パナソニック「ビビ・L・押し歩き」
コロナ禍によりニューノーマルなライフスタイルが広がる中、移動手段として自転車を利用する頻度が多くなったという方もいるのではないだろうか。
筆者の場合も、リモートワークが増えたということもあり、それまでは2~3か月に1度ぐらいしか出番のなかった自転車だったが、食品や日用品の買い出しなどに週3回ぐらいのペースで乗るようになった。
もちろん、近所の買い物に使うのが主な目的でもあり、住まいが都内でも坂の多い場所のため、いわゆる“ママチャリ”と呼ばれるショッピングタイプの電動アシスト自転車を利用している。
そんな中、パナソニックから国内初(※1)となる押し歩き機能搭載の電動アシスト自転車「ビビ・L・押し歩き」が、今年の7月6日より発売されるという情報を入手したのだが、その一報を知って頭をガーンと殴られたような衝撃が走った。
多分、ショッピングタイプの電動アシスト自転車に乗っている方だとわかると思うが、通常のモーターアシストのある状態での走行では、スイスイと快適な電動アシスト自転車も、押して歩くとなると、その部品点数の多さや頑丈なつくり故の重さもあってなかなか大変。
しかも、買い物の重たい荷物を積んで歩道橋や立体駐輪場などのスロープを押して歩くなど、かなりの労力なのだ。そんな便利で快適な押し歩きを補助してくれる機能が搭載されるなんて、考えただけでもワクワクしてくる。
ということで、さっそくパナソニックの広報の方にお願いして電動アシスト自転車「ビビ・L・押し歩き」を試乗&押し歩きさせてもらったので、その様子をレポートしたい。
(※1)2019年12月1日施行 改正道路交通法で原動機を用いる歩行補助車等と駆動補助機付自転車の双方の型式に適合した自転車
押し歩き機能を搭載するために粘りに粘った6年間
実は、この「ビビ・L・押し歩き」が誕生した背景には、以前から電動アシスト自転車は、一般自転車と比べ車体が重いため、自転車を降りてからの取り回しに不便さを訴える声があり、パナソニックでは押し歩く際もアシストしてくれる機能を搭載したいと6年間にもわたり試行錯誤を続けてきたのだという。
ただ、それまでは日本の道路交通法施行規則が壁となり叶わなかったのだが、2019年12月1日に改正道路交通法が施行され、原動機の駆動により押し歩きを補助する自転車についても、歩行補助車等となり、歩行者としてみなされることとなった。
そのおかげで、押し歩き機能搭載電動アシスト自転車の発売が可能になったのだが、それには押し歩き時の駆動速度が6km/h以下であること、乗車装置(サドル)が使えず乗れないこと、自転車から離れると駆動が止まること、という3つの条件が定められていた。
そこでパナソニックでは、4つのセンサー(サドル傾斜センサー、モーター内蔵センサー、トルクセンサー、スピードセンサー)による制御で解決。
電動アシスト自転車の押し歩きを補助する機能を、買い物に便利なショッピングシリーズ「ビビ」の中で、高齢者の使用率が高い軽量モデル「ビビ・L」に搭載したという。なお、これからの評判やニーズによっては、ほかのモデルへの搭載も検討していくとのことだ。
お~!と声を発してしまう驚きの「押し歩き機能」
今回、この電動アシスト自転車「ビビ・L・押し歩き」の試乗をお願いしたところ、なんと、東京・汐留からDIME編集部のある一ツ橋までの約4.5kmを20分ほどかけて自走して届けてくれたパナソニック広報の足立さん。そんな状況でも、快適な走りでまったく疲れを見せず颯爽と登場。
さっそく、近くのスロープのある場所に移動して、押し歩きを試すことになったのだが、まずはその準備から。
「ビビ・L・押し歩き」には、乗車時に押し歩き機能が作動しないようにサドル傾斜センサーが搭載されているため、まずは上の写真のようにサドル下のレバーを引き上げながら傾斜させて、乗車できない状態にする必要がある。
そして電源を入れて、押し歩き専用手元スイッチの「押歩き」ボタンを押すだけ。このとき、「押歩き」ボタンを押している間のみ機能が作動し、指が離れると押し歩き機能を自動で停止する、安全性を考慮した機構となっている。
上の2枚の写真が、実際に押し歩き機能を使用していない場合(上の写真)と使用した場合(下の写真)の様子なのだが、自転車の前カゴには1Lの水の入ったペットボトル2本を積み、スロープの傾斜もきついのがわかると思う。
やはり、押し歩き機能を使用していない場合は、腕も足腰もかなりの力を必要として踏ん張っているのに対し、使用時には女性の力でも楽々と上れてしまう。この後、筆者と編集担当者も体験させてもらったのだが、スイスイと上れてしまう快適さに、2人とも思わず「お~」という驚きの声を発してしまったほどだ。
最後に、乗車してモーターアシストのある通常走行も体験させてもらったのだが、あまりの楽しさに顔もほころんでしまうのが、上の編集担当者の写真からも伝わってくるだろう。
さて、この“押し歩き”機能搭載の「ビビ・L・押し歩き」は、もう自転車の世界では、走行時の電動アシスト以外の画期的な進化はないだろうと思っていただけに、正直、驚かされた。
この機能をぜひ子供を乗せるタイプなど搭載モデルを広げて行く一方、さらにこれからも、人にとってやさしく、便利で快適な自転車へと、どんどん進化を続けて行って欲しい。
関連情報:https://cycle.panasonic.com/
取材・文・撮影/土屋嘉久(ADVOX株式会社 代表)
「CanCam」「Oggi」「Domani」などのファッション誌やサイトの編集に長年にわたり携わる。現在は、DIMEにてクルマや家電、グルメ、ファッション情報、また小学館Men’s Beautyでは、男性に向けた美容・健康法、コスメ情報なども発信。
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