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実は外国勢が強いアカデミー賞、注目作は国際長編映画賞を受賞した「アナザーラウンド」

2021.05.11

■連載/Londonトレンド通信

 アカデミー賞は『ノマドランド』が制した。作品賞、監督賞(クロエ・ジャオ)、主演女優賞(フランシス・マクドーマンド)とメインを全てさらった。少し前に英国アカデミー賞でも同じ3賞に加え撮影賞(ジョシュア・ジェームズ・リチャーズ)、その前にはゴールデングローブ賞で作品賞、監督賞を受賞している。

 今期の映画賞レースを制したと言っても過言ではないこの映画については、こちら(ゴールデングローブ主要部門にノミネート!高齢漂流労働者のリアルを描いた傑作「ノマドランド」が3月26日から公開)でご紹介しているので、アカデミー賞全般を振り返りつつ、別の受賞作にいきたい。

 今回のアカデミー賞で注目したのは、『ファーゴ』(1996)と『スリー・ビルボード』(2017)で主演女優賞を受賞しているマクドーマンドの3回目がなるかで、なったわけだが思ったほどには騒がれなかった。あの大女優メリル・トリープでさえ2回と言えば、凄味が増すだろうか。あまり大女優感のないマクドーマンドだが、実は凄いのだ。

 大きく取り上げられたのは、ジャオ監督の、女性監督としては2人目、アジア系女性監督としては初となる監督賞の方だった。ホワイトすぎ、男性優位との悪評があるアカデミー賞も、偏りが是正されつつあるのだろう。

 ホワイトすぎるといっても、地元アメリカの白人勢が独占してきたわけではない。今年の主演男優賞は、史上最高齢受賞となった83歳のアンソニー・ホプキンスはじめ、リズ・アーメッド、ゲイリー・オールドマンと、ノミネート5人中3人がイギリス人だった。ちなみに、アーメッドはパキスタン系で、このあたりもダイバーシティを感じさせる。

 イギリス勢が強いのは今回に限ったことではない。主演男優賞で言えば最多受賞(3回)のダニエル・デイ=ルイスも、最多ノミネート(9回)のローレンス・オリヴィエも、イギリス俳優だ。

 なぜだろう。以前、インタビューしたアメリカ俳優ジェイク・ギレンホールは、イギリスでは俳優を育てようとするが、アメリカは良さそうなのを拾い上げて使っていくだけと言っていた。そうかもしれない。イギリス俳優も、伸びてくるといつの間にかハリウッド俳優になっていたり、ハリウッド映画で見て、アメリカ俳優と思っていたら、カナダ俳優だったり、オーストラリア俳優だったり、そのうえ英語圏外俳優でも母国語同様に英語を操る人もいて、確認してみないことにはわからない。

 今年のアカデミー賞でも、英語を話す役の方で多く観ているが、そういえばデンマークの人だったと再認識したのがマッツ・ミケルセン。国際長編映画賞(旧名は外国語映画賞)受賞のトマス・ヴィンターベア監督『アナザーラウンド』主演だ。

 ミケルセンが演じるのは、なんとダメ教師だ。失敗はないものの覇気もなく授業をこなし、家でも同様で、生徒にも妻にも見限られている。友人の1人が、体内のアルコール量をなんたらかんたら、要はちょいと一杯ひっかけつつ仕事をすると調子がよくなるとの説を唱えたことから、皆で実行し始める。

 コメディだが、彼らがたどり着くそれぞれの結末には、涙を誘う場面もある。緩急つけて話を進めながら、キャラクターごとの事情もちりばめ、最後まで飽きさせない。元ダンサーのミケルセンが、ちらっと踊ってみせてもいる。

 この映画は早くもハリウッド・リメイクの話が出ている。上手い俳優ばかりでなく、上手い映画にも目ざといハリウッドだ。

『アナザーラウンド』は9月3日(金)全国公開
©2020 Zentropa Entertainments3 ApS, Zentropa Sweden AB, Topkapi Films B.V. & Zentropa Netherlands B.V.

 公開まで数カ月あるので、その前に『偽りなき者』(2012)を観ておくのもいい。同じくヴィンターベア監督とミケルセンのコンビで、こちらはがらりと趣が変わって、薄ら寒い話だ。
 
 ミケルセンが務める主人公は、小児性愛者の疑いを持たれる幼稚園の先生。ミケルセンに意外な役をやらせて、ピタリとはめてみせるヴィンターベア監督の手際はこちらでも光っている。悪役をやっても、ヒーローをやっても、手強そうなミケルセンの印象が、ここでは親しみにくさ、とっつきにくさとなり、地域住民から疑われていくミスコミュニケーションにリアリティーがある。酔っ払い先生と濡れ衣を着せられる幼稚園の先生で両極のようだが、そこまで引っ張っていくディティールの説得力は共通している。(DVD発売中、Hulu, U-NEXTなどで配信中)

※発売、配信は予告なく終了することがあります。  

文/山口ゆかり
ロンドン在住フリーランスライター。日本語が読める英在住者のための映画情報サイトを運営。http://eigauk.com

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