を管理できるか?

 冒頭に紹介したマイナポータルのアップデート版を見て「これはひょっとしたら期待できるのでは?」と感じています。

 例えば、マイナポータルでの「サービス一覧」を参照すると、「わたしの情報」「やりとり履歴」などわかりやすい言葉で、このサイトでできることが一覧されています。これはすべて、住民が握ることができる「コントローラー」です。

 行政サービスのDXが進めば進むほど、この「わたしの情報」「やりとり履歴」が国民の関心事になってくると考えられます。というのも、マイナポータルで確認できる事項は、利用者本人が自分のデータを参照しているだけに見えますが、本質は「情報開示請求」だからです。

 先日、東京都のニュースで「情報公開制度運用見直し 開示請求受け付けない基準検討」という内容が流れました。

 自治体には想像できないくらいの量のドキュメントが存在し、毎日生み出されています。それぞれが紙やデジタルデータで、必要に応じて取り出せるよう、情報公開請求にこたえられるよう、現場から所定の手続きで「文書課(自治体によって呼び名は違います)」や公文書館に引き継がれ、インデックスされて保管されます。

 ニュースとなった「運用見直し」は、この大量の文書を適切に検索し、取り出し、請求にどこまでこたえられるのかの判断や作業に膨大なコストがかかるところから出てきたものと思われます。

 こういった現状をDXが進んでいない証拠だと一刀両断してしまうのは簡単ですが、将来的に様々な個人にまつわる情報が取り扱われていくことを考えると、できる限り早期に解決してほしい問題だと思っています。

 というのも、「私が過去にどういう行政サービスを利用して、どのように履歴に残っているか」も重要な個人情報ですので、スムーズに当事者である住民が開示・確認できる状況が理想だからです。

 個人情報を保護しながら適切に活用するというのはとても難しい問題です。SNSでのON/OFF例をあげましたが、民間のサービスでは、スマートフォンのOSや検索サービスや広告配信システムが大量に情報を蓄積し続けているのが実情です。個人情報取得の承諾ボタンを覚えていないくらいの使い始めの時期にタッチしたという事実を盾に、個人情報が取られ放題取られていると言っても過言ではありません。

 もちろん、個人情報とは慣れ親しんだ住所・氏名・電話番号といった容易に本人を特定できるもののみを指さず、スマホの流行とともに活用機会の広がった位置情報をはじめ、本人がネットサービス上でどんな行動をとったかという履歴から、アプリの操作ログに至るまで、すべてにおいて取り扱いに細心の注意が払われる必要があります。

 最近ではGIGAスクール構想にて生徒に貸与された一部のタブレット端末が、学習進度の把握などを建前として操作履歴を無断で取得していたことが明るみとなり、それら端末が利用停止になるというニュースがありました。無用な取得や保存や流用はされるべきではなく、センシティブな情報は必ず利活用の目的が示された上で、利用者の同意のもと取得されなければなりません。

 そして、一般的な利用規約による包括的な「同意」のみでは、細かくて長い規約文章を全てのユーザーが読んで理解し、自分の個人情報がどう扱われ、どこへ行ってしまうのかということまでを把握することをフォローしきれているのかどうか、疑問が残ります。

 DXが進む過程では、利便性の追及とともに「守らなければならないもの」への目配せは欠かすことができません。

 民間のサービスは、使わない選択をしたり、スマホを持たなかったり、インターネットと無縁の生活を送るなど、断つ方法はいくらでもあります。(それでさえ利便性が優先されるのでしようがないという別の問題は存在します。)

 ですが、行政サービスは生まれてから死ぬまで無縁ではいられないものですので、民間にとって手本となるようなバランスのDXをしていってほしいと思っています。

文/沢しおん
作家、IT関連企業役員。現在は自治体でDX戦略の顧問も務めている。2020年東京都知事選に無所属新人として一人で挑み、9位(20,738票)で落選。

このコラムの内容に関連して雑誌DIME誌面で新作小説を展開。20年後、DXが行き渡った首都圏を舞台に、それでもデジタルに振り切れない人々の思いと人生が交錯します

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