人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

経営理念や社風の伝承、共有で新卒社員の定着率がアップ!ベンチャー企業が仕掛けた8つの人事改革

2021.05.01

■連載/あるあるビジネス処方箋

前編はこちら

前回に引き続き、求人広告事業や採用ブランディング事業など採用コンサルティング事業(東京都新宿区、100人)で躍進する(株)プレシャスパートナーズの中川 梓 管理本部 執行役員CHRO(最高人事責任者)を紹介する。

中川さんは、新卒入社の半数以上が1年で退職した「2015ショック」を乗り越え、8つの改革で定着率を向上させた。

中川梓(あずさ)さんのプロフィール
2011年に中途入社。営業職として経験を積み、2013年に人事部へ異動し、2015年に部長となる。部下は現在、5人(うち、人事3人、総務2人)。主に新卒や中途の採用試験を企画立案し、実施する一方、管理職や一般職の研修も行う。最近は、パワーハラスメント研修や人材教育に力を注ぐ。2020年4月に管理本部 執行役員CHROに就任。

中川さんは社長や役員の了解のうえ、次に挙げた8つの改革を全社で段階的に試みた。

1、社内の個々の仕事の意味、目的、作業フローを再定義し、関係部署で共有する
2、個々の作業の役割分担と権限、責任の明確化
3、チームで仕事や作業をすることで効率化を進め、精度を高める
4、残業時間の削減
5、役員や管理職の研修の徹底
6、内定者研修の変更・強化
7、新入社員との関わりを増やす 
8、経営理念や社風の伝承、共有

1と2は、特に新卒者全員が配属される営業部を中心に15年から早急に取り組んだ。退職者に「仕事がキツイ」といった不満が多かったことを考慮した。取り組むうえでまず、営業の中心である「企業開拓、求人広告の企画・立案」を次の作業工程に明確にわけ、部員で共有した。

【1】「見込み客のリストアップ」
【2】「テレアポ(アポイントメント取り)」
【3】「訪問(接客)、セールス」
【4】「契約成立」
【5】「原稿の編集制作」
【6】「入金・予算管理」

以前は、入社1年目から全員が先輩のOJTのもと、作業工程の【1】から【6】まで取り組んでいた。改革以降は【5】を専門に扱う部署を設け、数人の社員が専従として編集制作をする。

中川さんはこう語る。

「入社1年目の社員にとっては、キャパシティーオーバー気味の仕事量を大幅に減らすことができた。並行して、営業部と編集制作の担当者との役割分担、権限や責任の明確化を進めたことも大きな効果を発揮した」

1と2を並行して進めたことが、3につながった。営業担当者と編集制作の担当者がチームで取り組むので、ムリ・ムダ・ムラを省き、原稿の精度が高くなる。チームで仕事をする機会が増えると、営業部を中心に残業時間が減る。2015年当時で全社の月平均残業は約40時間だったが。2019年は28時間程になった。

残業削減をするうえで特に力を入れたのは、次のAからCだ。

A 1日の仕事の「見える化」と部署での共有

全部署で個々の部員の仕事を共有のエクセルデータに1時間ごとに記録。それをもとに管理職が毎日、少なくとも午前中1回、午後1回、その時点での仕事や課題、問題点を尋ね、話し合いのうえ共有する。1日終えると、当日もしくは翌日午前の10時くらいまでに今後の課題や仕事の進め方を確認。この繰り返しで仕事の効率化を図る。

B 上司の許可の一層の徹底

以前から、残業をする際にはほとんどの社員が上司に報告し、許可を得たうえでしていたが、改革以降は厳格なルールを設けた。必ず、理由や内容、終了予定時間を含めた報告をして許可を得ることにした。状況いかんでは、認めない場合もある。

C 「残業見える化」カードの作成、普及

上司の許可を得ると、当日は自席の上にカード(高さ約20センチ、幅30センチ程)を周囲に見えるように置く。残業をすることをいわば宣言し、定時までの仕事と残業の差を意識の面で明確にした。配属部署以外の社員も見ることができるようにして、社内全体の意識を改革。並行し、他の部署の管理職を始めとした周囲の社員が「できるだけ早く終えて、退社するように」と本人に声をかける取り組みを行った。

改革の取り組みの5~7は関係が深い。2015ショックの時、管理職(主に課長)の平均年齢は20代半ばから後半。部下育成の経験が1~2年と浅かった。そこで15年から現在に至るまで、役員や管理職の部下育成力をテーマにした研修を繰り返し実施。外部講師を招き、パワーハラスメント(パワハラ)に関する研修も行い始めた。新卒者が入社前に受講する内定者研修も開始した。前年の秋から3月末までに1か月に1~3回のペースで開催した。

経営理念や社風の伝承、共有で定着率向上

改革の8の「経営理念や社風の伝承、共有」。経営理念や社風については、「RJP(現実的な仕事情報の事前開示)」(Realistic Job Previewの略)の姿勢で、会社説明会や採用試験の段階で説明を行った。話す内容は会社や各部署から残業時間や残業代、休日出勤、離職率、テレアポ(アポイントメント取り)までに及ぶ。

営業のテレアポでは、150社ほどに電話を入れて会社に訪問できるようになるのは数件であることも伝え、厳しさを理解してもらう。

8つの改革を矢継ぎ早に行った結果、2015ショックを乗り越え、定着率を向上させることができた。特筆すべきは、業務工程を見直し、役割の明確化や部署間の共有を図った点だ。クライアントから好反応があったという仕事の質の高まりだけでなく、50%の残業時間削減という成果も生み出している。

 中川部長は社長、役員や管理職、一般職など広範囲から協力を得る態勢を作ることを心掛けたようだ。人事の改革は、会社の総合力が問われることがあらためてわかる。

文/吉田典史

新型コロナウイルス対策、在宅ライフを改善するヒントはこちら

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2021年4月15日(木) 発売

DIME最新号の特別付録は「スマホLIVEスタンド」! 特集は「投資の新常識」&「輸入食材スーパーの極上グルメ」

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。