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無料で配布されるサンプルを受け取らない人は〝気難しい〟消費者なのか?

2021.05.22

 どうしても譲れない一線があっても不思議なことではない。特に食べ物に関することならそのこだわりは健康にも関わるものにもなる。ならばじゅうぶんに配慮すべきなのだろう。

“グルテンフリー”について考えながら街を歩く

 丸の内線を終点の池袋で降りて乗り変えずに歩くことにした。日が長くなった昨今、駅西口に出ると夕方でもまだ明るい。梅雨入り前のさわやかな空気が心地よく散歩日和だ。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 しばらく連絡を取り合っていなかった知り合いから先ほどメールがあり、近いうちに昼飯でも共にしようということになった。彼は東京のかなりの郊外に住んでいるのだが、近々都内まで来る用事があるという。“不要不急”の移動というわけではない。

“宣言下”だけに駅前でも確かに人通りは普段よりも少ない。これから日が暮れればさらに人出は少なくなるのだろう。それでも昨年の最初の“宣言下”でゴーストタウンと化した時に比べればずいぶん街は賑やかだ。

 池袋駅西口を左に進み駅ビルに沿って歩く。駅ビルの百貨店はかなりの数の店舗を休業させ営業を縮小しているようだ。個人的には百貨店を利用することはほとんどないだけに影響はないが、上階にあるレストラン街も当然夜8時で閉店しまうのはなんだか残念だ。そういえばまだ昼食を食べていなかった。店が閉まる前にどこかで軽く食べてみてもいいだろう。

 久しぶりにデパートのレストラン街に行ってみる案もあったが、今は人の多い駅前から離れることにしたい。東武東上線の改札に繋がっているデパートの広い吹き抜けを潜り抜ける。何度通ってもこの広々とした吹き抜けは爽快な気分にさせてくれる場所だ。ちなみに駅の地下構内からエレベーターに乗ってここに来ることもできる。

 今度会うことになったその知り合いから昼飯を食べる店を決めておいてくれと頼まれている。どんな店でもかまわないということなのだが、そこには譲れないこだわりがあるという。彼は“グルテンフリー”の料理を出す店にしてくれというのである。

 デパートの吹き抜けを通り抜けるとコンビニとカフェに挟まれた通りに出て、街は徐々に住宅街然としてくる。目白方面に向かってさらに歩く。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 グルテンフリーについはあまり詳しくないのだが、要するに小麦を使わない料理ということになるだろう。テニスのジョコビッチ選手がこのグルテンフリーを実践していることを何かの記事で目にしたことがある。

 小麦がダメということになれば、ラーメンなどの中華麺やうどん、そば、パン、ピザ、カレーのナン、衣に小麦粉を使っている揚げ物など多くのメニューが除外されてくる。そばの場合は小麦を使っていない十割そばならオーケーということになるだろう。

 通りを進むと左手にラーメン屋が見える。グルテンフリーに考えを巡らせている時にラーメン屋に出くわすとは皮肉なものだ。信号を渡って住宅街の細い路地を進む。

 小麦がダメということになれば、寿司や刺身などのかなりシンプルな和食や、タイ料理やベトナム料理などでよく用いられるライスヌードルやライスペーパーを使った料理などが思い浮かぶ。となればそうしたエスニック料理が無難ということになるだろうか。

選り好みの激しい“気難しい”消費者は全般的にこだわりが強い

 住宅街の路地を進む。大都会の街並みからこんな僅かな距離で完全な住宅街になるというのも池袋の街の特徴かもしれない。

 そういえば焼肉でもいいのかもしれない。しかし焼肉のタレには小麦が使われている気配は濃厚だ。とすれば塩とコショーだけで焼いたステーキならいいのか……。

 というよりもそもそもなぜグルテンフリーなのか。過去に彼がグルテンフリー“信者”であった記憶は特にない。したがって“信者”になったのはおそらくここ1、2年のことなのだろう。

“どんな店でもかまわない”と一見、許容範囲が広いような言い方をしていた彼だが、話がグルテンフリーとなればそこのこだわりは一転して強く狭量になるといってもよいだろう。

 親友ではない彼の人柄やキャラクターをよく把握しているとはいえないものの、服装や持ち物などいろんな面でそれなりのこだわりを持つ人物であることはなんとなくわかる。

 そこで思い出したが、以前仕事の用件で彼と水道橋駅の界隈を連れ立って歩いたことがあったのだが、その時にたまたまエナジードリンクを路上で無料配布しているキャンペーンに出くわしたのだ。これ幸いにと自分はキャンペーンの女性からドリンク缶を貰ったのだが、彼のほうは女性に見向きもせずにその場を通り過ぎたことがあった。ちゃっかりしている自分がやや気恥ずかしくなる一方、彼のような人間が身近にいることに少し驚かされた。

※画像はイメージです(Unsplashより)

 そうしたことからも彼がいろんな面でこだわりを持ち、ある意味で“気難しい”側面のある人物であることが仄見えてくる。最近の研究でも選り好みの激しい“気難しい”消費者はほかのいろいろな面でもこだわりが強いことが報告されている。


 最近「Journalof Consumer Psychology」に掲載された論文では、研究者は一連の調査を実施して、買い物客の選り好みを測定するための尺度を作成し、その選り好みが顧客の行動に及ぼす影響を特定しました。

 最初の一連の研究は、スケールの開発に焦点を合わせました。研究者たちは、「選り好み」という言葉は否定的な意味合いを持つ傾向があるため、「選り好み」という言葉の使用を避けながら、選り好みの心理的側面を明らかにするのに役立つ一連の質問を作成しました。研究者は、スケールが選り好みの度合いを正確に測定していることを確信した後、選り好みの考えられる結果を調べるために追加の研究を実施しました。

 研究者は、気難しい買い物客のスケールでより高いスコアを出した人々は、彼らが許容できると考える範囲がきわめて狭い傾向があることを発見しました。これらの買い物客は、調査に参加してくれた謝礼として提供された無料の贈呈品を拒否する可能性が高くなりました。

※「The Pennsylvania State University」より引用


 米・ペンシルベニア州立大学の研究チームが2021年2月に「Journalof Consumer Psychology」で発表した研究では、選り好みの激しい消費者はその許容範囲が非常に狭く、無料キャンペーンの品を受け取らないことから、そうしたアプローチがむしろ逆効果に働くことを示唆している。そしてそうした選り好みの激しい“気難しい”顧客は、ほかのいろんな分野でも許容範囲が狭隘である一般的傾向があると主張している。

 どの分野においてもきわめて選り好みが激しくて気難しい顧客がいるものだが、企業はこうした気難しい顧客をよく理解することで効果的な広告やキャンペーンを考案できると研究チームは言及している。無料で商品を贈呈するなどのキャンペーンは間違ってもすべきではないというのだ。

 無料配布されていたエナジードリンクを受け取らなかった彼ももまたこうした人々の一員ということになるだろうか。決してネガティブにとらえたくはないが、食事においてグルテンフリーという譲れないこだわりを持っているのであれば、たとえば服や靴などにも独自のこだわりがありそうだ。そして実際にこれまでつき合ってきた印象から彼が“こだわりの人”であるのはじゅうぶんに納得できることである。

初めて入るタイ料理店でパッタイを賞味

 住宅街の細い路地を抜けて線路沿いの道に出る。このまま真っすぐ進むと目白駅だ。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 グルテンフリーの料理について考えるとなかなか奥深い世界であることがわかってくる。米粉のパンやパスタ出す店も探せばあるのだろう。しかしあまり手を広げて考えても仕方ない。友人との小1時間ほどの昼食の話なのだ。当然ながらアルコールもない。

 前は居酒屋だった店が豚丼の専門店になっていた。ご多聞に漏れずこのコロナ禍で居酒屋には逆風が吹いているが、その中で業態転換をしたということなのだろうか。住宅街の路地ではあるがこの通りは案外飲食店が点在している。地元の人々のご用達の店が多いが、駅に近いほうには学生に人気のイタリアンレストランや、いかにも有閑マダム(!?)が訪れそうなカジュアルなフレンチレストランもある。

 そういえば何か食べようと思っていたところだ。目白駅に着く前にこの辺で食べてみてもよい。なにせ夜になればあっという間に閉店時間を迎えるので、あまり悠長に構えてはいられない。

 そのイタリアンレストランの前を通りさらに先を行く。かなり駅に近づいたところにタイ料理店がある。この店の存在は以前から知っていたが、まだ訪れたことはなかった。この機会に入ってみてもよいのだろう。

 入口はこじんまりした感じなのだが、店内は思っていたよりも広く奥行がある。かなりの人数が入れそうだ。いずれも1人のお客が2名いた。

 タイ料理店ではあるのだが、店名からするとタイの麺料理の専門店ということのようだ。ライスヌードルであるからまさにグルテンフリーの料理である。

 テーブル席に着き、運ばれてきたメニューを一通り眺める。トムヤムヌードルやチキンカレーヌードルなど、確かに麺類を推しているが、グリーンカレーやガパオ、サラダや生春巻など普通のタイ料理のメニューも一通り揃っている。初めてのお店でいろいろ悩むところだが、タイ料理では定番のパッタイを注文した。汁物よりも焼きそばが食べたい気分だった。

 メニューをよく見るとスープ系ヌードルの場合は中華麺も選べるようだが、それではグルテンフリーにはならない。まぁ好みもあるのだろうが、せっかくこういう店に来たのだからセンレックと呼ばれる米粉麺を選ぶべきだろう。もちろんパッタイについてはライスヌードルのみである。

 さっそくパッタイがやって来た。見た目からして美味しそうである。一瞬、紅ショウガと見間違えたものはよく見ると揚げた小エビである。紅ショウガに見えてしまったのはやはり日本の焼きそばのイメージがあるからだろう。その意味では自分もまごうことなき日本人だ。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 味つけはあっさりしている。まったく辛くもない。好みに応じてナンプラーや酢や唐辛子で味付けをして食べるのが前提ということなのだろう。しかし個人的には何も加えなくともけっこう美味しい。

 それでもナンプラーや酢を少し使いつつ美味しく頂いた。砕いたナッツや小エビの風味もよかった。もしも何らかの理由で日本の焼きそばが食べられなくなったとしても(!?)、このパッタイがあれば生きていけそうだ。

“宣言下”の昨今はなかなか外食ができなくなっているが、そのぶんこれまでの居酒屋偏重の生活ではなかなか行くことがなかったともえいるバラエティに富んだノンアルコールの食事をする機会が増えたかもしれない。グルテンフリーを希望する友人との昼食はこうしたタイ料理にしてみてもいいのだろう。

文/仲田しんじ

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