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なぜ、コロナ禍で若者の「寄付」意識が高まっているのか?

2021.05.09

コロナ禍を受け、若者の間で「寄付」意識が高まっているといわれている。また、近年は「遺贈(いぞう)」といった自分の財産や資産を寄付する行為も40代以降で意識が高まっているといわれる。そこで今回は、今ドキの寄付の形やコロナ禍の状況を、年代別に探った。

【若年層】コロナ禍で寄付意識が増す

20代などの若年層の間では、サステナブルな取り組みへの関心やエシカルファッションの実践など、身近なところから社会貢献意識が高まっているといわれる。

そのような中、コロナ禍により、「寄付」の意識の高まりがあることが分かった。「コロナ給付金寄付プロジェクト」が2020年6月に実施したアンケート調査結果で、「給付金の一部を寄付したいと思うか」の問いに対し、20代の寄付意識は37%と他年代と比較して最も多い結果となったのだ。

コロナ給付金寄付プロジェクトは、特別定額給付金を寄付できるもの。公益財団法人パブリックリソース、ヤフー、トラストバンク、そして専門家有志発起人によって2020年5月に発足したもので、7か月で3億円もの寄付を集めた。

寄付は「Yahoo!ネット募金」または「コロナ給付金プラットフォーム produced by TRUSTBANK」とどちらもネット経由で手軽にできるとあって、若年層にも敷居が下がったようだ。

コロナ給付金寄付実行委員会の佐藤大吾氏は次のようにコメントを寄せた。

「20代の寄付意識の高まりについては非常に興味深いです。色々理由が考えられますが、一つに『クラウドファンディングの台頭』が挙げられると思います。20代はクラウドファンディングに対する抵抗感もなく、身近な友人などから寄付や応援を頼まれた経験を持つ人が増えてきたことで、寄付へのハードルが下がってきたのではないかと思います。

そもそもコロナに関わらず、就職活動において複数から内定をもらったときに『社会貢献姿勢を重視して就職先を選択する』という学生が増えている(※)など、他の世代と比べて社会貢献意欲が強いと言えると感じます。

それでも若年層は普段は資金的にゆとりがないため、積極的に寄付をすることはできないものの、今回10万円の給付金という原資ができたことで、『やってみたかった寄付を、可能な範囲でやってみたい』と考える20代が多いと思いますし、また彼らの多くにとって、これが初めての寄付体験になったと思います。

寄付文化の促進に取り組んできた私としては「一度でも寄付したことがある」のと「一度もない」のとでは、今後の人生において寄付に対する向き合い方に大きな開きができることは間違いないので大変うれしいことだと受け止めています」

(※)就職意向調査の例「キャリタス就活 2020 学生モニター調査結果」

【30~50代】クラウドファンディング・ふるさと納税

30~50代の一般層においては、クラウドファンディングやふるさと納税がトレンドであるようだ。そしてコロナ禍を受けて寄付意識が高まっている。

●クラウドファンディング

三菱UFJリサーチ&コンサルティングが20代男女に対して実施したアンケート調査結果によれば、クラウドファンディングでの支援を行った経験のある者の比率は、20代と30代が多かった。

またGfK Japanがコロナ前、コロナ後の2019年9月から2020年8月の1年間において行った国内主要クラウドファンディングサイトにおけるクラウドファンディング動向を知ることのできる調査結果によれば、コロナ後、クラウドファンディングのプロジェクト発足数は増加し、政府からの緊急事態宣言発令期間中である2020年5月は過去最多を記録したという。新型コロナは人々の寄付意識を高めたようだ。

特に新型コロナの影響による支援依頼では、エンターテイメントや飲食業界に対する寄付や、当該企業が提供しているサービスの購入依頼が多かったという。

●ふるさと納税

アスマークが2018年に実施したふるさと納税に関するアンケート調査(※)結果では、ふるさと納税の経験者は全体の20.2%となった。年代別に見ると「自分の名義でしたことがある」人の割合は、50代がトップで24.5%、次いで30代の23%、40代の20.5%と続いた。

※出典元:株式会社アスマーク/「ふるさと納税に関するアンケート調査」調べ

そしてふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクが2021年2月に実施した調査結果によると、2020年は約7割の自治体が昨年より寄付額を伸ばしたという。そして寄付額を伸ばした要因の一つは「コロナ禍の生産者支援消費」と約6割が回答した。

また原則、返礼品を受け取るのではなく、被災自治体に災害支援の寄付をするふるさと納税も存在するが、同社の別の調査では、ふるさと納税の災害支援を「知っている」と答えた人は59.2%で、2017年比で11.4ポイント増加している。そして「寄付したことがある」と答えた人も20.2%と同年比7.6ポイント増加した。

トラストバンクの分析によれば、増加の背景には、2017年以降に大規模災害が多発し、寄付を募る自治体が増えたことや、被災地以外の自治体が寄付を募る「代理寄付」の普及、これらに伴うふるさと納税の災害支援に関する報道の増加が考えられるという。

トラストバンクの担当者は、今般のコロナ禍によるふるさと納税への影響について次のようにコメントする。

「2020年はコロナ禍で、例年以上に巣ごもり消費が盛り上がり、寄付額が上積みされました。旅行できない人が寄付をし、全国の特産品を受け取ったり、打撃を受けた観光地などを応援したりする手段として制度を使うケースが増えたと考えられます。自治体もコロナで打撃を受けた事業者の販路拡大など地域経済を支える活路となったのではないでしょうか」

40代以降は「遺贈」に関心あり

「遺贈」とは、遺言に基づいて、子どもや家族などの法定相続人以外に遺産を譲り渡すことをいう。知人などの個人のみならず、団体や学校などに寄付する場合もあり、新しい寄付の形として関心を集めている。

国際NGO団体の「国境なき医師団日本」が2018年に全国20~70代の男女1,200人を対象に行った「遺贈」に関する意識調査の結果によると、「遺贈」という言葉の認知度は全体の64.4%となった。年代別に見ると、40代は55.5%で、年代が上がるにつれて増えていき、70代では85.5%となった。

また「遺贈してもよい」と回答したのは全体の49.8%であり、各年代目立った差は見られなかった。

●三井住友信託銀行「医療支援寄付信託」

先日、三井住友信託銀行が医療に関する研究を実施する大学に寄付できる「医療支援寄付信託」を始めた。「医療支援」という共通テーマのもとに参加した13の大学の中から「未来医療の創生」、「難病克服に向けた研究」、「医療体制の整備」等の具体的な研究・活動を比較検討して、寄付先を選択できる。

<医療支援寄付信託の参加大学およびテーマ>

この医療支援寄付信託を始めた背景として、三井住友信託銀行は次のように述べている。

「医療支援寄付信託の開発のきっかけは、当社が2020年5月に開設した『新型コロナワクチン・治療薬開発寄付口座』です。新型コロナウィルスのワクチン・治療薬の開発を行っている国内の14大学に、2020年8月時点で総額2.6億円の寄付を募ることができました。この体験は、寄付の重要性を認識するとともに、課題に気付くきっかけにもなりました。

従来、大学に寄付をする際には、寄付者自身が、寄付先の情報収集から各種の手続きまで全てを個人で行う必要がありました。せっかく寄付したいと思っても、寄付者の負担が大きいのが現実です。

今回の医療支援寄付信託では、寄付者は寄付テーマ一覧を三井住友信託銀行のホームページで確認した後、店舗の窓口で寄付したい テーマと寄付総額などを申し込むだけで手続きは完了します。最大5年にわたって寄付することが可能ですが、手続きは初年度のみです」

寄付を申し込むと大学から寄付金の活動報告書を年に一度受け取ることができるため、自分の寄付がどのように使われているのかも分かる。

東京大学の藤井輝夫総長は、今回の参画について次のようにコメントを寄せている。

「大学が寄附募集を行っていることは、一般的にはまだまだよく知られていません。まずは、大学というものが、社会的課題の解決に重要な役割を担っていることを知っていただき、そのための人材育成や研究・開発を行うための資金を必要としていることを広くご理解いただくことが必要と考えています。複数年にわたりご支援をいただくこの仕組みは、計画的・安定的な研究を可能としてくれます。その研究成果を定期的にご報告することで、支援者の皆様との信頼関係が構築でき、社会的課題の解決に資する寄附文化が醸成されることを期待しております」

コロナ禍を受け、日本では若年層から一般層まで寄付意識が高まったことがさまざまな調査結果より分かっている。寄付といっても、現在ではさまざまな方法がある。自分にとって最適な寄付の仕方や寄付先を見つけたいものだ。

Information
「コロナ給付金寄付プロジェクト」
「ふるさとチョイス災害支援」
三井住友信託銀行株式会社「社会貢献寄付信託 寄付先について」

取材・文/石原亜香利

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