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バーチャルキャラクターによる接客は小売りの現場に浸透するか?

2021.05.26

コロナ禍で加速したデジタル化。小売店や百貨店などの販売接客業は、こぞってEC化や非対面販売に取り組んでいる。その中でも、遠隔接客手法として近年、期待が高まっているものに「バーチャル接客」がある。バーチャルキャラクターが画面を通して接客するものだ。いまある課題と可能性を探る。

バーチャル接客は浸透する?2つのツールから探る現状課題

1.ZOOMでも操作できる「DNPバーチャル接客サービス」

大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、遠隔で操作するバーチャルキャラクターが、リアルな店舗で接客する「DNPバーチャル接客サービス」を提供している。

VR(仮想現実:Virtual Reality)技術を用いて、バーチャルキャラクターが店舗やイベント会場などで接客やデモンストレーションを行う。

LIVEでリアルタイムに遠隔操作しながら接客するパターンと、商品訴求動画を作成して配信するパターンの2パターンがある。

●活用事例

2020年12月、国内外の子どもたちを支援するチャリティーイベント「Tokyo Great Santa Run(東京グレートサンタラン)2020」において、東京都内の病院の子どもたちに向けて、DNPクリエイター共創サービス「FUN’S PROJECT」の公式キャラクター「ファンズちゃん」がコミュニケーションをとった。バーチャル絵本の読み聞かせやクイズ大会などファンズちゃんとの対話を通して、子どもたちにワクワクする体験を提供した。また、家電量販店での携帯キャリア会社の販促イベントに活用した事例も多数ある。

2021年3月には新たに開発された人の顔などの動きを読み取るフェイストラッキング版とオンラインで決済できるライブコマースサービスを組み合わせたサービスをリリース。

【フェイストラッキング機能】

VRゴーグルとコントローラーを装着してキャラクターを操作するリッチな演出を行う従来のサービスとは別に、株式会社キッズプレートとの連携により、カメラで人の表情を読み取るフェイストラッキングとキーボードによる簡易的な操作だけで、人とキャラクターの動きをシンクロさせる拡張版のサービスを開発した。

【ライブコマース機能】

従来は決済機能と連動していなかったが、株式会社ギブリーと連携し、ライブコマース「Virtual Store」を用いることで、オンライン接客を行いながら、顧客は商品・サービスの選択や購入・申込みまでスムーズに行えるようになった。

●開発の背景

DNPバーチャル接客サービスの開発背景について、DNPの担当者は、顧客の販促サポートを行う中で、特に小売業界の課題として店舗販売員の人手不足と、急速に浸透したECとのリアル店舗との差別化が求められていたと話す。

「こうした課題に対して、バーチャルキャラクターを使ってコンテンツ提供するYouTuber『VTuber』の仕組みに着目し、接客のテレワーク化を目指し、企業の“活人化”を支援する仕組みを協力会社と開発しました。これにより場所や性別、年齢を超えた『働き方改革』サポートの一環として、キャラクターになりきって遠隔でお客様とコミュニケーションできるサービスを提供できるようになりました」

●現状課題と解決策

現状、どのような課題と解決策があるのだろうか。

DNPの担当者は次のように話す。

「AIとは違って販売員がアバターとなって遠隔接客するサービスなので、効率化・活人化が課題でした。売場での要望をお伺いする中で、より簡易なオペレーションが求められていると感じています。

そこでノートPC1台でアバターを操作し、モーションや動画などで演出できるアプリを協力会社と開発しました。これはZOOMなどのWEB会議サービスで使用できるサービスです。

結果、簡単に操作できて来店客からの目を引き、感染症予防の観点からも直接的な接触を減らせて衛生的だと好評をいただいております」

最後に、今後の展望について聞いた。

「今後は現状ある汎用アバターの増員と、顧客企業オリジナルのキャラクター開発の拡大、また演者の使いやすい営業トークシナリオや、お客様が楽しみながら接客できるコンテンツ開発を促進していきます」

2.自社に合ったバーチャルキャラクターを制作!「VIRTUA SKY(バーチャスカイ)」

VIRTUA SKY株式会社は、バーチャルキャラクターを活用した遠隔接客サービス「VIRTUA SKY」を提供している。

顧客の業務に合わせたバーチャルキャラクターを制作し、そのバーチャルキャラクターを使って、今まで行っていたインフォメーション業務や販売業務などの接客業務を遠隔で実現。

商業施設や観光地、公共交通機関など多くの人が集まる場所にデジタルサイネージなどを設置し、画面に映し出されたバーチャルキャラクターを通じた遠隔接客が想定される。

人員配置の効率化や新たな層のファン顧客の獲得などのほか、遠隔からの新たな働き方としても効果が期待されている。

●活用シーン例

1.病院などの医療現場
2.交通機関(空港・駅)やデパート等のインフォメーション
3.オンラインショッピング

●ビジネス向けキャラクター制作も

2021年2月には、バーチャルキャラクター制作「Business Avatar Production Service(略称:BAP(バップ)サービス」を発表した。

ビジネスアバターとは、ビジネスシーンで活用できるバーチャルキャラクターのことで、従来のイメージキャラクターやゆるキャラのような役割に加え、企業と顧客の双方向のやり取りが可能になるほか、比較的高い年齢層を含む幅広い世代のファン獲得にも期待ができる。顧客の広報やPR戦略に合わせて制作する。

●開発の背景

左)新開 そら、右)陽詩(ひなた)ユウ

この遠隔接客サービス「VIRTUA SKY」は、どのようなきっかけで開発されたのか。VIRTUA SKYの担当者は次のように述べる。

「以前より働き方改革においてこのバーチャルキャラクターを使えば、リモートで対応が可能なことから『どこでも仕事ができる!』という強みを感じていました。

また、昨年より新型コロナの影響により、改めて非接触型の業務が増え、自宅や外出先からリモートで行うケースが多くなっております。そのときの場所や状況は様々で、自宅であれば部屋着でいたり、髪がボサボサだったり、女性であればノーメイクの方もいると思います。

そんなときにバーチャルキャラクター(=アバター)で業務が行えるサービスシステムがあれば、Web会議への出席・接客対応・セミナーやイベントに参加も容易に行え、今までと何も変わらず業務が遂行できたり、新たなビジネスの場所や環境ができるため、ビジネス拡大のお手伝いができるのではないかと思ったのがきっかけです」

●現状課題と解決策

現状、どんな課題があるのか。担当者は次のように話す。

「現状、バーチャルキャラクターを動作させるアプリケーションは、VTuberなどの一般向けとして販売されており、オンライン決済が一般的です。しかし、企業がそうしたアプリケーションを導入する場合に、セキュリティの観点からオンライン決済では購入がしにくいところがあります。

また、バーチャルキャラクターによる接客中に何らかのトラブルがあっても、アプリケーションを提供するメーカーが対応するのは困難です。

これらの課題を受け、当社は現在、企業向けにはオーダーメイド型で業務アプリケーションとして個別対応をしているのと同時に、普段の業務環境に影響を及ぼさないで安心に使用できるアプリケーションを開発中です。今後、企業向けパッケージとして実装していきたいと考えております」

バーチャルキャラクターによる接客や会議対応は、お客様にとっての利便性や楽しさを提供すると同時に、テレワークなどの遠隔からの業務をよりしやすくするというメリットもあることがわかった。

今後、課題が解決されると同時に、バーチャルキャラクターの活用が浸透していくかもしれない。

取材・文/石原亜香利


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