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給与のデジタル払いはいつから始まる?検討中もしくは予定している大手企業は3割弱

2021.04.28

「給与デジタル払い」が始まる?検討(予定含む)している大手法人は約26%

給与といえば、これまでは銀行口座振り込みが当たり前だった。しかし、キャッシュレス化が進む中で、政府は給与もデジタル払いを解禁する方針だと報じている。モバイル決済アプリや電子マネー等が生活に身近になってきている我々にとって、さらに利便性が向上しそうだ。

そんな「給与のデジタル払い」解禁に関する意識調査がこのほど、株式会社Works Human Intelligenceにより、統合人事システム「COMPANY」のユーザー247法人265名を対象にして実施された。

【設問1】給与のデジタル払いが解禁になった場合、利用を検討しますか。

給与デジタル払いを検討(予定含む)の法人は26.3%という結果だった。これは「検討しているが利用は未定」「検討していないが、これから検討予定」の合計。

一方、「検討していないし利用の予定もない」法人は72.9%と、大多数を占めた。「既に検討していて利用予定」「検討しているが利用しない予定」と回答したのは、247法人中それぞれ1法人のみだった。

【設問2】利用を検討する場合、どのような目的が考えられますか。(複数選択可)

想定される利用の目的については、「銀行振込手数料の削減」が55.2%で最も多く、次いで「従業員への便益」が47.8%、「イシュアー(デジタル通貨発行元)からのポイント付与による従業員への還元」が22.4%という結果になった。その他の回答として、銀行口座を持たない外国籍社員への支払いが便利になるという声も上がった。

■設問2 の回答への詳細コメント <回答一部抜粋>

・従業員の利便性向上。従業員から要望があった場合には応える必要がある。
・外国籍社員への支払い。銀行口座開設負担の削減、もしくは開設までの暫定措置。
・多様化への柔軟な企業変化。環境変化への適応。
・法人へのポイント還元。社内ポイントカードチャージへの期待。
・他社が対応したら検討する。現状、検討に対して前向きな理由はなし。

【設問3】利用を検討する場合、想定している利用対象について回答ください。(複数選択可)

デジタル払いの想定対象者は「希望者」が61.3%で最も多く、「全従業員」はその半数以下の27.4%だった。「その他」回答には、「アルバイトのみ」「国内口座を持たない外国籍社員」など、利用対象を絞るという声も見受けられた。

■設問3 の回答への詳細コメント <回答一部抜粋>

・国内口座を所有しない外国籍社員。
・従業員の年齢が幅広く、全員一律とはできないと考えられるため、希望者のみとなる可能性大。
・やるとしても、アルバイトから導入。
・デジタル払いの現在の信用度を考えると全従業員をデジタル払いにすることは考えにくい。
・対象者を限定することはないと想定している。逆に、対象者を限定することは法的に可能か?

【設問4】給与デジタル払いを実施した場合、従業員が現金化するときに発生する手数料についてどのようにお考えですか。(n=162)

デジタルで受け取った給与の現金化にかかる手数料については、61.1%が「従業員がすべて負担する」を選択した。デジタル払いを実施する最も多い目的が「振込手数料削減」であることを踏まえると、新たなコストをかけることに対しては消極的な結果になったと推測される。

■設問4 の回答への詳細コメント <回答一部抜粋>

・口座振込とデジタル払いを任意選択可能なら、現金化手数料は従業員負担。
・デジタル払いへの手数料が不要であれば、公平性担保のために銀行振込にかかっている
手数料の同額まで負担。
・今後の法整備によって検討する。
・他社事例を参考にして検討する。

【設問5】給与デジタル払いを実施する場合に、どのような障壁が考えられますか。(複数選択可)

給与デジタル払い実施の障壁は「システムインフラの投資コスト」が63.2%と最も回答が多く、次いで60.0%で「担当者の対応工数」となった。また、デジタルマネーの利用に対し、セキュリティーや業者破綻時の補償について懸念の声が上がっている。

■設問5 の回答への詳細コメント <回答一部抜粋>

・資金移動業者の選定方法、また選定後の入れ替え頻度。
・不正利用された場合や、資金移動業者が破綻した場合の補償。
・従業員、組合、経営層への説明。
・デジタル払いのみ許可とすると口座振込を希望する社員への説明がつきにくい。
しかし社員の希望ごとに分ける場合、給与担当者の負担が増加する恐れがある。
・そもそもどこにメリットがあるか不明。

【設問6】その他、給与デジタル払いに関する意見・期待・懸念があればご記入ください。

「具体的なルールや運用方法を知りたい」、「今後の状況を見ながら検討したい」といった意見があった。また、振込手続効率化への期待があった一方で、「銀行口座振込対象者とデジタル払い対象者が混在することにより逆に対応工数が増えるのでは」という懸念もあった。

WHI総研シニアマネージャー・伊藤裕之氏による総括

■ 調査結果から分かる現在の状況

アンケート結果からは、約4 分の1 のお客様がデジタル払いを「検討中」ないしは「検討予定」だとわかりました。総じて、興味に値する制度であることは確かであるが制度自体が不透明な部分もあり、コスト面やリスク面において考慮すべき点が多く、実現に向けて早急に検討する段階ではない、というのが現状かと考えます。

給与のデジタル払いは「賃金支払いの5 原則※」を見直すということもあり、より慎重な姿勢が意識されている面もあるのではないでしょうか。

※労働基準法第24 条において、賃金は、(1)通貨で、(2)直接労働者に、(3)全額を、(4)毎月1 回以上、(5)一定の期日を定めて支払わなければならないと規定されています。今回のデジタル払いは、(1)通貨で、の部分が大きく変化することになります。

■ 給与デジタル払いのメリット

回答内にあるように、給与デジタル払いの利用は企業にとって以下のようなメリットを生む可能性はあります。

・「銀行振込手数料の削減」「従業員への福利厚生」の実現
・外国人労働者を中心に、給与口座の管理が困難な従業員への給与支給方法の選択肢の増加

また、給与のデジタル払いを許可・促進するという企業の姿勢は、社会の変化や多様性を理解し、重視するという企業メッセージを内外に与える効果があり、結果的に採用面や従業員のエンゲージメントの観点でプラスの効果も期待できます。

■ 給与デジタル払いのデメリット

一方で、システム連携費用や運用工数の増大が予想されます。

・給与の全額をデジタル化することを希望する従業員はわずかと考えられるため、口座情報とデジタル送金先情報の二重管理や、銀行振込データ・デジタル連携データの二重出力といったように、運用面での二重化につながる

・各企業が直接コード決済、電子マネー運営業者と連携することは現実的ではないため、給与データからコード決済や電子マネー用のデータへの変換、各運営会社へのデータ連携を行うための事業会社の参画、連携や運用面のサポートを行うためのシステム導入の必要がある

■ 情報を注視しながら今後の検討を

以上を踏まえると、特に企業側は給与のデジタル払いにおいて、メリットに比べてデメリットやリスクが現状では大きいように感じられます。一方で、今後日本社会のデジタル化の波は避けて通ることができない状況であり、様々な手続きの変化が進むことも予想されます。

給与のデジタル払いについても、各種情報を注視しつつ、まずは今後について一考いただくことが肝要と考えます。

<解説者プロフィール>

伊藤裕之(いとうひろゆき)
株式会社Works Human Intelligence WHI総研シニアマネージャー

プロフィール
2002年にワークスアプリケーションズ入社後、九州エリアのコンサルタントとして人事システム導入および保守を担当。その後、関西エリアのユーザー担当責任者として複数の大手企業でBPRを実施。現在は、17年に渡り大手企業の人事業務設計・運用に携わった経験と、約1,200のユーザーから得られた事例・ノウハウを分析し、人事トピックに関する情報を発信している。

※Works Human Intelligence 調べ

<調査概要>
調査名:給与のデジタル払いに関する意識調査
期間:2021年2月15日~3月5日
対象:当社ユーザーである国内大手法人247法人265名
調査方法:インターネットを利用したアンケート調査

出典元:株式会社Works Human Intelligence
https://www.works-hi.co.jp/

構成/こじへい

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