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元〝年俸120円〟Jリーガーの安彦考真が格闘家デビュー戦で示した飽くなき挑戦者魂

2021.04.19

格闘家デビューは華麗なKO勝ち! 

僕の挑戦の第1章は終わりましたが、これからは第2章。格闘家になって、来年大晦日のさいたまスーパーアリーナ(RIZIN)を目指します」 

20201220日、J3最終節・藤枝MYFC戦での引退セレモニーで、まさかのサプライズ宣言した当時YSCC横浜のFW安彦考真。その彼が4月16日、東京・八芳園で行われたアマチュア格闘家イベント「エグゼクティブ・ファイト・武士道~無限~2021」でついに格闘家デビューを果たした。

 

戦いに憧れた企業経営者や役員などが続々とリングに上がる中、5試合目に登場したのが安彦だった。サンボマスターの曲に乗って鬼気迫る表情でリングに上がった彼の相手は、タイガーマスク姿で登場した会社役員の佐々木司(38)。年齢的には安彦の方が不利だったが、Jリーガー時代に鍛えた走力と持久力に加え、3カ月半の肉体改造によって鍛えられた体幹、腹筋や腕の筋肉の強さは嘘をつかなかった。

2分×2ラウンドという試合に対し、安彦は先手必勝体制で一気呵成に飛び出した。1ラウンド目の序盤からいきなり相手に襲い掛かり、キックやパンチを浴びせ、追い込んでいく。そして1分30秒に差し掛かろうという時に初ダウンを奪う。1ラウンドをリードした状態で終了。2ラウンド目も勢いが衰えることはなかった。多少の反撃は食らったものの、またも1分過ぎに2度目のダウンを取り、ラスト10秒というところでKO勝ち。安彦はリングに両ひざをついて、小さくガッツポーズをしてみせた。

引退セレモニーで格闘家になると聞いた時は『何、言ってるんだ、コイツ』と思いましたけど、リングで果敢に攻めていく姿は最高にカッコよかった。もともと頑張り屋だから最後までスタミナが落ちなかったし、ハードワークできることは何に置き換えても成功への唯一の道。見る人も感動するし、勇気を希望を与えてもらえますよね」とわざわざ会場に足を運び、戦友の初陣を見守ったYS横浜のシュタルフ悠紀リヒャルト監督もしみじみとコメントしていた。旧知の仲間たちの心を揺さぶるような魂のこもった戦いを安彦は見せてくれたのである。

格闘家転身の本当の狙いは?

 そもそも年収1000万円超を稼ぎ出し、東京・恵比寿に住んで金満生活を謳歌していた40歳の男が仕事もカネも全て捨て、裸一貫でJリーガーになったというだけで変わり種だが、長年抱き続けた目標を果たした直後に格闘家という全く未知なる世界に身を投じたことも常人にはあり得ないこと。冒頭の宣言直後には生活面のサポートをしてくれた両親にさえ「どういうことなのか説明しなさい。殴られるのは見てられない」と詰め寄られたというから、彼の行動は計り知れないものがある。

ただ、本人としては「つねに挑戦者で居続けること」が最優先。その表現方法として選んだのが格闘家だったのだ。

「これまで『40歳Jリーガー』『オールド・ルーキー』『年俸120円Jリーガー』を代名詞にしてきましたけど、全て過去の話。『挑戦者であり続けることを一番分かりやすく表現できる術は何か?』と常日頃からサポートしてくれているメンターと一緒に考え、行きついたのが『格闘家』だったんです」

とはいえ、安彦が戦いたいのは朝倉未来や那須川天心のような有名格闘家ではない。今回のイベントをプロデュースした元Kー1王者の小比類巻貴之のようなトップ選手を倒したいわけでもない。一番の相手は「私利私欲の塊になっている今の世の中」。そこに対して、自分なりのメッセージを投げかけたいというのが、一番の狙いなのだという。

「そういう思いを人々に届けようと思うなら、ボコボコにされた顔で『いじめ反対』って行ってる方がインパクトが大きい。オンリーワンの武器を持てれば、今の自分がターゲットにしているRIZINから『出てください』と言ってもらえるかもしれない。独自路線を突き詰めていくのがアビコのやり方なんです」と彼は説明していたが、今回のデビュー戦で確かな一歩を踏み出したはずだ。

試合後のヒーローインタビューでも「RIZINはお願いしても出られるもんじゃない。ぜひ僕にお願いしてください」とアピールを欠かさなかった。そのためにも、もっともっと力をつけなければいけないが、「年俸120円Jリーガー」として一定の知名度と集客力を獲得した彼なら可能性はゼロではない。

格闘家は新たなビジネス形成にもメリットあり!?

 

もちろん、格闘家挑戦だけで生計が成り立つわけではない。Jリーガー時代も相模原市の実家に居候しつつ、両親の軽自動車を借りて練習場を行き来し、横浜市内のヴィーガン・レストラン「きせきの食卓」のサポートを受けるなど、ミニマム生活をしていたが、そのベースは大きくは変わっていない。当時から新聞や雑誌にコラムを寄稿したり、昨年12月に小学館から『おっさんJリーガーが年俸120円でも幸福なわけ』という著書を出すなど、副業も手掛けていたが、サッカー引退後は講演会やセミナー、オンラインサロンなどのビジネスを本格化。新たなビジネスモデルも構築しつつある。

新たな人生を踏み出した彼にとって、格闘技界は格好のビジネスチャンスの場でもあるだろう。前述の通り、今回の試合と参加者は業績好調の起業家がメイン。それぞれの協賛金が集まってイベントが成立している。観戦代も1人5万5000円~11万円(税込)と高額で、100人集まれば1000万円程度の収入になる。格闘家の小比類巻やミノワマンを筆頭に有名選手が何人も集まり、リングアナにはマイケル富岡、ラウンドガールにはシェイプUPガールズの中島史恵、ゲストに元光GENJIの大沢樹生も参戦するなど、かなり豪華なスタッフを揃えていたが、こうした財界・格闘技界・芸能界とのパイプを作れるという意味では、サッカー界よりも大きなポテンシャルがありそうだ。

取材・文/元川悦子

長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。

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