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ボリュームたっぷりの肉料理を目にすると一瞬「オエッ」となる理由

2021.06.02

 不意打ちだっただけに余計に胸が締めつけられる。見なかったことにしたいが完璧なフォーカスで目撃してしまった。一刻も早く忘れたいのだが――。

街歩き中に一刻も早く忘れたいものを見てしまう

 中野坂上駅にほど近いオフィスで用件を終え、曇天の午後の山手通りを歩く。時間もあるので東中野まで歩くつもりである。何ならさらに先の落合まで歩いてみてもよい。

 来週には梅雨入りだろうか。曇り空だが今のところ雨の心配はない。しばらく歩けばきっと少し汗ばんでしまうと思われるほどの気温だ。

 街を歩いていれば当然ではあるが不測の事態に出くわすこともある。ついさっき、運の悪いことに路傍に吐き捨てられた嘔吐物をまともに見てしまった。その強烈なビジュアルには思わず「ゲゲッ!」っと声が出てしまったほどだ。

 ともかく一刻も早く忘れたい。自然に歩くスピードがやや速くなってしまっている。落ち着こうと自分に言い聞かせ、歩みを緩めた。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 安全に歩くには時折足元を確認しなければならないが、こうしたリスクもある。まぁ逆に、思わぬ“お宝”を見つけることも、なきにしもあらずではあるが……。

 思わず「ゲゲッ!」っと反射的に声が出てしまったのだが、これは自分が日本人であることの証でもあるだろう。英語圏ではこのような時、「ヤック!(Yuck!)」という声が思わず出てきてしまうようだ。

 日本人なら自分のように「ゲゲッ!」や「ゲッ!」、「オェッ!」といったところだろうが、こうした思わず条件反射的に出てくる声は意識的には選べないので、育った文化が色濃く反映したものになる。

 とはいっても後天的に変わってくる可能性もあるだろう。あまり行儀の良くない人物が登場する英語の映画を観た直後などには、「ファ○ク!」や「オーマイガーッ!」というような品のない言葉が何かのタイミングで思わず出てきたりするかもしれない。

 東中野駅が見えてくる。今日はまだ昼食を食べていないのでこの辺りで何が食べて帰ってもいいだろう。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 ビルの1階に某ステーキチェーン店が構えている。店先の店頭広告にはジューシーなステーキの写真がでかでかと使われており、思わず視線を誘われるが、胸がいっぱいになるというか、身体が拒否しているような感覚を覚える。

 それもそのはず、一昨日の夜に結構な量の焼肉を食べたのだ。しばらく肉はいいという気持ちになっているのだ。それにしてもこのビルは3階に焼肉店があるようで、階段の入り口には焼肉店のメニュー写真も展示されていて“肉食系”のエリアを形成している。

 今日のところはステーキと焼肉はパスするとしよう。肉は好きなほうだが、偏らずにほかのものも食べてみたい。

“肉食系”のビルの前を通り過ぎ、さらに歩くと左手に商店街の入り口が見えてくる。商店街のアーチには「ギンザ通り」と記されている。細い路地だが賑やかだ。入ってみることにしよう。

肉料理に嫌悪を感じる人が増えている?

 商店街に入るやいなや牛丼店や中華料理、カフェやピザ店などの飲食店が見えてくる。通りの先にはさらにさまざまな店があるようだ。テイクアウト店や惣菜店もある。

 何を食べるのか迷うばかりだが、肉料理を除外するということであれば選択肢は狭まる。 

※画像はイメージです(筆者撮影)

 それにしても肉好きな自分がステーキ店のディスプレイを見てやや食欲が削がれる思いをする日が来るとは自分でも意外だ。胃腸の働きが弱っていることの証なのか。それとも食の好みが変わったということなのだろうか。

 最近の研究でも日常的に肉をよく食べている人々の中にも、肉料理のビジュアルにうんざりしている人は少なくないという興味深い研究結果が報告されている。


 エクセター大学の科学者は、雑食者(肉を含めなんでも食べる)、準菜食主義者(肉食を制限している)、菜食主義者など、700人以上に食べ物の写真を見せました。

 肉を食べる人の約7%(準菜食主義者の15%、雑食者の3%)は、ローストチキンやベーコンなど、イギリスで一般的に食べられている肉料理の画像に対して「かなり強い嫌悪感」を示しました。

 グループとして雑食者は、パン、チップス、米などの炭水化物が豊富な食品の写真の平均の約2倍、肉の画像を嫌なものとして評価しました。

 調査結果に基づいて研究者たちは、「ヤック要因(yuk factor)」を利用することは、肉食を減らしたい人のために意志力に頼るよりも効果的かもしれないと指摘しています。

※「University of Exeter」より引用


 英・エクセター大学の研究チームが2021年5月に「Appetite」で発表した研究では、現代人は一般的に肉料理への嫌悪感を高めていることが実験を通じて確かめられている。肉を食べる人々の間でさえ、肉食メニューへの嫌悪感を募らせているというのだ。

 711人(雑食者402人、準菜食主義者203人、菜食主義者106人)が参加した調査では、「肉の嫌悪感」のレベルを明らかにするテストが課された。収集したデータを分析した結果、肉を食べている人々(雑食者、準菜食主義者)の間においてさえも、肉食メニューへ嫌悪感を持つ者が少しづつ増えていることが浮き彫りになったのだ。

 そして肉や肉料理のビジュアルは一部の人々にとって「オエッ!」という吐き気や嫌悪感を引き起こす「ヤック要因(yuk factor)」としても機能し、気持ちの悪くなる肉や肉料理の画像が肉の消費を減らす手段として活用できる可能性を指摘している。

 肉汁溢れるステーキや焼肉のビジュアルは、肉好きにとって食欲をそそられる光景であることは間違いないが、場合によっては「オエッ!」となる拒否反応を引き起こすケースもあるということになる。程度の差こそあれ、先ほど自分がステーキ店の前で体験したこともこれに近いものだったのだろうか。

外食をあきらめて惣菜を買って帰る

 商店街の細い路地をさらに進む。観光客気分でいるのもそろそろおしまいだ。どこかのお店に入ろう。

 ラーメン店や洋食店、居酒屋やタイ料理店などよりどりみどりだ。中途半端な時間ということもあり、ランチ営業を終えてしまった店もちらほらとありそうだ。どうにも決まらない。さらに奥へと進む。

 そもそもが“宣言下”の中での街歩きだ。呑気に飲食店選びなどをしている場合ではないともいえる。

 優柔不断なままに歩いていると、目の前に焼肉店があらわれる。もちろん今回は入ることはないのだが、なんだかこのまま歩き続けても仕方がないように思えてきた。これも何かの気づきということかもしれない。いったん引き返そう。入りたい店が見つからなければ再び山手通りを歩き落合まで行ってみてもよい。

 どういうわけか肉料理を避けながら過ごす日になってしまっているが、子どもの頃にアメリカ人は毎日ステーキを食べていると聞かされて驚いたことがある。そして自分も大人になったら毎日ステーキを食べるんだと強く望んでいたこともまた思い返されてくる。

 そして大人になった今、子どもの頃の夢を叶えるべく毎日ステーキを食べてもよいのだが、やはりそれは難しい。どうしたって肉以外にもいろんなものが食べたくなってくるというものだろう。

 Uターンして少し歩くと、往路では見過ごしていた惣菜店があることに気づく。なかなかお洒落なお店で一見、惣菜店には見えない。ここで何か買って帰るという案もありだろう。

 入口付近に置かれたテーブルの上には各種の弁当が積まれている。どれも美味しそうだ。店内の冷蔵ショーケースの中にはさまざまな惣菜が大きな容器に盛られている。ケースの上には揚げ物類が並べられている。さらに店の奥のほうにあるケースの中は焼魚などのラインナップだ。とんかつやから揚げなどもあるが、肉料理は完全に脇役である。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 店内の総菜を一通り眺めた後、気になった「ぶりの照焼」に「ザーサイのあえもの」と「ぬか漬け」を購入する。あえものは50gから買えるとの説明を受けたが100gにしてもらった。

 支払いを済ませて店を出る。部屋に戻ったらいったん何かを腹に収めてからもうひと仕事することにしよう。ここで買った総菜で晩酌する楽しみを後に取っておけば、きっと仕事が捗るはずだ。

※画像はイメージです(筆者撮影)

文/仲田しんじ

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