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ITベンチャーの人事担当者に聞くコロナ禍で新卒採用を成功させる極意

2021.04.25

コロナ禍は、採用にも及んでいる。いつもの会社説明会やインターン、面談など、対面を要する機会のすべてに感染リスクが懸念されるからだ。そんな中でも、あらゆる工夫をし、試行錯誤しながら新卒採用を成功させた企業もある。さまざまなハードルをどう乗り越えたのか、新卒採用を成功させたITベンチャー企業2社にインタビューを行った。

オンライン選考でも「誠実に本音で向き合う」ことが成功の秘訣~株式会社IDH

エンジニアリング事業などを行うITベンチャー企業の株式会社IDH(本社:東京都台東区)は、オンライン選考だけで、2022年卒の新卒採用が良い方向に進んでいるという。2022卒の新卒採用の採用予定人数は、全体で6~12名。2021年3月31日時点で、内定承諾者はエンジニア4名、WEBマーケティング1名、営業1名の合計6名と順調だ。

その秘訣はどこにあるのか。人事の新卒採用担当、渡邊愛理さんは次のように話す。

株式会社IDH 人事 新卒採用担当 渡邊愛理さん

「弊社は22卒から新卒採用をスタートしたため、初年度ということでさまざまな方法を検討しました。これまで中途採用も、基本的にいわゆるWebサイトからエントリーする“ナビ媒体”の運用のみで上手くいっていたため、新卒採用もナビ媒体を2つ運用しています。

大前提として、弊社は成長率や方針、社員のモチベーションの高さ、福利厚生の充実度など、かなり魅力的な会社なので、それをどれだけ伝えることができるか、またそういったことを魅力に感じる層にきちんと届けられるかということが鍵になると感じていました」

選考は一次選考も最終選考も、オンラインか対面か選択できるようにしている。もしオンラインが選ばれた場合、対面の面談とは異なるむずかしさがあるといわれる。そのあたり、どのように感じていたのか。

「オンラインでの選考は、やはり面と向かって話すのとは異なり、お互いの雰囲気が伝わりにくいというのは感じました。弊社は人物面を重視して選考するので、『面接用の姿や答え』ではなく『ありのまま』を見たいのですが、ただでさえ私は採用の経験が浅い上に新卒初年度という中で、オンラインでは対面よりさらにむずかしいと感じました」

●オンライン選考での工夫ポイント

そのオンライン選考のむずかしさは、どのように対処しているのか。工夫ポイントを渡邊さんに挙げてもらった。

1.あえてくだける

「説明会の段階から『変にかしこまらず、あえてくだける』ということは意識しています。将来に向けての大事な選択を、弊社であれば説明会+面接2回の短い時間で得た情報から判断してもらわなくてはならないわけですから、こちらのことを必要以上に伝えることや、学生が気になっていることをすべて聞けるような雰囲気を作るように心がけています。

例えばうちは私服可の職場なので、オンラインでもパッと見てそれがわかるようにパーカーを着て参加したり、制度や福利厚生を私が実際にどのように活用しているのかを話したりしています。また、説明会のスライドに流行りものやちょっとクスっとできる箇所を用意したり、普段の話し方に近い言葉を選ぶようにもしています」

2.常に誠実に本音で向き合う

「常に誠実に本音で向き合うことで、少しでも信頼してもらえるようにも努めています。説明会や面接の際、『聞くのをためらうような質問もどうぞ』と言っているのですが、もちろん、そのような質問が来ても、すべて正直に回答していますし、最終面接を担当している代表も、正直に話したり、物事をはっきり言うタイプなので、その辺りは社風を感じ取ってもらえる部分でもあるかと思います」

3.ありのままを見せる

「1と2のように、代表や私自身がありのままで対応し、ありのままの会社を見せることで、学生もありのままの姿を見せてくれ、結果的に選考の段階から先輩後輩のような関係を築き始めることができているように感じています。それが内定承諾率の高さにつながっているように思います」

4.面接前に提出する書類にひと工夫

「見極めるということに関してはやはりむずかしいと感じるため、面接にあたって提出していただく書類でも、学生の方の性格や生き様、潜在的な能力が見えるように工夫をしています」

これらの対策は、状況を見ながら改善してきた事柄だという。

「そろそろ22卒の採用活動も終盤にさしかかってきましたが、まだ変わっていく可能性もあると思っています。今期スムーズに採用活動が進んでいるのも、状況に応じて変えていったというのも大きな要因ではないでしょうか」

●今後の新卒採用の展望

研修の様子

最後に、今後の新卒採用はどのように行っていく予定なのか、今後の展望を話してもらった。

「学生さんたちは、私たち以上にオンライン化に適応していると感じており、むしろ移動時間や交通費が節約できることからメリットを感じているように思います。弊社としても、内定承諾者の半数が遠方在住の学生のため、対面のみの採用ではご縁がなかったかもしれないと思うと、メリットのほうが大きいかもしれません。

コロナが落ち着いた後のことを考えてみても採用活動はオンラインが主流になるように思いますし、弊社としても続けていくつもりです。さらに、ここ数年の傾向やオンライン化により、学生が就職活動を始める時期が早まっていくとの予想が出ています。今後は、学生の目に留まるようなコンテンツを、オンラインをメインに打ち出していく必要もあると考えており、採用担当によるTwitter、人事ブログ、YouTubeなどによる情報発信も行ってみたいと考えています。

また、弊社は役職なしのフラットな組織でもあるので、今回新卒第一期生でお迎えする22卒の方々に意見を求めたり、協力してもらったりしながらその時々の学生が求めている情報や弊社の魅力を発信していけたらと思っています。そこから少しずつでも弊社に興味を持ってくれる学生を増やしていき、ゆくゆくは自社サイトだけで採用ができるようになるのが一番の理想です」

オンラインゲーム会社説明会で学生らの心をつかむ!~株式会社ビヨンド

クラウド環境におけるサーバー構築や運用保守などを行うITベンチャー企業の株式会社ビヨンド(本社:大阪市浪速区)は、会社説明会をオンラインゲーム上で行うなど、かつてない取り組みで話題になった企業だ。

広報・採用担当の藤沢海さんは、お笑い業界の裏方から転職してきたこともあり、おもしろい採用活動の企画・運営に取り組んでいるという。オンラインゲーム会社説明会を思いついたきっかけやメリット・デメリットを聞いた。

株式会社ビヨンド 広報・採用担当 藤沢海さん

●オンラインゲーム会社説明会とは?

ビヨンドが21卒生向けに2020年に行ったオンラインゲーム会社説明会は、オンラインゲーム内で移動しながら会社説明を聞けるほか、ゲーム内で社内見学、職業体験もできるという面白い取り組みだ。

オンラインゲーム会社説明会用のサーバーをエンジニアが構築し、そのIPアドレスを学生に伝え、ログインしてもらう形で実施。同時にYouTube Liveでも公開し、視聴参加もできるようにした。開催中は、ゲーム内参加の人も、視聴のみの人も、チャットに質問を書き込むことができる。

またゲーム内参加者には、「社内見学」「アラート対応体験」も用意。また、それぞれ自由にスキンを作成することができ、個性が発揮できるようにした。ブロックでオフィスを完全再現しているのも見どころだ。

メイン事業である「クラウド/サーバーの運用監視」をゲーム内で体験できるようにするために、急遽発生したサーバーの障害をゾンビに見立て、物理的に殴って倒していく体験も盛り込んだ。

●オンラインゲーム会社説明会考案のきっかけ

この斬新なアイデアは、どんなきっかけで生まれたのか。

「2019年11月ごろに代表取締役の原岡、取締役の森田、広報の藤沢の3人で『おもしろい採用活動』をやりたいという話をしていたところ、バーチャル空間に学生さんも企業側も集まってみるのはどうか、という案が代表から出ました。バーチャル空間で集まることが可能なツールをいくつか候補に挙げたところ、オンラインゲームにオフィス空間を作って会社説明会をやってみるのが良いのではないかということで開催が決定しました。
ただオンラインで会社説明会をやるだけではなく、学生さんもゲーム内に入り込むことで退屈にならない点や、エンジニア採用を行う上である程度ITリテラシーを持っている学生さんが集められるという点、そして何よりコロナの影響で対面の接触が不可能になった状況でも楽しく採用活動ができたという点で、オンラインゲーム会社説明会は非常にメリットが大きかったです」

●デメリットはどう埋めた?

メリットの多いオンラインゲーム会社説明会だが、次のデメリットも感じていたという。

・オンラインゲームを持っていないと参加できない
・オフィスの雰囲気を知ることができない
・お互いの人間性を探れない、会話のキャッチボールが困難

しかし、それぞれのデメリットには、すでに次のような解決策が用意されている。

1.「オンラインゲームを持っていないと参加できない」の解決策

オンラインゲームを持っていない人でも会社説明会に参加できるように、YouTube Liveでも生配信を行うことによって、チャットでのやり取りや雰囲気を楽しんでいただくことができました」

2.「オフィスの雰囲気を知ることができない」の解決策

「大阪の感染者数拡大により、実際にオフィスを見学いただくことはまだむずかしいので、オフィス内をGoogleストリートビューで撮影し、Web上でいつでも誰でも社内見学ができるように準備を進めております。撮影は2021年5月に行う予定です」

3.「お互いの人間性を探れない、会話のキャッチボールが困難」の解決策

「オンライン会社説明会内で『エンジニア座談会』の時間を設けています。現場で働いているエンジニアの声が聞きたい、という要望は学生さんからよく寄せられていたので、Zoomでの座談会に弊社インフラエンジニアが3名ほど参加し、学生さんからの質問に答えることでコミュニケーションをとるようにしています」

●成功のポイント

同様に、オンラインゲーム会社説明会を実施する企業もあるという。今後も増えると予想される。成功させるポイントは?

「他社の採用活動でも、オンラインゲーム上で会社説明会をやっている企業はいくつかありますが、ゲームによってもできることが違うと思うので、ターゲットとなる学生さんがどんなことをすれば楽しんでくれるのか、自社に興味を持ってくれるのかをまず考えることが成功につながるポイントかと思います。ただゲームを使って会社説明会をするだけではなく、企業理念や会社の色に沿った内容にすることで、学生さんと企業間のミスマッチも減らせるのではないかと思います」

●今後の新卒採用の展望

最後に、今後の新卒採用はどのように行っていく予定なのか、今後の展望を話してもらった。

「オンライン上でいつでも自社のことを知ってもらえるように『バーチャル社内見学』のコンテンツを企画しています。こちらはGoogleストリートビューで撮影したものとは別で、『シュミレーションゲーム風』の社内見学になります。求職者の方がWeb上に公開されている社内見学のサイトにアクセスし、ビヨンドのエンジニアや役員とシュミレーションゲーム風に会話ができるというものです。会話パターンやシナリオはすべて自作になるので、制作に相当な時間がかかりそうではあるのですが、個人的にそういった物語を考えることは好きなので、ビヨンドのことを知ってもらうために時間をかけてでも一つの『作品』を作り上げ、求職者の方に楽しんでもらえたらと思っております」

コロナ禍における、2社のIT企業の新卒採用の取り組みを紹介した。秘訣として、オンラインであっても「ありのまま」「本音で誠実に」対応すること。そして、学生らの心をつかむオンラインゲームといった遊び心を取り入れることが挙がった。

むしろオンラインは学生らにとって歓迎される選考方法とも言えるようだ。企業側は。どれだけ彼らに寄り添うことができるかということともに、いかにオンラインで「見極めるか」の課題にも取り組んでいく必要がありそうだ。

取材・文/石原亜香利

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