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2021年の景気回復は米英が先行?ユーロ圏、日本などが遅れて回復に向かうマルチスピード型へ

2021.04.21

三井住友DSアセットマネジメントでは、同社のチーフマクロストラテジスト・吉川雅幸氏が中心となって策定した経済・金融市場、投資環境の見通しレポート「吉川レポート」を公開している。今回、「マルチスピード」型の回復と金融市場についてのレポートを公開したので紹介しよう。

景気回復の特徴

今年に入って世界の経済成長見通しが上方修正されている。

これは、①主要国・地域で製造業生産や貿易の堅調さが持続していること、②ワクチン接種の進展が経済再開につながるとの期待が継続していること、③バイデン政権の下での米国の財政政策規模が拡大するとの期待が高まっていること、の3点のため。

製造業生産の回復はグローバルな要素だが、ワクチン接種は米国および英国が先行し、米国の財政刺激策の規模が拡大している。

結果的に、2021年の景気回復は、米英が内需主導で先行し、ユーロ圏、日本、新興国などが遅れて回復に向かう「マルチスピード型」になる見通しであり、当面先行する米国の経済金融情勢がグローバルに大きな影響を与える状況といえる。

インフレ圧力と金融市場

景気見通しの改善に伴い、米国を中心に長期金利が上昇している。

一方、多少の調整やローテーションを伴いながらも株価は堅調、社債のスプレッドも縮小した状態が続くなど、リスク選好的な金融環境は崩れていないと考えられる。

こうした展開が継続できるかどうかは、インフレが中央銀行の許容範囲内に収まり、金融引き締めの前倒しが避けられるかにかかっている。

2020年4-6月にインフレ率が下振れた反動や、経済再開に伴ってサービス価格が一時的に上昇することにより、米国のインフレが2021年4-6月に上振れるのは確実で、一旦は市場が神経質な展開になるとみられる。

しかし米国のインフレの高まりは一時的なものに止まり、2021年後半に向けて落ち着くと予想される。

同社では、米国のGDP成長率が2021年の6%成長の後、2022年には4%を超えると見込んでおり、実際のGDPが供給力(潜在GDP)を超える「需要超過」になる可能性が高まっていると見込んでいる。それにもかかわらず、インフレ加速が限定的と考える理由は次の2つ。

第1に構造変化があげられる。

米国では2018-2019年にも需給バランスが逆転したが、インフレはほとんど加速しなかった。世界金融危機後の約10年の間に企業や家計の行動に変化が起こったものとみられ、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は「企業が賃金コストを価格転嫁しなくなった」ことなどを指摘している。

第2にあげられるのは、米国が需要超過であっても他国はそうではない「マルチスピード型」と呼ばれる回復からくるもの。

すなわち米国で需要超過が発生しても、ユーロ圏や日本では2022年にかけて供給超過状態が続く見通しで、米国に対して物品を多く輸出する事が可能。

言い換えると、米国の需要超過は、経常収支の不均衡拡大の形を取って吸収されると見られる。

長期金利・株価へのインプリケーション

米国で2021年4-6月にインフレが加速しても、次の7-9月以降に低下してくるとすれば、FRBは利上げを急がず、2023年ごろまではゼロ金利政策を維持する(利上げするとしても1回程度)公算が大きいと考えられる。

一方、先物市場などをみると、金融市場はFRBが2022年に1回、2023年には2~3回の利上げを織り込んでいることが分かる。つまり、2021年4-6月のインフレ上振れに、ある程度備えていると考えられる。

以上から、米長期金利はしばらく神経質な展開になると予想されるが、2021年2-3月のような急上昇は一服し、今後は上下を繰り返しつつ徐々に2%に向かって強含む展開となることが予想される。

米長期金利が2%程度への上昇に止まれば、インフレ期待を指し引いた実質金利ではまだマイナスであり、S&P500種指数ベースの予想株価収益率(PER)は20倍台を維持、株価は堅調を維持できるとみられる。

リスクケースとして、長期金利が2%を超える場合は株価が一旦調整すると考えられるため、株価調整をうけてインフレ懸念やFRBの早期利上げ論が緩和すれば結果的に米長期金利は1.5~2.0%のレンジに押し戻される公算が大きいと思われる。

最後に、米国を中心に当面のチェックポイントをあげるとすると、今後1カ月程度の新型コロナウイルスの変異株の広がりやワクチン効果の欧州との比較、家計消費の先行きなどで変わる景気拡大ペース、夏場以降のインフレ指標が予想通り落ち着くかどうか、などが重要な注目点と考えられる。

このほか、政治的イベントリスクとして米中対立と中東情勢・原油価格についても注意しておく必要がある。

関連情報:https://www.smd-am.co.jp/

構成/DIME編集部

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