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Macにも使われているM1チップを搭載!新型「iPad Pro」を使ってわかった○と×

2021.05.30

■連載/石野純也のガチレビュー

 M1チップを搭載したiPad Proが、2021年5月21日に発売された。サイズは12.9インチと11インチの2つで、18年モデルからのサイズ構成を踏襲。ホームボタンのない全面がディスプレイのデザインを引き継ぎつつ、処理能力を大幅に向上させたのが、最新のiPad Proの特徴だ。12.9インチ版については、ディスプレイも進化。新たに、バックライトにミニLEDを採用した「Liquid Retina XDRディスプレイ」を搭載する。

 iPadシリーズの全モデルを通じて、初めて5Gに対応したのもこのモデルから。日本版は、大手3キャリアのSub-6が利用でき、5G専用の新周波数帯を使ったエリア内であれば、高速な通信を利用できる。iPad Proは、写真や動画などの処理能力に優れているため、扱うデータサイズも大きい。5G対応はまさに待望と言える。

 高い性能を持ったiPad Proとして、前評判も上々な最新モデルだが、実際の使い勝手やパフォーマンスはどうか。発売に先立ち、12.9インチ版の実機を使って、実力をチェックした。

M1搭載で中身を刷新した第5世代の12.9インチ版iPad Pro

歴代iPadを大きく超え、PCに迫るパフォーマンスの高さ

 新しいiPad Proのもっとも大きなトピックは、やはりチップセットにMacbook AirやMacbook Proと同じM1を採用したことだろう。元々のiPadやiPad Proは、iPhoneから派生したAシリーズのチップセットを搭載していた。iPadが誕生した経緯も踏まえると、その位置づけはスマートフォンに近かったと言える。これに対し、第5世代の12.9インチiPad Proと第3世代の11インチiPad Proは、M1チップを採用し、PCと並ぶパフォーマンスを手に入れた。スマホとPCの中間的な存在だったiPadだが、最新のiPad Proに関してはPCにさらに近いづいたというわけだ。

 パフォーマンスの高さも、その位置づけの変化を裏付ける。CPU、GPUともに、処理能力は2020年3月に発売されたiPad Proを大きく上回る。と言っても、20年モデルのパフォーマンスが低かったわけではない。むしろ、タブレットとしては最上位に近い性能を備えた端末だった。こうした数値も、iPad Proがタブレットというジャンルを再定義しつつある証拠だ。ベンチマークアプリでのスコアも、それを裏付ける。以下に掲載したのは、「Geekbench 5」で取ったスコアだ。

CPUのスコアは、シングルコア、マルチコアともに歴代最高

GPUのスコアは、先代のモデルの2倍程度まで上がっている

 ご覧いただければわかるとおり、CPUのシングルコア、マルチコア、GPUのすべてで、スコアは前モデルを大きく上回っている。特にジャンプアップの幅で目を見張るのがGPUのスコアで、その数値は約2倍になっている。数値にすると、200%の性能向上を果たしたということ。120%、130%といった性能向上は一般的で見慣れているかもしれないが、1年間隔のモデルチェンジで、一気に2倍になってしまったのは驚きだ。

 ベンチマークアプリだけでなく、実利用でも、パフォーマンスの高さは十分感じることができる。ただし、ここまで性能が上がってくると、ブラウジングやシンプルなゲームアプリ程度では、差を感じるのは難しくなる。違いが出やすいのは、サイズの大きな写真を複数枚同時に処理して書き出したり、動画のエンコードをしたりといった時だ。新しいiPad Proで、Lightroomを使って写真を処理したり、4K動画の編集をしてみたが、いずれも高速。最上位のノートPCにはかなわないかもしれないが、モバイル用端末としては十分な性能と言える。

4K動画の編集や書き出しなどの動作も、非常にスムーズ。書き出しの速度も速い

 もちろん、iPad Proである以上、M1搭載Macと同様のファンレスだが、上記のような負荷をかけても、本体はあまり熱くならない。これも、効率性や省電力性の高いM1ならではの設計と言えそうだ。12.9インチ版のiPad Proに関しては、ディスプレイにミニLEDを採用しており、消費電力が上がっていそうな気もするが、持続時間についてはほぼほぼ同レベル。オンライン会議や動画視聴などで画面をつけっぱなしにしても、バッテリーの減り方は緩やかだ。

Magic KeyboardやApple Pencilなどのアクセサリーで担保される拡張性

 先に述べたように、デザインは2020年に発売されたiPad Proを踏襲している。ホームボタンのない全面がディスプレイの形状になっており、ソリッドな印象はそのまま。側面にはApple Pencilを装着、充電するためのポートを搭載する。このポートにApple Pencilを近づけると、磁力でピタッと止まる仕様だ。背面下部には丸型の端子が並んでいるが、これはキーボードを装着するためのもの。2020年に発売されたMagic Keyboardをつけると、あたかもPCのように使える。

側面には、Apple Pencilを装着するポートがある

背面の端子は、キーボードをつなぐためのものだ

 念のため言及しておくと、12.9インチ版のみ、サイズがわずかに厚くなっているため、Magic Keyboardもそれに合わせて再発売されている。端子の形状が同じで、こちらも磁石で接続する仕組みのため、2020年発売のMagic Keyboardをそのまま使えないわけではないが、サイズの違いから、閉じた時にピッタリはまらないおそれがある点には注意したい。11インチ版に関しては、サイズも同じになっているため、Magic Keyboardはそのまま使い回すことが可能だ。

 Magic Keyboardの打ち心地は抜群。「ライブ変換」を組み合わせて使うと、ローマ字を入力していくだけで、自動的に文章が完成していく。言い回しによっては誤変換もあるが、1文1文自分でスペースを打って確定させていくよりも、慣れればスムーズに入力できる。特に12.9インチ版はキーピッチがPCとほぼ同じ、キーストロークはやや浅いものの、しっかりとしたクリック感はある。入力のレスポンスもいいため、文章を快適に作成できるのはiPad Proの魅力だ。

Magic Keyboardを装着すると、まるでPCのような姿になる

キーの押し心地もよく、文章を素早く書くことが可能だ

 iPad Proのモデルチェンジに合わせ、ホワイトのMagic Keyboardも発売され、ブラックとの2色展開になった。ホワイトは、クリーンなイメージでシルバーの本体と相性が抜群。これまでは、スペースグレイに合ったブラックしかなく、シルバーの本体とはやや色味が合っていなかったが、ホワイトの登場によって、その悩みが解消された格好だ。スタイリッシュなデザインだけに、アクセサリーにもこだわりたいところだ。

新たに発売されたホワイトのキーボード。シルバーの本体にピッタリ

 iPad Proから搭載が始まり、今やiPadシリーズ全体の代表的な機能の1つになったApple Pencilにも対応する。第2世代のApple Pencilで、書き心地は抜群。前モデルから大きく進化したというわけではないが、これもiPad Proの魅力だと再確認させられた。iOS 14からは、手書き文字を認識する「スクリブル」に対応しているが、日本語には未対応なのが残念。URLなどの入力には使えるが、文字認識はできないため、今後の対応に期待したい。

Apple Pencilの書き心地は、従来モデル同様抜群だ

新機能のセンターフレームに対応、超高速通信の5Gも魅力

 ハードウエア的に前モデルから変わった点の1つが、前面に搭載されたFaceTimeカメラだ。カメラは以前より広角になり、横位置で撮ると、3人ぐらいまでを画面内に収めることができる。EXIFの情報によると、35mm判換算での焦点距離は14mm。撮影中には、従来の画角に近い28mmにボタン1つで切り替えることも可能だ。ハードウエア的に超広角で広めに写しておきつつ、必要な部分を切り出す仕組みを採用した。と言っても、このカメラはセルフィー用というより、むしろオンライン会議アプリを意識したものだ。

FaceTimeカメラが超広角になり、複数人での撮影も可能になった

14mm程度の超広角で、縦位置で撮ると、お腹のあたりまで入る

 超広角で幅広く撮れれば、2人で会議に参加したようなケースでも、本体を動かすことなく、両方の人を画角に収めることが可能になる。さらに、iPad Proには「センターフレーム」と呼ばれる機能があり、ユーザーの顔を自動的に追尾する。オンライン会議中に姿勢を変えて、カメラの画角から外れてしまった時に、本体の位置を調整しなくていいというわけだ。センターフレームは、FaceTimeに対応しているのはもちろん、ZoomやWebexといったサードパーティのアプリでも利用できた。

センターフレーム対応しており、自動で自分の顔を中央に寄せてくれる

 5Gに対応しているのも、新しいiPad Proの魅力だ。日本では、大手3キャリアのサービス開始から1年が過ぎ、エリアも徐々に広がっている。都市部であれば、駅前などの主要スポットや、ホール、店舗などで5Gにつながることが増えた。こうした場所でiPad Proの5Gを試してみたが、先行して発売されてきたスマホと同様に、スピードは速い。場所によっては、1Gbps前後もの速度が出るため、アプリや写真、動画などのダウンロードが快適。アップロードに関しては、光回線に軍配が上がるが、Wi-Fiを探し回る必要がないのはうれしいポイントだ。

5Gに対応しており、エリア内なら超高速通信を利用可能

 一方で、KDDIやソフトバンクは、4Gから5Gに一部の周波数を転用している。そのため、ドコモよりエリアは広いが、5Gにつながったからと言って、常に通信が高速になるわけではない。ただし、それでも数十Mbpsは出ることが多く、よほどの大容量コンテンツをダウンロードするのでなければ、速度は十分だ。iPad Proの場合、自分で動画や写真を編集することも多いと思うが、こうしたデータをやり取りする上で、やはり5Gは心強い存在と言える。

 パフォーマンスがPC並みになり、5Gに対応したiPad Proだが、価格が少々悩ましい。レビューした12.9インチ版は、12万9800円から。11インチ版は9万4800円からと少々安くなるが、先に挙げたMagic Keyboardや5Gなどをつけると、さらに価格は高くなる。性能だけでなく、お値段もPC並みになりつつあるというわけだ。もっとも、iPad Proがその名のとおりプロユースであることを考えると、むしろ手頃。タッチでの操作性や、Apple Pencilは、Macにない魅力だ。コンテンツの視聴が中心なら、iPad Airなどの選択肢もある。M1を搭載したことで、iPad Proがその立ち位置をよりはっきりさせたと言えそうだ。

【石野's ジャッジメント】
質感        ★★★★★
持ちやすさ     ★★★★
ディスプレイ性能  ★★★★★
UI         ★★★★★
撮影性能      ★★★★
音楽性能      ★★★★★
連携&ネットワーク ★★★★★
生体認証      ★★★★
決済機能      ★★★★★
バッテリーもち   ★★★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

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