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まさに八面六臂!現役Jリーガー・橋本英郎に学ぶマルチなキャリア構築術

2021.05.23

現役中に起業したJリーガーの先駆者 


子供たち相手に自ら指導する橋本英郎(本人提供)

 現役サッカー選手のセカンドキャリア構築熱は高まる一方だ。5月21日に42歳の誕生日を迎えた元日本代表MF橋本英郎(FC今治)もサッカースクールにオンラインサロン、セカンドキャリア支援に放課後等デイサービスと多彩な事業に乗り出した。今季J3では全試合出場という多忙の中、彼はいかにして複数のビジネスを掛け持ちしているのか。Jリーガー屈指のやり手に迫った。

“複業家”の第一歩はサッカースクール 

「自分のサッカースクールである『PUETNTE FC』を神戸に作ったのは2012年。圭佑(本田=ネフチ・バクーが『ソルティーロファミリアサッカースクール』を発足させたのとほぼ同時期です。当時フットサル・Fリーグのデウソン神戸に所属していた原田浩平(現リンドバロッサ京都監督)、メンタルトレーナーの清水利生の3人で立ち上げました。彼らも十分お金をもらえる環境になかったのでアルバイトで指導してもらいたかったし、僕自身も指導の場がほしかったんで、設立に踏み切りました」と橋本はスクール発足経緯を説明する。

コンセプトは「トップでない子供の能力を引き上げ、ランクアップさせること」。それは橋本自身の経験からくる部分が大きい。彼はガンバ大阪ジュニアユースからユースを経て、練習生としてトップ昇格。5年間、大阪市立大学経済学部に通いながら練習し、2003年からプロ1本になった選手。中学1年生時点では「100人中90番目」だったというから驚きだ。

「中1の最初の頃は選手の人数も多く、コーチも僕の名前を憶えてなかったと思います(苦笑)。そういう選手でも指導者のアプローチや本人の努力次第で上に行ける。そのことを伝え、実行に移したいと思って活動を始めたんです」


自身の経験を生かし、ワンランク上への引き上げを目指す(本人提供)

しかしながら、最初は海のものとも山のものとも分からない。いくら元日本代表・橋本英郎が立ち上げたクラブとはいっても、神戸には実績ある育成クラブが数多くあり、人集めは容易ではなかった。彼も練習・試合の傍らでチラシを作って配布したり、口コミで情報を広げたりしながら、少しずつ参加者を募った。地道なアクションが奏功し、現在はジュニア約100人、2020年から立ち上げたジュニアユースの方は36人が在籍するまでになった。

「といっても、ウチのジュニア向けスクールは技術向上を目指す塾のような感じ。日本サッカー協会に登録しているのはジュニアユースだけなんです。コーチがコロコロ変わるのもよくないんで、今は社員を配置。神戸デウソンの現役選手の力も借りながら、トライ&エラーを繰り返させるようにチャレンジしてもらっています」

 経営的にはスタート当初から黒字を計上。順調な滑り出しを見せたが、ここ数年は赤字。橋本が持ち出しで運営せざるを得なかったというが、ここへきてようやく採算ラインが見えてきた。現役選手だからこそ、稼ぎの一部を投入できる環境にあったのだ。引退後に何かを立ち上げようと考えるアスリートは少なくないだろうが、確実に収入を得られる状態でデュアルワークを目指した方が思い切ったトライができるのも確かだろう。

次なる一手はオンラインサロン

軌道に乗り始めた「PUENTE FC」の活動に加え、橋本はサッカー専門誌に現役目線のコラムを定期的に執筆。オンラインサロンも2019年からJリーガー仲間の都倉賢(長崎)と2人でスタート。コロナ禍の2020年からは単独のサロンに移行した。

 これは月額1500円の会費で各界で活躍する人物の話を聞いたり、メンタルトレーニングのライブ配信の視聴、最新イノベーションの勉強会などに参加できる形。最近ではアンブロやニューバランスのスタッフ、テコンドーの元五輪選手である岡本依子さん、東京五輪を目指しているやり投げ女子の宮下梨沙選手と対談し、好評を博した。現時点では3040人規模だが、近い将来に80100人レベルに引き上げるのが目標という。


岡本依子さん、宮下梨沙さんという別競技のアスリートを招いての座談会(本人提供)

「オンラインサロンを通じてさまざまな人々のネットワーク作りに役立てられればいいというのが僕の考えなんです。コロナ禍でなかなか人と会えない中、人脈を広げようと思ったらオンラインを有効活用するのが近道。僕のサロンに来てくれたゲストと会員が連携して新たなビジネスを構築できたりすれば、非常に有益ですよね。そうやって社会に貢献できれば有難いんです」と橋本は目を輝かせる。

社会貢献という意味で、コロナ禍の昨年に手掛け始めたもう1つの事業が放課後等デイサービス。神戸に本社を置き、いくつかの拠点を運営する会社とコラボレーションする形を取っているのだ。

「サッカースクールで集団行動に馴染めなかったりとさまざまな特性を持っている子供は沢山います。そんな彼らにサッカーをやれる場を作れるようにしたいとフランチャイズの社長から打診を受け、協力することになったのが経緯です。僕は運動療育の導入を試みているんですが、ボールを使いながらのトレーニング、ラダー(はしご)を使ったコーディネーショントレーニングなどを行ったりしています」

橋本の提供するメソッドが効果をもたらすと評価されれば、学校や幼稚園などからも引き合いがあるかもしれない。コロナ禍で子供たちの体力低下が社会問題になっている時期だけに、運動療育が注目を集める可能性は少なくない。さすがが戦術眼に長けたボランチらしく、社会を見る目も鋭いようだ。


放課後等デイサービスでボールを触れ合う子供たち(本人提供)

運動療育の導入にセカンドキャリア支援。挑戦は続く

彼には動かし始めた事業がさらに1つある。それはセカンドキャリア支援。天王寺高校の後輩の女性社長と弁護士の友人と3人で「BorderLeSS(ボーダレス)」という新会社を共同設立し、これから本腰を入れてアスリートのサポートに乗り出していくところだ。

今の現役Jリーガーやスポーツ選手を見渡すと、パソコンでメール1つ出せなかったり、エクセルやワードの操作ができないといった例は枚挙にいとまがない。Jクラブや所属事務所の中にはあえて選手に請求書などの書面作成をさせたりするなど、引退後を見据えた教育に乗り出しているところもあるが、それもほんの一部と言っていい。実際に20年以上現役を続けてきて、プロ選手の実情を熟知している橋本は、若いうちから何をすればいいか具体的に指南できる立場にいる。その経験値を生かしながら、具体的な展開を考えていくという。

「選手のデュアルキャリアの重要性が叫ばれて久しいですけど、僕は新人の頃から『大学生+サッカー』だったんですよね。しかも2012年以降はスクール事業に乗り出していますから、実際にサッカー1本でいたのは8~9年くらいしかない。いくつか選択肢を持っていた方が、一方がダメな時でも気持ちを切り替えるきっかけになります。自分は『生粋の複業家』なのかもしれません(笑)。

加えて言うと、大学で経済学部にいたのが大きい。起業とか新たなビジネス構築にはもともと興味がありましたし、そういう学問も学んできたつもりです。それを今、サッカー以外の時間にやっているだけ。そう考えるとそれほど特別なことではないのかな」 

オフ・ザ・ピッチの活動は本業のサッカーにもプラス


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リーガー仲間だった明神智和、石川直宏両氏との3ショット(筆者撮影)

橋本はサラッとこう言ってのけたが、ごく普通のアスリートにはなかなかできることではない。それだけタイムマネージメントに長け、社交性や向上心が高いということだ。オープンマインドで新しいことをどんどんやろうという姿勢は本業のサッカーにも必ず生きてくるはずだ。

 5月19日にFC今治は昨季から指揮を執っていたリュイス・プラナグマ・ラモス監督を解任すると発表。橋本ら選手にも激震が走ったが、このまま歩みを止めてはいられない。彼には持てる力の全てを発揮し、この難局を乗り切り、ピッチ内外で成功を収めてほしいものである。

取材・文/元川悦子

長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。

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