論点(2)ビットコインはいつまで価格が上がるのか?
あくまで個人的な意見ですが、ビットコインはブレイクの最終段階に入ったと考えています。今年中に1枚あたり1000万円を超えていても驚きません。
およそ1年前、ビットコインは1枚100万円を下回っていました。それが2021年2月には600万円を突破しました。
この勢いの背景には、金融緩和や、米国の電気自動車大手のテスラが15億ドル相当のビットコインを購入したニュースなどがあります。テスラのような〝ファーストペンギン(※)〟が現われると、追随する企業や投資家が生まれるでしょう。
プロが多く参入してくると、普通の個人は勝ちにくくなってしまうでしょうね。今はまだ普通の個人でも勝てる状況だと思いますが、そういう時期はもしかすると、今年が最後なのかなという気がしています。
論点(3)いま買うリスクはどれだけあるのか?
ビットコインは価格の変動が激しいから危険だというけれど、それは日本円を基準に見ているからなんですね。
ビットコインを基準に見ると、日本円は価格の変動が激しくて、しかも大暴落している。日本円しかもたない人って、私から見たらとんでもないギャンブラーです。自分にはあんなことは怖くてできないですね。
ビットコインを抜きにしても、そもそも円安が進んでいるし、金融緩和によるインフレの懸念もあります。日常レベルでいうと、コンビニで買うお菓子の内容量が減った(笑)。経済学でいう「シュリンクフレーション」ですね。実質的に物価は上昇し、日本円の価値は目減りしています。
資産を現金ではなく「株」として持つのはどうか。これは人によると思いますが、株価は世の中の色々な出来事に影響を受けるため、売買の判断が難しい。それに比べて、仮想通貨は集めるべき情報が少なくて済むと私は思っています。具体的には、通貨のプロジェクトの進行具合とか、米国長期金利とかですね。
ただ、株にせよ仮想通貨にせよ、自分が分かるものや、興味をもてるものでないと、なかなか投資は上手く行かないと思います。勉強が一番大事ですね。
あとは、仮想通貨の場合は、細かい売買をしないことが大切だと思います。けっこう価格が上下するから、初心者は下がったときに狼狽売りしてしまうんです。損切りしすぎるのも気を付けたほうがよいでしょうね。まずは少額で失敗することです。投資は完全に自己責任の世界ですし、身銭を切って学ぶことが大切です。
そのうち売買による利益だけでなく、革新的な金融の形態の面白さに惹かれるはずです。そうして目の前に新しい世界が広がったなら、それこそが本物のリターン(利益)となるはずです。
※第一歩を踏み出した勇敢な企業のこと。
ビットコインだけじゃない!坂井先生が注目する仮想通貨
今や2000種類以上の銘柄がある仮想通貨だが、資産としての価値だけでなく壮大なプロジェクトを目的とした仮想通貨も多く登場している。坂井教授が「人類のインフラ」になるとする仮想通貨を2つ紹介する。
ポルカドット
2020年8月に登場した仮想通貨。異なるブロックチェーン同士をハブのようにつなげ、ブロックチェーン間での価値の流通を容易にする基軸通貨はドット(DOT)。
イーサリアム
「スマートコントラクト」と呼ばれる、契約を自動で執行するプラットフォーム。ビットコインのように管理主体のない金融取引が可能になる。基軸通貨はイーサ(ETH)。
取材・文/峯 亮佑