
正しく生きようと必死にもがいても、環境がそれを許さない。
2021年4月7日より独占配信中のNetflixオリジナルシリーズ『イージーマネー: 新たな時代』は、スウェーデンで制作されたクライム・サスペンス。
スウェーデンの作家イェンス・ラピドゥスの小説『イージーマネー(原題: Snabba Cash)』が原作。
主演は『ザ・レイン』エヴィン・アフマド。
あらすじ
スラム街からスタートアップ起業家の夢を目指す、シングルマザーのレヤ(エヴィン・アフマド)。資金調達が難航し窮地に立たされているレヤは、レストランでアルバイトの副業もしている。
亡くなった夫の弟レヴィは、薬物を売りさばいて荒稼ぎするギャング。甥っ子として可愛がっているサミ(レヤの息子)に高額のプレゼントを贈ってくる。しかしレヤはギャングの義弟がサミの教育に悪影響だと考え、会わせることを拒否。
ある日レヤは、アルバイト先のレストランで披露宴の余興歌手をしていた男性サリムと出会い恋に落ちるが、サリムにはギャングというもう一つの顔があった。
レヤは有名投資家のトマスに出会い、出資を勝ち取る。しかし元出資者マルクスが転換社債の権利を行使して、レヤの会社を乗っ取ろうと企んでいることを知る。
トマスは、犬猿の仲であるマルクスのいる会社には出資しないと言う。マルクスから転換社債を買いとりたいレヤは、レヴィに買取資金の借金を依頼する。
見どころ
表向きは意識高そうなスタートアップ企業、しかしその裏側はダーティで危険な世界だった……。
というよりも、レヤはクリーンに稼ぎたいと願っていたのに、状況がそれを許さなかったという方が正しいかもしれない。
貧困と差別と犯罪とが結託し、必死で頑張るレヤの両脇を抱えて、ズブズブと底なし沼に引きずりこんでいくのだ。
一目惚れしたサリムも、一見子供好きで面倒見のいい好青年だが、正体はギャングだった。しかし人間は多面的なもの。サリムが人情に厚く、人との繋がりを大切にする性格であることは事実。サリムもまた、貧困と犯罪と差別に雁字搦めにされていた。
もしもレヤがもっとスムーズに資金調達できていたら、もしレヤの実家が資産家だったら、人脈のある上流階級出身だったら、シングルマザーの公的支援がもっともっと充実していたら、犯罪と無縁なままスタートアップを軌道にのせることができたかもしれない。
スラム街の貧しい移民や非行少年など、何の後ろ楯もない人々が、自力かつ真っ当な方法で這い上がることの難しさ。
正しく生きようともがく人々の背後から、暴力と犯罪が茨の蔓のように絡み付くさまを描いている。
Netflixオリジナルシリーズ『イージーマネー: 新たな時代』
独占配信中
文/吉野潤子
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