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今、世田谷代田が飲食業界で熱い視線を集めているワケ

2021.05.01

郊外シフト

 コロナ以前の飲食業界では、くら寿司スシローのように、郊外を中心に展開してきたチェーン店が都心に進出するケースが目立っていましたが、コロナ禍で会社員が都心に出勤せず、自宅もしくは最寄りのターミナル駅の前に作られたシェアオフィスでリモートワークをするようになると、飲食店は都心では売り上げが立たなくなり、串カツ田中てんやのように郊外に逆流するケースが増え始めました。

 今、そんな飲食業界で熱い視線を集めているのが、高所得者層が住む住宅街を背負った郊外駅の周辺で、そうした駅のひとつに、小田急線で新宿から7駅目の世田谷代田があります。

 今回は、世田谷代田駅周辺の急変ぶりを見ながら、飲食店の郊外シフトについて考えてみたいと思います。

 新宿・小田原間に小田急線が開通し、今の世田谷代田駅の場所に駅が作られたのは、今から94年前の昭和2年(1927年)。当初の駅名は「世田谷中原」。

 当時からこの駅の下北沢側は、都心のオフィスに通うホワイトカラーの住宅街で、特に、梅ヶ丘通りに向かって張り出した高台は、斎藤茂吉、萩原朔太郎、古関裕而、菊田一夫、坂口安吾、安岡章太郎といった多くの作家・文化人が住む東京を代表するインテリの街でした。

 が、前の東京オリンピックが開催された1964年、環状7号線が引かれて駅周辺が2分されると、周辺の買い物客は両隣の下北沢・梅ヶ丘に流れ、世田谷代田の駅前商店街は、見るも無惨に衰退したシャッター商店街になってしまいました。

世田谷代田駅周辺MAP

 流れが変わったのは、1977年、コーヒー焙煎と高級食材の店『KALDI』でおなじみのキャメル珈琲が、駅横に本社を開いてから。

 その後、同社は駅周辺の小さな建物を次々に買収し、世田谷代田はキャメル珈琲の街になっていきます。その雰囲気に惹かれたのか、今では、同社とは無関係のコーヒー店が次々オープンし、今では駅周辺に何と8店舗。清澄白河並みのコーヒーの街となっています。

 また、2007年、シャッター商店街の端に、靴修理の『Brass』が開業。どんな靴でも修理を受け付けるこの店は、今では靴愛好家たちの駆け込み寺としてその名が全国に知られ、世田谷代田の地名を知らしめるのに大きな役割を果たしました。その後、代々木から中古ギター販売の『グラスホッパー ギターズ』が移転してきたり、家具職人の南秀治が『0001 Design Office』という家具工房を開業したり、個性的な店がポツポツと誕生。そして2012年から、この南秀治が音頭をとって、駅前商店街全体を巻き込んで、「世田谷代田ものこと祭り」というイベントをスタート。駅全体が、ものづくりの人たちの街に徐々に変貌していきます。

 それと前後して、2013年、小田急線の世田谷代田・下北沢・東北沢の3駅が地下化され、駅近くの線路跡に、東京農大のオープンカレッジと、農大で作った野菜などを売る販売店『農の蔵』、そして都心でイタリア料理店を数店経営するクラノデザインコンサルタントが、大型イタリア料理店『CAFE HELLO』を開業。

 また、コロナ禍の2020年4月には、下北沢との間の線路跡に、プレハブ式の建物5棟を並べ、そこに書店・レコード店・日記帳専門店・ブックカフェといった個性的な物販店と飲食店7店の計15のテナントが入った商業施設『ボーナストラック』が開業しました。

 さらに、コロナ禍の昨年9月、世田谷代田駅のすぐ裏に目黒の『クラスカ』や銀座の『MUJI HOTEL』などの人気ホテルを手がけた小田急の子会社のUDSが35室の旅館『由縁別邸 代田』を開業。

 ここは、箱根・芦ノ湖温泉の源泉から運ばれる湯を使った温泉がウリの純和風高級温泉旅館で、さらにその脇に今年3月、向かいの古民家を改装した付帯施設のスパと、古民家の鳥料理店がオープンしました。

 もともと、世田谷代田駅前から望む箱根方向は、小田急線の線路が真っすぐに伸び、その真上に富士山がきれいに見える富士見スポットでしたが、小田急線が地下化されたおかげで、富士山がさらに際立って見えるようになり、晴れた日にはインスタに写真を上げるために多くの人がやってくるようになりました。駅から徒歩7〜8分のところに、梅と桜の名所の羽根木公園もあり、4月にはさらなる人出も予想されます。

 アイコンだったマーケットが再開発で消え、代わってどこの街にもあるファストフード店が増えて昔からの土着的おもしろさを失ってしまった下北沢と比べると、隣の世田谷代田は、文士の街というもともとのインテリジェンスな雰囲気を残しながら、コーヒーの街、職人の街、富士見の街、といった新たなイメージを手に入れ、さらに高級温泉旅館と複合商業施設という武器が加わり、魅力がどんどんアップしています。

 郊外シフトは、土着のイメージを残したうえに独自のウリが乗った街が狙い目、と言えるのではないでしょうか。

『ボーナストラック』

『ボーナストラック』は、昨年4月、下北沢駅と世田谷代田駅の中間の線路跡に誕生した、2階建ての建物5棟に15の店が入った集合住宅型商業施設。建物に囲まれた中庭には、各飲食店のメニューを持ち出して食べられるテラス席があり、にぎわいが生まれています。少し歩いてでも行こうと思わせる個性的な店舗構成で、各店をハシゴするのもおすすめです。

郊外シフト

【秘訣】郊外シフトはファストフード店がない街へ

取材・文/ホイチョイ・プロダクションズ

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