
IOWN
「IOWN」はNTTが発表した次世代のネットワーク構想で、Innovative Optical and Wireless Networkの略。電子技術を使った半導体やインターネットなどの進化が限界を迎える中、同社は光技術を用いてICTのさらなる発展を目指す。具体的には「光電融合」という光技術を電子に融合したチップを実用化し、光回線だけでなくそれをつなぐ機器まで、すべて光ベースの「オールフォトニクス・ネットワーク」を構築。低消費電力、大容量伝送、低遅延という光のメリットを生かし、電力効率100倍、伝送容量125倍、遅延1/200を目標に掲げている。
膨大なデータ伝送と遅延のない高速処理が低消費電力でできるようになれば、モノも人も社会も、現実をそのまま再現できるほか、様々なシミュレーションができる「デジタルツインコンピューティング」も実現可能になる。さらにこれらのリソースを「コグニティブ・ファウンデーション」という最適化技術を用いて効率的に運用することで、次世代の通信基盤およびコンピューティング基盤を提供する。昨年、インテル、ソニーらとIOWN Global forumを米国に設立しており、2030年の実用化を目指し、研究開発が進められている。
光技術で世界の一歩先を行くNTTだけに、実現すればゲームチェンジャーとなれる可能性も大。自動運転や未来予測などあらゆる革新の基盤となるため、注目度も高い。
IOWNはオールフォトニクス・ネットワーク、デジタルツインコンピューティング、コグニティブ・ファウンデーションの3つの主要技術分野からなる。
「半導体の集積率は18か月で2倍になる」という「ムーアの法則」が限界に近づく中、電子ではなく光技術を使った新しいチップの実現に注目が集まる。
取材・文/太田百合子
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