
2回目に異なる新型コロナワクチン接種、その安全性は?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンを、1回目は米ファイザー社製のワクチン、2回目は英アストラゼネカ社製のワクチンという具合に混合して接種すると、副反応の生じるリスクが増大する可能性のあることが報告された。
英オックスフォード大学准教授のMatthew Snape氏らが実施中の研究から明らかになったこの予備データの詳細は、「The Lancet」に5月12日掲載された。
Snape氏らは、英国の50歳以上の830人を対象に、1回目と2回目とで異なるCOVID-19ワクチンの接種が有効な予防手段となるか否かを検討している。
試験では、対象者のうちの463人をワクチンの接種間隔を28日とする群、367人を84日とする群に二分し、さらにそれぞれの群内で、4種類の組み合わせでワクチンの初回接種と追加接種を行う群にランダムに割り付けた。
4種類の群とは、1回目にアストラゼネカ社製のワクチン、2回目にファイザー社製またはアストラゼネカ社製のいずれかのワクチンを接種する群と、1回目にファイザー社製のワクチン、2回目にアストラゼネカ社製またはファイザー社製のいずれかのワクチンを接種する群である。
その結果、28日の接種間隔で2回接種した人(461人)では、初回接種と追加接種でワクチンの種類を変えた場合に、発熱や倦怠感、関節痛などの軽度から中等度の症状が生じる率が高いことが明らかになった。
例えば、発熱が生じた人の割合は、2回ともアストラゼネカ社製のワクチンを接種した場合で10%、2回ともファイザー社製のワクチンを接種した場合で21%だったのに対して、1回目にアストラゼネカ社製、2回目にファイザー社製のワクチンを接種した場合には34%、1回目にファイザー社製、2回目にアストラゼネカ社製のワクチンを接種した場合には41%に上昇していた。
このような副反応のほとんどは、接種後48時間以内に認められたが長続きはせず、副反応による入院例はなかった。
また、血清学的・生化学的データにも群間差はなく、追加接種後7日の時点で血小板減少症が認められた人もいなかった。
ただし、Snape氏らは、今回のデータは50歳以上の患者から得られたものであるため、若い患者ではもっと頻繁に副反応が生じる可能性もあるとしている。
こうした結果についてSnape氏は、「この結果は、われわれが検証しようとしていることの二次的な部分に過ぎない。それでも、このような異なるワクチンを用いた接種スケジュールが複数の国で検討されていることを考えると、この結果を人々に伝える意義は大きい」と話している。
その上で同氏は、「重要なことは、安全面での懸念はないということ、そして、現時点では、免疫応答への影響については不明だということだ。免疫応答に関するデータについては、数カ月以内に報告できると考えている」と説明している。
なお、同氏によると、ワクチンの接種後早期にパラセタモール(アセトアミノフェン)を定期的に服用することで、副反応を低減できるかどうかについても検討中であるという。
さらにSnape氏は、「今回の結果から、1回目と2回目で異なるワクチンを接種した場合には、2回目の接種翌日の欠勤が増える可能性がある。医療従事者は、ワクチン接種を計画する際にこの点について考慮する必要がある」と助言している。(HealthDay News 2021年5月13日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)01115-6/fulltext
Press Release
https://www.ox.ac.uk/news/2021-05-13-preliminary-data-suggests-mixing-covid-19-vaccine-increases-reactogenicity-0
構成/DIME編集部
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