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肥満だけでなく小顔の人も要注意!?突然死を招く「睡眠時無呼吸症候群」の怖さ

2021.05.11

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 働き盛りの世代が知っておくべき健康寿命を延ばす術を紹介する「忍び寄る身近な病たち」シリーズ。今回は睡眠障害の大きな原因となる閉塞性睡眠時無呼吸症候群の解説だ。

 ガッーと大きなイビキ、それは熟睡の証拠なんて思っていたら大変なことになる。イビキが突然止まり無呼吸状態に陥る。“苦しい、死ぬ!“と一瞬目が覚める。再び呼吸しすぐに大イビキ。その間、10秒ほどで本人は意識がない。大イビキ、無呼吸、目覚め、呼吸の再開、また大イビキ。重症者はこれを一晩で500回以上、無意識に繰り返すのだ。

 睡眠時無呼吸症候群の患者は昼間、強烈な眠気に襲われる。また、寝ている間に脳卒中や心筋梗塞等に見舞われ、突然死もあり得る。睡眠時無呼吸症候群の患者は全国でおよそ900万人。この病気の疑いは働き盛りの中年男性の4人に1人というデータもある。

 今回解説をお願いしたのは、元筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構教授、現・医療法人慶友会守屋慶友病院・睡眠時無呼吸外来担当、佐藤誠医師。佐藤先生は睡眠時無呼吸症候群について30年以上、研究を続けている。

早朝高血圧と襲いかかる突然死

 太っていると舌のつけ根に脂肪がつく。霜降りの牛タンのようになった舌が、横になった時に気道を狭める。それがイビキの原因だが、”牛タンの霜降り“が気道を塞いでしまうと、吸った空気が肺まで届かずに無呼吸状態に陥る。睡眠時無呼吸症候群はそんな“閉塞型”がほとんどである。

「相撲部屋には睡眠時の無呼吸で治療している力士が数多くいます」

 佐藤先生は例として、広く知られた元横綱大乃国(現・柴田山親方)の睡眠時無酸素症候群を挙げる。横綱時代、体調を崩し身体にむくみが見られ大乃国。当時、200㎏を超える体重と前に突き出た腹が語り草になっていたが、日大医学部付属板橋病院に入院し、全身の問診を受けた結果、睡眠時に一時間あたり60回呼吸が止まるほど、重症の睡眠時無呼吸症候群と分かった。人工呼吸器のような治療装置を取り付け改善したが、むくみは睡眠中の酸欠で心臓に負担がかかり、右心不全に陥ったことが原因だった。

――睡眠時無呼吸症候群は、心臓に負担をかけるわけですね。

「眠っている時に無呼吸で低酸素状態になりますから、夜中心臓に負担がかかることになります。本来、睡眠中は心臓が休まっていますので朝起きた時、血圧は低いんです。ところがこの疾病を抱える患者さんは早朝高血圧が目立つ。早朝高血圧で怖いのは、眠っている間に脳卒中や心筋梗塞を起こすことで。夜中に突然死を起こす人の中に、睡眠時無呼吸症候群の患者さんがかなりいます」

 夜、眠りについたら二度と起きない…、睡眠障害どころではない恐怖を感じるではないか。

――先生、太っていなければ無呼吸症候群に陥ることはないということですよね。

 こちらの問いに、佐藤先生は難しい顔をして腕を組む。

(撮影協力/有楽町睡眠・呼吸器内科クリニック)

小顔が危ない!

「アジア人は欧米人と比べて元々、咽頭腔が狭い。ちょっと太っただけで、無呼吸になりやすいんです。特に小顔の人は気を付けたほうがいいかもしれません」

 小顔をといえば近年、美の証として若い女性の垂涎の的となる顔立ちではないか。

「親や一緒に旅行をした友だちに、イビキのひどさや無呼吸状態になることを告げられて、睡眠時無呼吸専門の外来を訪ねる、そんな小顔の若い女性は珍しくありません」

――いったいなぜ、小顔の若い女性が大イビキをかき、睡眠時無呼吸に陥るのですか。

 そんな私の問いに先生の話は、ヒトの進化に言及する。

「類人猿のゴリラは硬いものを食べるために、顔全体が咀嚼器のように頑丈です。二足歩行を獲得したヒトは手で食物を切り分け、火を使い食することで上・下の顎骨が脆弱化して、顔面頭蓋が小さくなった。

 ヒトは喉の奥に咽頭腔という空間を得ました。咽頭腔で音を共鳴させ舌で制御し、言語を発することができます。一方で咽頭腔は空気が通る上気道と、食べ物が通る食道を兼ねている。だから誤嚥を起こします。

 古代人は咀嚼筋が発達していたので、顔は幅広く奥行きもあり、下あごも大きくエラが張った、がっしりとした顔面骨格をしていました。縄文人は気道も大きくイビキをかくこともなかったでしょう。ところが小顔が進行して顔面頭蓋が小さくなった。咽頭腔も小さくなったうえに、睡眠中は咽頭腔が重力の影響で咽頭腔はさらに小さくなる。すると上気道が狭くなりイビキをかく。睡眠時無呼吸症候群になりやくなったのです」

給食にスルメを!

――閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療は、どうしたらいいのでしょうか。

「まず仰向けに寝ることを避ける。仰向けになると重力で下あごが落ちて、イビキや無呼吸状態が生じやすくなります。海外にはパジャマにテニスボールを縫い付け、仰向けになると痛くて目が覚めるとか、仰向けになるとブザーが鳴る装置とか、工夫されたものがあります。

 お勧めは横向きで眠ることです。でも横向きに眠ると肩や腰が痛くなるので、手と足を乗せ、横向きで寝られる抱き枕は便利ですね。重症の患者さんには睡眠時に圧を加えた空気を鼻から送り込み、上気道の閉塞を防ぎ、睡眠中の気道を確保する呼吸治療装置の装着で深い眠りを得ることができます」

 さらに、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の予防について、佐藤誠先生は口調を強める。

「文明の発達とともに食物は柔らかくなましたが、近年その傾向に拍車がかかっています。ある文化人類学者は子供たちの貧弱なあご骨と咀嚼筋を鍛えるため、給食でスルメ等の硬くて大きなものを食する、そんな教育をすべきだと提唱していますが、私も全く同感です。  

 噛むことで上顎と下顎が鍛えられる。顔を鍛えることは、イビキや睡眠時無呼吸発症予防の要です」

取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama

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