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キレまくるラッセル・クロウはエンタメに成り得るか?正体不明のドライバーに煽られる恐怖を描いた映画「アオラレ」

2021.05.16

■連載/Londonトレンド通信

 デリック・ボルテ監督『アオラレ』の見どころは、ラッセル・クロウのキレっぷりだ。

 クロウは最初からキレている。冒頭数分の自暴自棄な行動で、この男がもう失うものもない無敵状態とわかる。ちなみに原題はそのものずばり『Unhinged』、ヒンジ(蝶番)の外れた=イカれた、キレたの意。

 場面が変わると、寝坊したレイチェル(カレン・ピストリアス)が息子カイル(ガブリエル・べイトマン)を学校に送るところ。だが大渋滞、道を移りながら進んでいくと、信号が変わったのに動かない前の車、レイチェルがイラつき鳴らすクラクションに反応したそのドライバーが、そう、あの男だ。

 この男だのあの男だの言っているのは、名前が無いから。

 正体不明のドライバーにアオラレる恐怖を描いた映画と言えば、スティーヴン・スピルバーグ監督初期の傑作『激突!』(1971)がある。こちらは追ってくるドライバーの顔を見せないことが、底知れない怖さになっていた。

 それが『アオラレ』ではドアップ。そしてその顔はラッセル・クロウ、アカデミー主演男優賞受賞『グラディエーター』(2000)に、心の病を抱えた実在の天才数学者を演じた『ビューティフル・マインド』(2001)など、忘れ難い役の数々があるラッセル・クロウ、BBCラジオ番組中に怒って席を立った、キレやすさにも定評のあるラッセル・クロウだ。底知れない恐怖まではないが、どこまでやってくれるか期待はもたせる。

 キレる男を名の知れた俳優が演じた映画と言えば、マイケル・ダグラスが暴れまくる『フォーリング・ダウン』(1993)がある。こちらは、ただキレるだけではなかった。失業した男が自分を保てなくなる哀れ、優しい妻と可愛い子がいるにもかかわらず、どんどん悪い方に転がっていく悲劇に、考えさせられたし、キレる男にも同情の余地があった。

 『アオラレ』は考えさせないし、同情の余地もない。車にいるのがあの男とわかった瞬間から、もうハラハラわくわくドキドキ、最後までそのまま突っ走る。

 オープニングでキレた人による事件やキレざるを得ない世の中がニュースとして流れ、社会派映画風だが、そちらにはいかない。教訓を引き出す必要もなく、ポカンと口をあけて男のキレっぷりを楽しむだけでいい。

 キレまくるクロウ、怒り一色の演技だが、その怒りにも強弱はある。大きく怒りを炸裂させるところで、男の背景が多少察せられる。

 男とは対照的に、標的となる2人の背景はきちんと描かれる。レイチェルは別れた夫と離婚係争中で感情的になることもあるが気丈で明るく、カイルは早くから男のヤバさを察知する賢い少年だ。好感の持てる、共感しやすい2人で、この凶暴な男から逃げ切れるか、寄り添って観ていける。

 わかりやすくレイチェルとカイルがイイモノで、男はワルモノかつ強い。ちょっと撃たれたくらいでは倒れない。ターミネーターかよ。

 もともと細マッチョではなく、むちむちがっちりなクロウだが、むちむち度が増しているのにも驚いた。腹回りとかなかなかたいしたものだが、この役のために太ったのだろうか。それとも、太ったところに、この役が来たのか。

 90分のジェットコースターライドを楽しんだ後も、キレ問題について考えこむこともなかったが、ラッセル・クロウのことはちょっと考えた。

2021年5月28日(金)全国ロードショー

©2021 SOLSTICE STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

文/山口ゆかり
ロンドン在住フリーランスライター。日本語が読める英在住者のための映画情報サイトを運営。http://eigauk.com

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