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日本郵政グループと資本業務提携をした楽天グループ、調達した1499億円の気になる使い道

2021.04.18

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は日本郵政グループから1499億円の出資を受ける楽天グループについて話し合っていきます。

※新型コロナウイルス対策を行っております

日本郵政グループと楽天グループが資本・業務提携。その真意は?

房野氏:日本郵政株式会社と日本郵便株式会社が第三者割当増資による募集株式の引受けで楽天株式会社へ1499億9900万円を出資、楽天グループと郵政グループが資本・業務提携すると発表されました。これについてどのようにお考えでしょうか。

房野氏

石川氏:気になるのは日本郵政グループに大きなメリットがあるのかという点です。

石川氏

法林氏:楽天モバイルではなく、楽天市場も含むグループ全体と捉えるとメリットはあると思うけどね。

法林氏

石野氏:物流を使うという意味では資本を入れなくても提携していますし、共同の物流拠点の構築や、共同の配送システムや受け取りサービスの構築、データの共有やDX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル移行とほぼ同意)、金融面でも連携していくと話してはいますが、それに対して1499億円を支払うのは、ちょっと高すぎかな? って思います。出資しているのは日本郵政グループなのに、なぜか楽天グループ側に優位な形の提携になっているのが不思議なんですよね。

石野氏

法林氏:楽天グループとしては物流システムを自分たちで構築すると宣言しているけれど、まだ十分にできていないところもあるので、全国津々浦々まで商品を届けられるという意味で、日本郵政グループと手を組むのはわかる。ただそれが1499億円、しかも使い途(みち)の多くが基地局建設に向けられるとなると、日本郵政グループ側が本当に出資してメリットがあるのかはわからない。

楽天グループへの出資は国からの救済措置!?

石野氏:日本郵政グループの大株主である、政府や地方公共団体のOKが出ていないと、1500億円あまりもの出資はできないでしょうしね。

法林氏:日本郵政グループって間接的には国民がお金を払ってできたものだからね。

石野氏:これって国から楽天グループへ救済措置をしたようにも見えてしまいますよね。

石川氏:うがった見方をすると、通信キャリア大手3社が値下げしたことで厳しくなった楽天モバイルに対して、国から日本郵政グループを経由してお金が入ったのではと見えてしまうかもしれませんね。

石野氏:なんかモヤモヤする提携ではあります。

法林氏:通信会社の歴史を見てみると、電電公社(日本電信電話公社)から生まれたのがNTTで、KDDIには電電公社から分離独立した国際電信電話(KDD)の資本が入っており、ソフトバンクにはさかのぼっていくとJ-PHONEの存在があり、そのJ-PHONEの母体となった日本テレコムは、元々、日本国有鉄道が設立した会社でした。そう考えると、日本の巨大インフラのひとつ、郵便局、つまり国が楽天グループにお金を出した形とも見えます。

石野氏:郵便事業と携帯モバイル事業の相性がいいのは理解してますけどね。

石川氏:楽天グループと日本郵政グループのタッグは、今回だけの関係では終わらないようにも思います。楽天モバイルがこれからさらに基地局を建設するとなると、まだまだお金が必要になるので、日本郵政グループが追加で出すのかな? そうすると楽天グループへの日本郵政グループの出資比率は上がっていきます。

石野氏:基地局が増えていくたびに日本郵政グループからお金をもらっていくのかな? と思ってしまいますよね。

石川氏:中国のネット大手「テンセントグループ」なども、楽天グループへ別途出資します。

法林氏:その出資を楽天グループが受けるのは、今の国際情勢では正しいタイミングだったかなって思うところがあるよね。

石川氏:対中政策の一環としてアメリカの安全保障を守る目的の「5Gクリーンネットワーク」に現在、日本の4キャリアが対象として入っていますが、もしこれから外れるとなると、楽天モバイルは厳しい立場になってしまう。というのも楽天モバイルは5Gのコアネットワークシステムを世界に販売するビジネスモデルを計画しているわけで、中国企業から出資を受けるという判断は、今のタイミングで果たして良かったのか? ちょっと不安になります。

法林氏:ある意味、楽天モバイルは部分的に国有会社になったとも言えるね。

石川氏:将来的に楽天モバイルは郵政モバイルとか呼ばれるようになるかもしれませんね。

石野氏:楽天ペイもゆうちょペイになっちゃうのかな。

房野氏:一般紙の報道だと「大型提携だ」って騒がれていましたけどね。

石川氏:日本郵政グループの建物に携帯電話の基地局用のスペースを借りられたとしても、楽天モバイルにそこまでプラスになるのかな? とも思います。

法林氏:集配をやっている大きな郵便局は日本郵政のものが多く、基地局を建てやすいけど、少人数でやっている小さな郵便局の上に基地局を建てるのは難しいからね。

石川氏:ビルになっているような郵便局に建てた基地局なら、高さもあり安定した電波を届けられそうですが、町中にあるような小さな局には建てにくいでしょうね。

 それと、IIJが以前、日本郵政と組んでいましたが、あれも売れたという話をあまり耳にしませんでした。はがきを出したり、貯金をしたりするために来局した利用者が、携帯電話を買うかというと、ちょっと難しいですよね。

法林氏:客層が違うからね。足がかりにするのは悪くないですが、通信回線の契約という話になると、簡単ではない。

房野氏:全国の郵便局に米倉涼子さんのポスターが貼られたりするんですかね。

石野氏:宣伝はできるかもしれませんが、この話でおかしいのは日本郵政グループがお金を出しているのに、なぜ携帯電話のショップがすべき業務を引き受けないといけないのかという点です。

石川氏:本来であれば楽天モバイルが日本郵政グループにお金を払って場所を借りて、宣伝用にのぼりを立てたりポスターを貼らせてもらうのが普通のことだからね。

房野氏:では、日本郵政グループは本業とは別に、投資対象として楽天グループを捉えているのでしょうか。

法林氏:日本郵政グループは、楽天グループを通して楽天モバイルへ投資し、株価が上昇したら売却・回収としたいはずですが、日本郵政グループがやっている本来の事業から考えると楽天モバイルに投資するメリットは、デメリットに相殺されてしまう可能性があるんです。

 極論を言うと、投資をしたことでより多くの人がスマートフォンを使い、楽天モバイルの「Rakuten Link」でメッセージをやり取りしたり、キャリアメールまではじめるとなれば、使われなくなっていくのは、はがきや手紙といった郵便そのものだからです。楽天市場の配送業の受託は、日本郵政グループの本業にプラスになるとは思いますが。

石野氏:ただし、物流に関しては資本提携とは関係なく、かなり前から業務提携するといっていましたからね。

法林氏:楽天グループと組んだことで日本郵政グループの配送業務が必ず儲かるかと言うと、デメリットになる可能性も含まれます。「楽天と組んでいるから日本郵政には荷物の集配を頼まないよ」という企業が出ないとは限りません。

石野氏:発表会で三木谷さん(楽天株式会社 代表取締役会長兼社長最高執行役員 三木谷 浩史氏)が疲れているように見えたのが気になるんですよね。資金調達で多忙だったのかなって心配してしまいます。ただ単に、普段の発表会のようにTシャツではなく、スーツを着用していたから、僕がそう思いこんでいただけかもしれませんが(笑)

房野氏:郵便ポストが楽天モバイルのピンク色になったりすると面白いんですけどね(笑)

法林氏:(笑) でも、それも話が逆なんだよね、出資したのは日本郵政グループだから。楽天モバイルのイメージカラーがピンクから赤に変わるというなら、つじつまが合うけどね。

......続く!

次回は、待ちに待ったスマートフォン夏商戦! について議論する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/佐藤文彦

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