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奥が深い!?アウディ車に採用されている「典型的なステアリングフィール」とは?

2021.05.29

ステアリングホイールには、車両そのものと同じくらい長い歴史がある。当然のことながら、ステアリングホイールの操作によって向きを変えるというのは、クルマの走行において大前提となっている。

しかし、その背後に存在するステアリング関連技術は非常に複雑なもので、近年さらにその洗練度を高めている。アウディに在籍する開発担当者が追求するものは、ダイナミックなハンドリングと快適性の完璧な組み合わせ。

ステアリングアシスタンス機能は、車線変更、障害物回避、駐車といった日常走行での行動に、さらなる安全性とサポートを提供する。その結果、現代のステアリングホイールはコミュニケーションデバイスとなり、単なる操舵用のホイールから進化を遂げた、ハイテクなコマンドセンターとなりつつある。

アウディに採用される、典型的なステアリングフィールとは、どのようなものなのか?

ステアリングを握った手に感じられる慣性モーメント(手ごたえ)とフィードバックは、ステアリングフィールにとって決定的に重要だ。すべてのアウディは、最小の操舵力でスムーズかつ精密に切り返しや駐車ができるように設計されている。言い換えると、少ない労力で運転できることが1つの特徴となっている。つまり、手に感じられる慣性モーメントは小さく抑えられているのだ。

しかし、速度が上がると手ごたえも大きくなっていく。その結果、俊敏なハンドリングと最高のドライビングダイナミクスが実現し、カーブを正確に走り抜けることができるようになる。そのスポーティなキャラクターは、ステアリングホイールのニュートラル位置周辺におけるコントロール性と安定性によって強化されている。

これは、速度だけでなく、横風や路面状態などに影響を受ける、高速道路での走行時に明確に体感することができるだろう。ドライバーの修正舵の際の手の動きは大幅に少なくなる。操舵角は、センサーが常に計測している。セルフステアリング特性は、ニュートラル位置周辺で精密に感じられるが、大きな横方向の力が加わった場合は、それに応じて引き上げられる。

また、最高のステアリングフィールを実現するには、ドライバーのステアリング操作に対してクルマが瞬時に反応する必要がある。アウディにおいて、ステアリングホイールの操作がアクスルに伝達される時間は、わずかコンマ数秒となる。

ステアリングフィールに影響を与える要因とは?

ステアリングバランスは、原則として車両の走行に関連する3つの大きな物理特性に影響される。すなわち縦方向、横方向、垂直方向の力学だ。そのため、クルマの加速や減速に加え、カーブの走行時に発生する横方向の力、ホイール負荷の変動、シャシーのばね上の振動なども影響を及ぼす。

アウディの技術者が掲げる主な目標とは、走行環境、バランス、グリップレベル、路面の凹凸などによってフロントアクスルにかかる力を、ドライバーに適切にフィードバックすること。適切に調整されたステアリングは、状況に応じて直線的あるいは累進的な方法で、予測可能な反応を示す。

さらに、物理的な限界に達したことも、常にドライバーに伝達する。フロントアクスルが耐えられる限界のコーナリング力がかかった場合、ステアリングトルクが明確に低下し、アンダーステアが始まる。すなわち、ステアリングフィールは安全な走行に大きな貢献を果たすのだ。

それぞれのモデルは、どのようにして個別のステアリング特性を決めるのか?

アウディは、手に感じられる慣性モーメントの数値範囲を厳格に定めている。各モデルでは、その範囲内でそれぞれのステアリング特性を決定している。例えば、コンパクトカーのカテゴリーにおいて、「S」および「RS」モデルは、Audi A1やA3などと比べ、ステアリングの慣性モーメント(手ごたえ)は高めに設定されている。

さらに、シリーズ内のステアリングシステムは、エンジンやシャシーのバリエーションによってファインチューンを受ける。開発者の目標は、走行安全性、快適性、スポーティさのバランスが常に取れた最高のステアリング特性を、モデルシリーズごとに達成すること。

ユーザーは、アウディドライブセレクトを経由して、さまざまなモードを選択することで、ステアリング特性を調整することが可能となる。例えば、「ダイナミック」モードにおけるステアリングの手ごたえは、「コンフォート」モードよりも大きくなるということ。

スチールフレームからハイテクステアリングへ – アウディにおけるステアリングホイールの進化

ステアリングホイールは、方向を変えるツールであるだけでなく、デジタルコントロールセンターであり、人と機械の間に存在する、もっとも重要なインターフェイスでもある。アウディの最新モデルでは、コミュニケーションからインフォテインメント、コンフォート関連に至るまで、最大18の機能をマルチファンクションボタンで操作する。従って、ステアリングホイールは、真のコマンドセンターへと変化している。すべての共通点としては、アウディらしいスポーティなデザイン、ドライバーの手に収まる優れた人間工学設計、直感的な操作による高い機能性などが挙げられる。

そもそも、なぜステアリングホイールを使用するのか?

120年以上にもわたり、ステアリングホイールは、インテリアにおける主要な装備であり続けてきた。しかし、自動車の黎明期においては、ステアリングレバーやハンドルバーが採用されていた。ドライバーは、それらを使って操舵を行っていた。しかし、精密さや柔軟性の点で問題を抱えていた。

その後、フランス人エンジニアのアルフレッド ヴァシュロンが、「ヴォラン」と呼ばれるステアリングホイールにより、フロントホイールのステアリング精度を向上させるメカニズムを最初に発明。これは、丸いコントローラーを数回転させて、徐々に操舵角を変化させてゆく構造を採用した。その登場から間もなく、ステアリングホイールは、世界における標準的な操舵装置となったのだ。

アウディのステアリングホイールは、時間の経過とともにどのように変化してきたか?

アウディは、Type A、Type Bといった初期の生産モデルにもステアリングホイールを採用していたが、それは大きな輪としか言えないような外見であった。それ以来、さまざまな変化が起こった。ステアリングホイールは着実に進化を遂げてきたのだ。

アウディが1980年代に導入した油圧パワーステアリングにより、ステアリングホイールは小型でより扱いやすくなった。構造と機能もまた変化してきた。ただ1980年代末の段階でも、複合フレームを採用したステアリングホイールは、ホーン機能しか備えていなっかた。

しかし、1991年に運転席エアバッグが標準装備されるようになる。ボリュームコントロールやスキップ機能などのスイッチ類も設置され始めた。今日、最新世代のステアリングホイールは、スチールよりも大幅に軽量で、強度、衝撃吸収性、鋳造性に関しても大きな利点を備えるダイカストフレームを採用。

ステアリングホイールで操作可能な機能は最大で18にも及び、静電容量式タッチセンサーも備えている。これは、ステアリングアシスト機能をサポートするもので、すべてのアウディのステアリングホイールに採用されていく。

ステアリングホイールのデザインとエルゴノミクスを決めるのは、どのような要素なのか?

デザインと感触のため、ステアリングのサイズはある程度規定されている。リムのジオメトリーは、ステアリングホイールの全体的な形状を決定する。アウディの信念とは、「リムの形状と中心は、できるだけ小さくコンパクトにする必要がある」ということ。ステアリングホイールは、必ずスポーティなデザインでなければならない。

アウディはステアリングホイールの直径基準を375mmとし、すべてのモデルシリーズに適用している。リムプロフィールの全体的デザインは、自然に閉じた手のひらの形に対応している。リムの太さは30~36mmに設定されているが、これは静電容量式タッチセンサーやステアリングホイールヒーターを採用する場合の限界値に近いもの。

すべてのステアリングホイールは、ダブルフォーム材のクッション構造を備え、きわめて均質な表面仕上げと、滑り止めの感触を提供している。ラジアスアームの位置は、ドライバーの着座姿勢によって規定される基本的なレイアウトに適合している必要があり、シフトパドルやピットマンアームの視界を妨げないことが前提となる。

ライバル車と比較すると、アウディのステアリングホイールに採用されるラジアスアームは非常に細い設計となっており、強度と衝突時安全性を確保するために高度な技術が採用されている。ステアリングホイールに関するもう1つの信念は、「すべてのコントロールスイッチ類は、ドライビングに影響を与えることなく、左右いずれかの親指で操作可能である」ことなのだ。

傾斜角、高さ、深さ:ステアリングホイールの位置はエルゴノミクスにどのような影響を及ぼすのか?

ステアリングホイールの傾斜角はドライバーの着座姿勢に左右され、車両コンセプトによって17〜24°の間に設定されている。アウディのSUVでは22〜24°に、コンパクトカー、セダン、Avantシリーズなどでは17〜21°の間に設定。ドライバーの着座位置が低く、直立に近い姿勢になるスポーティなモデルでは、ステアリングコラムの傾斜角はよりフラットになる。これは、ステアリングホイールが進行方向に対して、より直立に近いことを意味する。

また車両コンセプトに関係なく、すべてのディスプレイの視認性を常に確保する必要がある。アウディの全モデルにおいて、ステアリングホイールの位置は±30mmの調整が可能なため、ドライバーの体格にかかわらず適切なポジションに調整することが可能で。一般的に、ドライバーの上半身とステアリングホイールの間には25~30cmの距離が必要で、肘はわずかに曲がっているのが理想とされている。

エアバッグと多彩な機能は、ステアリングホイールのデザインを制限するのか?

デザイナーとエンジニアは、ステアリングホイールの設計において非常に緊密に協力している。重要なパラメーターは、リムの直径、運転席エアバッグ用のスペース、スイッチの数であり、これらが一体となってラジアスアームの幅が決定される。エアバッグが導入され始めた当初は、クッション容量が非常に大きかったため、ステアリングホイールの中心部はどうしても大きくならざるを得なかった。

世代を重ねて開発が進んだことにより、エアバッグはコンパクトに折りたためるようになってきた。同時に、エアバッグが正しく機能することも重要。ティアラインの輪郭は見えないようにする必要があるが、衝突時には、所定のブレークポイントが瞬時に開く必要がある。

スイッチに関するアウディの基準とは、走行中に迅速なアクセスが本当に必要な機能だけをステアリングホイールに配置するということ。例えばエンターテインメントやバーチャルコックピット関連、ボイスコントールスイッチ、電話機能などだ。アシスタンスシステム、ワイパー、方向指示器などのコントローラーは、常にピットマンアームの所定の位置に設置される。

Q4 e-tronに搭載されている新世代のステアリングホイールは、何が特別なのか?

Audi Q4 e-tronおよびQ4 Sportback e-tronに採用されているステアリングホイールは、デザイン、人間工学設計、機能性に関して新たな基準を打ち立てるもの。全部で18の機能を搭載し、ブラックパネルの外観を備えたタッチパネル経由で操作できるようになった。機能エリアに装備されたバックライトが、有効になっているボタンを示す。有効になっているボタンがない場合、ハイグロスブラックのタッチパネルは、ほとんどそれと分からないほどだ。

ステアリング中央に配置されるアウディリングは、従来と同じフラットな二次元デザインを採用。もう1つの新機能は、今回初めてボトムフラットおよびトップフラット形状のステアリングホイールリムを採用したこと。この形状により、車内に未来的な雰囲気が創出され、先進性が強調され、車両への乗り降りも容易になる。

乗り降りのしやすさは、ステアリング軸オフセットも影響する。Audi Q4 e-tronにおいて、ステアリングホイールはステアリングホイールハブからわずか7.5mmのみオフセットされている。ドライバーはメーターパネルをよく見渡すことができ、車両への乗り降りも行ないやすく、ステアリングホイールの回転特性も最適化されるのだ。

タッチパネルは、本当に直感的に操作できるのか?

タッチパネルは小さな突起で縁取られており、使いやすさを高めている。タッチパネルに偶然指が触れても、すぐに反応することはない。システムは操作を検出する機能を備えており、ドライバーが一定の力でボタンを押し下げた場合のみ触覚フィードバックが提供される。

これは、センターコンソールにあるMMIタッチに採用されているものと同じテクノロジーだ。圧力ポイントを介して有効化されるパネルは、指の位置を認識する。起動時には、機械的なクリック音も発生。つまりドライバーは、触覚によって直感的な操作ができるのだ。この操作コンセプトは、スマートフォンやタブレットでお馴染みとなったテクノロジーをステアリングホイールに採用したもの。ナビゲーション画面やメディア、車両機能メニューなどのスクロールには、タッチだけでなくスワイプ操作も利用できる。

インテリジェントステアリング

インテリジェントなコントローラーとアシスタンスシステムにより、快適性と車内で使用できるインフォテインメントの幅が広がったばかりでなく、ドライビングダイナミクスとステアリングフィールも最適化された。

ハンズオン検出機能とは?

静電容量式タッチセンサーは、ハンズオン検出機能とも呼ばれる。これは、ステアリング操作に介入するアシストドライブ機能をサポートし、車線変更、障害物回避、駐車といった車両操作における安全性を高める。ステアリングホイールリムのフォーム材内部に設置されたセンサーパッドにより、ドライバーがステアリングホイールに手を添えているかどうかを検出。

強い力でステアリングを握る必要はない。非常に優しくステアリングを握った場合でも検知可能で、リラックスした運転が可能だ。ステアリングホイールに統合されたコントロールユニットは、ドライバーがステアリングを握っているかどうかを継続的に評価し、ドライバーが交通の流れに従って走行できる状態であるかどうかを判断する。ステアリングホイールに触れていない状態が15秒以上続くと、一連の視覚的および音響的警告が発せられる。

この新世代のステアリングホイールは、ステアリングを握っている力を検知するトルクベースのセンサーと比べて高い快適性を実現。以前は、ドライバーがクルマを制御していることをアシスタンスシステムに示すため、直進時でもステアリングホイールを左右に動かす必要があった。

アシスタンスシステムは、どのような状況でステアリングに介入するのか?

一部のアシスタンスシステムは、重大な状況でドライバーが適切にステアリング操作を行うのをサポートする。アクティブレーンアシストが統合されたアダプティブクルーズアシスト(ACA)は、クルマを常に車線の中央に維持する。方向指示器を出すことなく車線に車体が近づいてゆくと、緩やかながらも明確に分かるステアリング介入によって、中央部への復帰をサポート。車線を横切って運転すると、触覚フィードバックを介してドライバーに警告が発せられる。

ACCのサブシステムでもあるトラフィックジャムアシストは、渋滞時に車両がゆっくりと走行している場合、最大65km/hの範囲でドライバーをアシストする。システムは、穏やかにステアリングに介入することでクルマを誘導し、車線、道路際の障害物、他の車両などと間隔を取って走行することをサポートする。

衝突回避アシストは、障害物を避けるために操舵を行わなければならない危険な状況でドライバーを支援。警告を受けたドライバーが積極的に障害物を回避する場合、衝突回避アシストは各ホイールに理想的な制動を行い、ステアリングトルクを最適化する。仮にドライバーがステアリングを切りすぎている場合はトルクを低減し、操舵が足りない場合はトルクを増加させる。このアシスタントは、走行レーンへの復帰時にも同様のサポートを行なう。

パークアシストは、駐車操作を完全に自動で行うことができる。超音波センサーが適切な駐車スペースを検知した場合、ドライバーは、アクセル、ギアシフト、ブレーキを操作し、駐車手順を監視するだけで、パークアシストが自動的にステアリングの操作を行なってくれる。

エレクトロニックシャシープラットフォームは、ステアリングにどのような影響を与えるか?

現代の自動車には、約100のコントロールユニットが搭載され、それぞれが1つの機能のみを担っている。しかし、最新のシステムは驚異的な処理能力を実現し、レーダー、カメラ、超音波、LIDARなどの各種センサーを統合して、複数の機能を管理することができるインテリジェントな中央制御ユニットとなっている。

シャシーコンポーネントとステアリングシステムの調整において、アウディはエレクトロニックシャシープラットフォーム(ECP)を採用した。このマルチコントロールユニットは、2015年にQ7に初搭載され、現在はA4以上のミッドサイズ、フルサイズ、ラグジュアリーモデルの全てに採用されている。

このシステムは、車速や上下動、ロール、ピッチに関係するあらゆる情報、センサーからの信号、オーバーステアやアンダーステアといった特定の状況下における車両の挙動に関する情報を処理する。ECPはその情報を使用して、走行状況およびタイヤと路面間の摩擦係数を示すスナップショットを継続的に生成。エレクトロニックシャシープラットフォームは、サスペンションシステムからの数多くのデータを活用し、各コンポーネントの理想的な作動をミリ秒単位で計算する。

アウディのステアリングシステム

アウディは現在、道路上における敏捷性、快適性、安全性に貢献する、5種類のステアリングシステムを採用している。各モデルは、アウディの基準を反映した軽い操舵力によるステアリング特性を備え、正確でスポーティな走りを実現している。最上位のシステムは、ダイナミックオールホイールステアリングだ。このシステムで、アウディは物理的な限界点を追及し、扱いやすさと非常に高い精度を組み合わせている。

先進的:電動パワーステアリング

電動パワーステアリングは今日の最先端技術であり、現代のすべてのプレミアムカーに搭載されている。このシステムは、油圧コンポーネントなしで作動するため、エネルギーを大幅に節約することができる。また、ステアリング介入を伴うすべてのアシスタンスシステムの技術的基盤にもなっている。電動パワーステアリングは、車速に対応したステアリングアシスタンスを提供し、方向安定性に貢献する。それにより、スポーティなステアリングフィールと緻密な路面フィードバックが提供される。

幅広い適用範囲:電動プログレッシブステアリング

「プログレッシブ」とは、ステアリングホイールの位置によって操舵力が調整されることを意味する。ステアリングのラック&ピニオンは、そのための特殊形状とギヤ設定を備えている。シャープな操舵角では、ギヤ比も小さくなり、ステアリングフィールは非常にダイレクトなものになる。

切り返しや車庫入れをする場合は、ステアリングホイールのロックトゥロックが、最大でも2.5回転に設定される。ワイディングロードでも、よりダイレクトなギヤ比により、ダイナミックな走りが実現している。パワーステアリングのアシスト力は、速度に合わせて調整される。低速走行時はアシスト力が高められ、ステアリングの操舵力が軽くなる一方で、速度が上がるとアシスト力は低下する。電動プログレッシブステアリングは、アウディで最も普及しているステアリングテクノロジーだ。

最小の回転:ダイナミックステアリング

ダイナミックステアリングは、速度、操舵角、アウディドライブセレクト ダイナミックハンドリングシステムで選択されたモードに応じて、ステアリングレシオを最大100%変化させる。その中心的コンポーネントは、ステアリングコラムに設置されたスーパーインポジションギアだ。これは従来型のステアリングコラムと同様に、ドライバーのステアリング入力を直接伝達する。

さらに、フロントアクスルのステアリングギアにも直接的な機械的リンクが設けられ、ホイールに伝わる力に対しても、関連するフィードバックが行なわれる。電気モーターと組み合わせられたスーパーインポジションギアは、操舵角を増減し、走行状況に合わせてステアリングレシオを調整。これにより、速度や走行状況に応じたステアリングの快適性とトラッキング挙動が向上する。

低速走行時(市街地および操舵中)には、ステアリングレスポンスは非常にダイレクトな設定となる。ロックトゥロックは、わずか2回転。パワーステアリングのアシスト力も高くなり、駐車や切り返しが容易になる。郊外の道では、ステアリングレスポンスのダイレクトなフィーリングが軽減され、電動アシストの量も速度とともに徐々に低下する。高速走行時には、ステアリングレシオとアシスト量がさらに低くなり、直進時におけるスムーズなステアリングの動きが実現する。

4輪を操舵:オールホイールステアリング

アウディは、2014年に発表されたQ7にオールホイールステアリングを搭載し、敏捷性に関して新たな基準を設定した。オールホイールステアリングは、前後アクスルの操舵角を独立して調整することができる。システムは、フロントおよびリヤアクスルの操舵に電動パワーステアリングを使用し、電動スピンドルドライブとリヤに2本のタイロッドを備えている。

操舵信号はドライブバイワイヤシステムを介して、ステアリングリンケージとリヤのアクチュエーターに電気的に送信される。低速走行時には、後輪は前輪とは逆向きに最大5°まで回転。これによって回転半径が約1メートル縮小され、駐車時や狭い場所での切り返しが楽になる。

しかし、速度が60km/h以上になると、前輪と後輪は同じ方向に回転する。後輪を最大2°まで同一方向に操舵することで、高速道路における挙動が安定し、車線変更時の安全性も高まる。オールホイールステアリングによって、アウディのラグジュアリーSUVは、セグメントでもっとも俊敏なモデルとなっている。

最高の組み合わせ:ダイナミックオールホイールステアリング
オールホイールステアリングをさらに進化させたダイナミックオールホイールステアリングは、Audi A6、A7、A8にオプション設定されている。なおAudi S8には標準装備される。これは、アウディのステアリングシステムにおける最上位のテクノロジーであり、フロントアクスルのダイナミックステアリングとリヤアクスル操舵システムを組み合わせたもの。

このシステムにより、アウディは物理の法則の限界を追及している。ダイナミックオールホイールステアリングは、特にしきい値の範囲で大きなメリットをもたらす。このシステムは、ダイレクトでスポーティなステアリングレスポンスと素晴らしい走行安定性を融合し、非常に高い精度と取り回し性を特徴としている。全体的なステアリングレシオは、9.5~17.0の範囲で変化し、低速ではダイレクトな走行フィールを、高速走行時は優れた安定性を提供する。

関連情報:https://www.audi.co.jp

構成/土屋嘉久(ADVOX株式会社 代表)

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