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疑い深い消費者の疑念を晴らすために重要なカギを握る「透明性」

2021.05.11

 初めてなら確かに迷うはずだ。自分も最初に来た時はなかなか一歩を踏み出す勇気が持てなかった。しかし思い切って階段を降りてみれば満足することは間違いないのだが……。

入りにくい店について考えながら大塚駅に通じる道を歩く

 東京メトロ丸の内線を池袋の1つ手前の新大塚で降りた。直帰せず少し歩くことにしたのだ。池袋まで歩くつもりではいたが、地上に出ると山手線の大塚駅まで歩くのも良さそうに思えてくる。今日は大塚まで歩くことにしよう。

 信号を渡って大塚駅に向かう通りの右側を歩く。1階がコンビニエンスストアの雑居ビルの前で立ち尽くしている女性がいた。30歳代くらいのその女性はコンビニの脇にあるビルの出入り口にある立て看板を見ている。このビルの地下1階にはベトナム料理店があり、この女性はそこに入ろうかどうか迷っているのは明らかであった。

 この店はフォーが美味しいお店としてネットなどで評判がよく、気になって昨年に初めて入って食べてみたが確かに美味しかった。しかし雑居ビルの地下1階というロケーションは初訪問の者にはなかなかハードルが高いといえる。特に女性1人であればなおさらだ。その心中は痛いほどよくわかる。

※画像はイメージです(Unsplashより)

 まだ決めかねている女性の脇を通り過ぎる。言葉をかけてあげたい気にもなるがさすがにそれは止めておく。この女性の次の行動が大いに気になるのだが、立ち止まって見守るわけにもいかなかった。後ろ髪を引かれる思いで通りを先に進む。

 賑やかな商店街ならともかく、街角にある地階の店は一見ではなかなか入りにくい。それだけに店側にも立て看板を目を惹くものにするなどの工夫が必要ともいえるのだが、それにも限界があるだろう。

 それはさておき、自分もどこかで遅い昼食にしてみてもよかった。そうであればベトナム料理店に引き返してみる案もあるが、まるであの女性のストーカーみたいになりそうなので今回はスルーすることにしよう。

 通りを進む。ベトナム料理はとにかくヘルシーなのがよい。たいていのメニューで野菜も多く摂れる。時間がないと何かと野菜不足になるが、そういう時の外食でベトナム料理は好都合といえる。

 野菜といえば最近では有機野菜を生産農家からネット通販で購入するサービスも充実している。旬の野菜を詰め合わせたものを定期購入するというサブスクリプションのサービスも普及しているようだ。

 新鮮な有機野菜が常に食べられる状況にしておくという意味では野菜の“サブスク”もいいのだろうが、気になるのはこちら側から送ってもらう野菜を選べないという点だ。どんな野菜でも美味しくいただくという向きにとっては気にならないのだろうか、野菜に好き嫌いがある人にとっては利用できない残念なサービスになる。

 そもそも“詰め合わせ”はその分野に詳しい人でないと実は難しいサービスなのだろう。

疑い深い消費者の疑念を晴らす“透明性”

 イタリア料理店とその隣の某立ち食いそばチェーン店の前を通り過ぎる。そばでもよかったが、もう少し駅に近いところまで行ってから入る店を決めたい。

“詰め合わせ”といえばお正月の“福袋”もそうだ。価格的に損はしないことになっているのだが、それがすなわち“得な買い物”になるかどうかはケースバイケースなのだろう。

 アパレルブランドの福袋を以前買ったことがあるのだが、確かに金額的には得をしていることはわかる内容であったが、結局のところどのアイテムもあまり利用することはなかった。考えてみればどれも売れ残ったアイテムなのだから、確率的には好んで着る服はあまり入っていないとも言える。

 右手に寿司屋、道路を挟んだ向かい側に某カレーチェーン店が見える。どちらも美味しそうな店だがもう少し歩いてみることにしたい。

※画像はイメージです(筆者撮影)

“詰め合わせ”も“福袋”も さっきの女性が入るのを躊躇していた地下の店も、見えないことからくる不安や疑惑は考えられているより大きいようだ。最新の研究でもマーケティングにおいて“透明性”がいかに重要であるかが示されている。


 新しい研究によると、製品のマーケッターは彼らがだまされていると感じさせる顧客の懐疑論を避けるために、メッセージを明確にする必要があります。新しい研究で問題となったのは、心の理論と呼ばれる社会的認知の構成概念でした。これは、人々が他者の精神状態と明らかな目標をどれだけうまく評価するかを考慮したものです。結局のところ、それは人の評価と製品を購入する意欲に影響を与えます。

「マーケッターが透明性の低い方法で製品を宣伝することはおそらく有利ではなく、消費者はオファーを理解するために一生懸命努力しなければなりません」と(研究チームの)コーンウェル氏は述べます。

「心の理論が高くない消費者はだまされて欲求不満になる可能性がある一方で、心の理論が高く、したがって懐疑的な消費者はオファーの提示方法に苛立ち、購入意欲が低下します。どちらの結果も良くありません」と彼女は語ります。

※「University of Oregon」より引用


 地下にある店に入るかどうかためらっている人物を見てその心中を察することは、「心の理論(theory of mind)」と呼ばれる心の機能で、その時の他者の心の状態をより正確に推測できている状態である。心の理論のレベルが高いということは、すなわち共感能力が高いのだ。

 これまでの研究から、この心の理論のレベルが高く共感能力が高い人物ほど、商品やサービスの広告全般に強い疑念を抱いていることが示されている。そしてマーケティングにおいてこうした共感能力の高い人々の疑念を晴らす鍵となるのが“透明性”であるという。

 実験の1つでは参加者200人を対象にヒマワリバター7袋を送料(約1200円)さえ払えば無料で進呈するという期間限定のオファーを呼びかける広告が見せられた。なかなか“うさん臭い”広告にも感じられるのだが、参加者の半数には7つのヒマワリバターの小売り価格が表示されている広告が見せられ、もう半分は小売価格の記載がない広告を見せられたのだ。

 その後、それぞれの参加者の広告に対する疑念の度合いが計測され、この商品の購入意欲が評価された。

 収集したデータを分析したところ、すべての小売価格が記載されている“透明性”の高い広告を見たグループはもう一方のグループよりも広告に対する疑念の度合いが低く、購入意欲も高くなっていたのである。この結果を受けて研究チームは広告主とマーケッターは広告の透明性に焦点を当てるべきであると進言している。

全面ガラス張りの店で洋食メニューに舌鼓を打つ

 だいぶ駅に近づいてきた。通りの飲食店が一気に増えてくる。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 飲食店がズラリと並んでいる区画にやって来る。なかなか壮観な眺めだ。まずは家系ラーメン店の前を通り過ぎる。通りに面した部分が全面ガラス戸なので店内の様子が丸わかりである。濃厚な豚骨スープのラーメンもたまには食べてみたくなるが、今はもう少しいろんな店を見たい。

 ラーメン店の隣には某中華チェーン店がある。池袋にある店には何度も入ったことがあり、個人的にはラーメンよりもしょうが焼き定食を注文することが多い。この店も全面ガラス戸で中の様子が丸見えなので1人でも入りやすい店だ。

 さらにホルモン焼き店、定食も出している居酒屋、牛骨ラーメン店と目移りしそうな店の布陣だ。その先には洋食チェーン店や餃子チェーン店もある。

 どこに入ろうか迷うばかりだが、行き当たりばったりで入ってしまっても構わないのだろう。大塚駅周辺には飲食店街がほかにもいくつもあるのだが、あまりゆっくりしているわけにもいかない。

 洋食店の前に来る。この店も通り面したかなりの面積がガラス張りになっていて店内がよく見える。店頭には一部の人気メニューの写真と価格がプリントされた垂れ幕が掛かっていて、初めて入る者にも注文の見当をつけやすい。まさにいろんな意味で“透明性”が高いといえるだろう。垂れ幕に表示されている「オリエンタルライス」に食指を動かされて入店する。地階にある店とは違って入店のハードルはきわめて低い。

 カウンター席に案内されさっそくオリエンタルライスを注文しようしたのだが、パーテーションに貼られた紙に新メニューの「オリエンタルライス&黒カレー」という記述があるのを見てそれを注文してみた。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 さっそく料理が運ばれてくる。ポーク焼肉と黒カレーを一皿で楽しめるというなかなか欲張りなメニューである。想像した通りの味わいで美味しい。貼り紙ではこれにコロッケやメンチカツ、チキンカツやチキン南蛮をトッピングするバージョンもあることが記されている。かなり空腹の時であれな注文してみてもよいのだろう。

 地下1階にあるベトナム料理店のように“隠れ家”的に楽しめる店で評判の料理を味わうのも乙なものではあるのだが、いかんせん一見客にはハードルが高い。それに比べるとここの飲食店街のようにガラス張りの路面店であれば気楽に入店することができる。加えて大半のメニューが店頭で確認できるとすれば何の心理的抵抗感もなく店に入れるというものだろう。

 初めて食べるオリエンタルライス&黒カレーにはじゅうぶん満足だ。ほかにも入りたい店はあるが残念ながら胃袋はひとつしかない。ほかの店はいつかここを再訪した時の“宿題”ということにして店を出ることにしよう。

文/仲田しんじ

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