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【開発秘話】累計100万個以上売れているCOFFEE STYLE UCC「CAFE@HOME」シリーズ

2021.05.24

■連載/ヒット商品開発秘話

 UCC上島珈琲が物販・カフェ業態の直営店『COFFEE STYLE UCC』の全3店舗と公式オンランショップ『COFFEE STYLE UCCオンライショップ』、関連会社が展開する『UCCカフェメルカード』『カフェノバール』の一部店舗で販売するレギュラーコーヒー『CAFE@HOME(カフェアットホーム)』シリーズの売れ行きが好調だ。これまでに100万個以上売れているという。

 2018年3月に発売された『CAFE@HOME』シリーズは、一緒に食べる物や飲む時間帯・シーンで選べるのが特徴。食べ物との組み合わせからマッチするものが選べる〈FOOD with COFFEE〉全8種と、時間帯やシーンなどライフスタイルに寄り添ったものが選べる〈LIFE with COFFEE〉全4種をレギュラー販売するほか、限定品も適宜販売。1杯分(約10g)を真空包装しペーパードリッパーを付属したものや、6個入り12個入りなどギフトセットとしても販売している。また、1袋100g入りの豆や粉もラインアップしている(取扱商品は店舗やECサイトによって異なる)。

〈FOOD with COFFEE〉。写真は全8種のうちの6種類で左から“for Bitter Chocolate” “for Mild Chocolate” “for Salty Cheese” “for Creamy Cheese” “for Sour Fruit” “for Sweet Fruit”になる

〈LIFE with COFFEE〉。写真は全4種類で左から“in the Morning” “Start the Day” “in the Evening” “Good Night Caffeineless”。

〈FOOD with COFFEE〉と〈LIFE with COFFEE〉

 同社はレギュラーコーヒーを小売店やECサイトのほか、デパ地下などにあるコーヒー豆の挽き売り店でも販売している。このうち挽き売り店は、家庭でもドリップするなど手間と時間をかけてコーヒーを淹れる人を対象としており、コーヒーの美味しさ、新鮮さ、豆の産地を来店客に伝えるなどしてきた。

 ただ、こうしたコミュニケーションは、コーヒーのライトユーザーにはやや難しく伝わりにくい。そこで、詳しくない人や初心者に楽しんでもらえるレギュラーコーヒーとして企画されたのが『CAFE@HOME』シリーズであった。

 DTC事業本部企画チーム 係長の川本恵史さんは、『CAFE@HOME』シリーズについて次のように話す。

「コーヒーの楽しみ方が外でも家でも増えてきています。どういう商品を目指すべきかを検討する中で、美味しさだけではなく毎日の暮らしに新しい喜びを提供することで、コーヒーのライトユーザーや飲用中止者が少しだけ特別なときに楽しんでいただけるようなブランドを目指すことにしました」

『CAFE@HOME』シリーズはコンセプトとして、食べ物と一緒に楽しむ〈FOOD with COFFEE〉を掲げることにした。

 一緒に食べる物は日常的に食べる物から選定。その上で、コーヒーの味の指標となる苦味、酸味、味の濃さ(塩味)の3つの味を代表するものをチョイス。その結果、苦味の代表としてチョコレート、酸味の代表としてフルーツ、塩味の代表としてチーズが選ばれた。

 ただ、「面白さや新規性がなければ、試してみたいとは思われません」と川本さん。こうした理由から、対比を楽しめるようにした。チョコレートであればビターチョコレートとマイルドチョコレート、チーズであればクリーミーなマスカルポーネと塩気のあるゴルゴンゾーラ、フルーツであれば酸味の強いネーブルオレンジと甘みがあるバナナ、といった具合に食べ物を選んだ。

 食べ物とコーヒーの組み合わせのほか、もっとわかりやすいコンセプトも掲げることにした。それが、1日の時間帯やシーンに合わせて選べる〈LIFE with COFFEE〉である。

コーヒーと食べ物の味は特徴を合わせることで強く引き出される

「〈FOOD with COFFEE〉はコーヒー単体で味を楽しむものではないので、コーヒーと食べ物と合わせたときにより両者が美味しく感じられるベストマッチを見つけることを目指しました」

 こう話すのは、DTC事業本部企画チーム 係長の木次日向子さん。味づくりは発売の半年ほど前から開始した。『COFFEE STYLE UCC』のオープンに向け店舗のコンセプトに合ったものを目指した。

 コーヒーが食べ物とともに美味しく感じられるようにするための基本的な考え方は、味の方向性を合わせる「同調」。味づくりでは、味覚センサーの分析結果を用いてコーヒーと食べ物の相性を解析する同社独自の「フードマッチングシステム」を活用した。R&D本部研究開発部 係長の半澤拓さんは、次のように話す。

「苦味の強い食べ物には苦味に強いコーヒーなど、同じような特徴を持つものを選ぶことで、お互いの味の特徴がより強く引き出されることになります」

UCC上島珈琲
R&D本部研究開発部
係長 半澤拓さん

 味づくりは、コーヒーを味覚センサーで分析しては食べ物の分析結果に重ね合わせ、何が合うかを検証することの繰り返し。ただ、味覚センサーの結果をフル活用するものの人間の舌を使った官能評価も実施。最後は人間の舌で判断している。

 しかし、〈FOOD with COFFEE〉のすべてが同調を元に開発されているわけではない。例えば、塩味の強いチーズに合うものとして開発された“for Salty Cheese”は酸味を強くした。「塩味の強い食べ物に対して酸味が強く感じられるコーヒーを合わせると相互を補完するような形になり、相性がよくなります」と半澤さん。酸味が強い“for Salty Cheese”は塩味の強いチーズと一緒にいただくと酸味がマイルドになる。

 また、食べ物と合わせない〈LIFE with COFFEE〉の味づくりは〈FOOD with COFFEE〉と同じようにはいかない。〈LIFE with COFFEE〉の味づくりについて、半澤さんは次のように話す。

「約8000件分の、お客様がコーヒーを飲んだときの感想データを元にしました。分析結果によると、1日の中でも時間帯によって好みの味が微妙に異なります。朝は深煎りで香りが強いものの、昼はあっさりして飲みやすいもの、夜は長めにコーヒーが楽しめる香り高いもの、といった具合です」

ムーミンとコラボすることにした2つの決め手

〈FOOD with COFFEE〉は2018年11月に、和菓子とベストマッチする“for Amakara Sweets”“for Anko Sweets”をレギュラーに追加する。和菓子は他の和食同様、味が繊細なことから、他の〈FOOD with COFFEE〉のフレーバーに比べてコーヒーの主張が強くなりすぎないようにするのが難しかったという。

きな粉やたれ系の和菓子との相性がいい“for Amakara Sweets”

あん・餅系の和菓子との相性がいい “for Anko Sweets”

 また2020年2月に、ムーミンとコラボレーションした『CAFE@HOME ムーミン谷』の販売を開始。現在は一杯分を真空包装した“in the Morning(朝のブレンド)”“in the Evening(午後のブレンド)”“Sweets & Friends(スウィーツと仲間)”の3種、レギュラーコーヒー粉の“コーヒー工房”2種(パンに合うブレンド/カフェオレに合うブレンド)、夏季限定の水出しアイスコーヒー2種(平日のブレンド/休日のブレンド)を販売している(取扱商品は店舗やECサイトによって異なる)。

『CAFE@HOME ムーミン谷』。左から“in the Morning(朝のブレンド)”“in the Evening(午後のブレンド)”“Sweets & Friends(スウィーツと仲間)”
(©Moomin Characters™)

『CAFE@HOME ムーミン谷 コーヒー工房ギフトセット4P』。パンに合うブレンド/カフェオレに合うブレンドそれぞれ、パッケージデザインが異なる2種類を詰め合わせている。1パック50g入り
(©Moomin Characters™)

『CAFE@HOME ムーミン谷 水出しアイスコーヒーセット 4Pギフト』。平日のブレンド/休日のブレンドそれぞれ2個ずつ詰め合わせている
(©Moomin Characters™)

 コラボすることにした決め手は、若い世代にもムーミンが浸透してきていることと、北欧との親和性にあった。とくに北欧との親和性では、ムーミンが誕生したフィンランドをはじめとする北欧文化『FIKA(フィーカ)』の存在が大きい。FIKAは家族や友人、職場の仲間とコーヒーを飲みながら焼き菓子などを食べて楽しく時間を過ごすこと。『CAFE@HOME』シリーズのイメージやコンセプトとFIKAが合っていた。

説得力の高い説明を可能にしたマッチングシート

 店頭での販促は体験や根拠の提示に重点が置かれた。スタッフが来店客とコミュニケーショを取りながら、FOOD with体験(コーヒーと食べ物の試飲試食)を行なったりするようにした。

 発売当初は自家需要の方が多かったが、徐々にギフト需要が増えていったという。ギフト需要は同社が思っていた以上に多く、贈答品やちょっとした手土産に活用されているそうだ。

 ただ、現在の販促は少し事情が変わった。そのことについてDTC事業本部 本部長の菅谷展さんは次のように話す。

「『CAFE@HOME』シリーズは基本的に、コーヒーのライトユーザーを対象に、FOOD with体験をしていただき購入していたくことに重点を置いています。ただ、現在は残念ながら新型コロナウイルスの影響で、売場でFOOD with体験を通じたコミュニケーションをすることができません」

UCC上島珈琲
DTC事業本部
企画チーム 係長 川本恵史さん(左)
本部長 菅谷展さん(中)
企画チーム 係長 木次日向子(右)

 現在は主に、味覚センサーの分析結果を元につくったマッチングシートを使った説明を実施。説得力の高い説明ができ理解が得られやすいという。

matchingsheet
〈FOOD with COFFEE〉のマッチングシート

取材からわかった『CAFE@HOME』シリーズのヒット要因3

1.選び方がわかりやすい

 一緒に食べるものや飲む時間帯ごとに最も相性のいいものを目指して開発。ライトユーザーも迷わず選ぶことができるほどわかりやすく、店頭でのFOOD with体験でも興味を持ってもらいやすかった。

2.データに裏打ちされた味づくり

 人間の官能評価だけではなく、味覚センサーの分析結果を活用したフードマッチングシステムを生かして開発。データに基づいてつくっているので、相性の良さに高い説得力が伴った。

3.自家需要とギフト需要の両方に対応

 もともとはライトユーザーの自家需要を想定していたが、予想以上にギフト需要も獲得できた。コンセプトや一杯分を真空包装したパッケージのユニークさが、気の利いたギフトとして最適だった。

『CAFE@HOME』シリーズは今後も、現在の販売チャネルで売り続ける方針。一緒に食べる物や飲む時間帯ごとに最適な組み合わせを提案するという試みはわかりやすく、コーヒーユーザーの拡大につながる。将来的に小売店でも広く取り扱われることにでもなれば、コーヒーユーザーはさらに増加するだろう。

製品情報
https://coffeestyle.jp/brand/brand-1/
https://coffeestyle.jp/special/moomin_collab_2020

文/大沢裕司


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