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ahamo、povo、LINEMO、20GBの新料金プランは本当に大丈夫なのか?

2021.04.16

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回はサービスを開始した、ドコモ、au、ソフトバンクの月20GBの料金プランについて話し合っていきます。

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動き出した3社の月20GBの料金プラン! 事前告知が足りなかった部分も?

房野氏:ドコモ、au、ソフトバンクがそれぞれ「ahamo」「povo」「LINEMO」の新料金プランを提供開始しました。低料金で月20GBのデータ通信量を各社アピールされていますが、ユーザーは乗り換えるべきなのでしょうか。

NTTドコモ「ahamo」

au(KDDI)「povo」

ソフトバンク「LINEMO」

房野氏

石川氏:キャリアメールや留守番電話サービスといった機能は使えませんが、多くの人にとって安くて優良なプランだと思います。ただし、家族割との兼ね合いだとか、5Gスタート割といったオプションをまだ適用しているユーザーの場合は、あまり料金が変わらずデータ通信量だけ20GBになるので、気をつけなければいけませんね。

「eSIM」の利用が注目を集めていますが、一般ユーザーにとってはまだ、自分で設定するにはハードルが高かったかなと思います。初めての人が使いこなすのは正直言って難しい。まだSIMカードは必要でしょうね。

 あと、特にドコモのahamoですが、契約の時、画面上に注意事項がバーっと表示されてちょっとわかりにくいかなと思います。ソフトバンクのLINEMOは表示がほどよく折りたたまれていて、必要な情報をクリックすれば読めるように工夫されています。

石川氏

法林氏:ドコモは細かい契約内容まで、ユーザーに表示しなければいけないって思いが強いからね。

法林氏

石川氏:それからahamoはオンライン版のdポイントカードを作らなければいけなかったり、以前に契約していたオプションを、申し込み画面で解約しなければいけなかったりと、手続きがちょっと面倒に感じました。

房野氏:LINEMOは比較的スムーズに手続きできましたが、メールが返ってこないなど、キャリアの対応が遅いという問題がありました。

法林氏:LINEMOは、ソフトバンクやY!mobileで契約しているユーザーが、ヤフオク!へ出品していた場合、強制的に出品を終了させられてしまうという問題があったね。

石野氏:Yahoo!プレミアムが外れてしまうので仕方がない気もしますけどね。

石野氏

法林氏:もちろん仕方がないんだけど、問題はLINEMOのページにその案内がなかったこと。そのため、よくわからず申し込んでしまった契約者がLINEMO提供開始のタイミングで、強制終了されたという声が、ネット上に多く上がっていました。

石野氏:これに関してはソフトバンクに同情できるというか、本来はLINEのサービスなのでYahoo!プレミアムが外れるのはユーザーに理解してほしかった部分ではあります。

法林氏:ユーザーとしてはソフトバンクやY!mobileよりもお得に使えるからLINEMOに切り替えたのであって、LINEのサービスだから乗り換えたわけではないんです。

石野氏:もちろんそうなのですが、もともと「LINEのブランドです」という形で始まっているサービスなので、そこに文句はいえないと思いますよ。

石川氏:大事なのは、LINEMOはあくまでソフトバンク内の〝1ブランド〟であるという点ですよね。

法林氏:それがどこまでユーザーに伝わっているかといわれると難しい。LINEMOに申し込む時にはヤフオク!に出品していると強制終了になるとアラートを出しておくべきだったと思う。

「料金プラン」と「ブランド」の違いがわかりにくくユーザーが困惑

石野氏:それでいうと、スタートの時点でドコモが「ahamo」をサブブランドではなく、料金プランの1つといい切ってアピールした弊害が起きている感じがします。

石川氏:ほかにも、例えばオンラインでahamoに切り替えたけど、使っているスマートフォンが対応しておらずドコモショップへ駆け込んだユーザーが、店舗では対応してもらえないといった事態も起きている。もしahamoをドコモと完全な別ブランドに切り離せていれば、起こらなかったはず。これを航空会社で例えるなら、ANAとPeachの関係のようなもので、もし、Peach(格安航空会社のPeach Aviation)の対応が悪かったとしても、(親会社の)ANAに文句をいう人は少ないでしょう。

石野氏:ソフトバンクでY!mobileのサービスを開始した時、ソフトバンクはかなり徹底して別ブランドと強調していました。あれくらい告知しないとユーザーは同じサポートレベルを期待してしまう。

石川氏:今回は構想からサービス開始まであまり時間がなかったけど、ahamoは1年前から準備していたはず。数か月で作ったpovoやLINEMOはよく頑張っているともいえます。

オンライン専用の料金プランを一般ユーザーは使いこなせるのか?

法林氏:3社の月20GBの料金プランの提供開始で、サービス開始初日にサーバーが落ちなかったのはauのpovoだけだったよね。ahamoはMNP受付も止まったし。

石川氏:そうですね。でも、問題がなかったpovoの人気がないというのは皮肉です(笑) 発表会ではpovoが2020年1月に2728円と、通話料を別に分けて低価格をアピール。話題を集めましたが、サービスインは3社のうちの真ん中となってしまい、インパクトに欠けた印象です。ただし、povoの運営が上手だったのは、サービス開始を深夜0時に設定したところ。おかげで出だしにあまり混み合わず、サーバーがダウンせずに済んだのではないでしょうか。

石野氏:povoは告知が少し地味なのかな? と思いますね。ahamoは真っ先に発表して世間にインパクトを与えましたし、すぐ対抗したのがLINEMOという構図だったので、povoは印象が薄かった。

房野氏:正式発表のタイミングも、他社に比べて遅れてしまいましたからね。

法林氏:プラン自体はよくできているんですけどね。難しいのは発表してから実際にサービスインするまでのタイムラグをどう埋めるかです。

石野氏:ahamoとLINEMOって実は2回発表会をやっているんです。ahamoに関しては料金改定があって、LINEMOも2回目で正式名称を発表しました。povoは発表会をやるか迷っていたようでしたが、結局2回目はやりませんでした。

法林氏:僕が聞いた話だと、LINEMOのeSIMをアクティベーションするのにログインが必要なんだけど、SMSが届かず本人確認ができない。だから電話で本人確認が必要になってしまった。事前にその話を知らされていなかったコールセンターは対応に追われて、怒っているらしいよ。

石野氏:povoもeSIMの再発行に電話が必要ですよね。

石川氏:散々オンライン専用だっていっておきながら、チャットで問い合わせると「電話して下さい」という案内が出る。これは良くないですよね。

法林氏:総務大臣の意向に沿って急ごしらえになった印象だけど、オンライン専用でやるといった以上は、完結できる体制を整えないといけない。エラーメッセージなどが出ている時点でだめでしょう。

石川氏:LINEMOがすごいと思ったのは、初日はSMS対応していたものが、翌日にはメールでも手続きできるようになったことです。そんなにすぐ対応できるのかと、驚きましたね。

法林氏:回線が混み合わない午前0時にサービスを開始したpovoは、つくづく賢かったなと思います。

房野氏:各社の広告戦略はいかがですか?

石川氏:LINEMOは10代に普及させようとしているのに対して、ahamoとpovoはデジタルネイティブ世代がメインターゲットになっています。

石野氏:デジタルネイティブ世代っていう表現は、少しふわっとしていますよね。

法林氏:これだけシンプルでわかりやすくといっている割には、「ahamo X(アハモ クロス)」というタイアップ企画を始めたり、少し迷走しているようにも感じます。周知したい気持ちはわかりますけどね。povoは「povo Lab(https://povo.k-digitallife.com/povolab.html)」の開設を発表していますが、こちらの方が実りの有りそうな印象です。

povo Lab

石野氏:povo Labは面白そうですよね。

石川氏:KDDIはただ安くするのではなくて、ユーザーにしっかりと向かい合う努力が見えるのがいいですよね。

本当に注目すべきは月20GB料金プランよりUQ mobileやY!mobile!?

房野氏:月20GB料金プランの登場でUQ mobileやY!mobileの立ち位置は変わりそうですか?

石川氏:UQ mobile、Y!mobileは実店舗で対応する体制なので、大した影響を受けないと思います。povoやLINEMOに興味があるけれど、オンラインでの契約は難しい……そんなユーザーの受け皿になるんじゃないでしょうか。やがて、大容量プランの契約につながっていく、そんな期待もできそうです。

法林氏:UQ mobileやY!mobileを使っている人がインターネットのリテラシーが低いわけではなく、料金体系などをしっかり理解した上で、UQ mobileやY!mobile契約している人が多い印象。

石野氏:もともとはUQ mobileもMVNOでしたからね。

石川氏:あととにかく安いです。今選ぶならUQ mobileやY!mobileではないでしょうか。

石野氏:僕は「超PayPay祭り」でY!mobile信者になりかけてますよ(笑)

法林氏:Y!mobileのほうが先に5Gが使えて、PayPayと紐付いてキャッシュバックが受けられたりと恩恵が強いですかね。

石野氏:あとY!mobileは「Enjoyパック」がかなりお得です。キャッシュバックが豊富で、感覚的にはもはやタダでY!mobileが使えているようにも思えます。

Y!mobile「Enjoyパック」

法林氏:いろいろなサービスを組み合わせていくやり方は、3社の月20GB料金プランより、UQ mobileやY!mobileのサービスのほうが整っている感じです。Y!mobileはヤフオク!といっしょに利用できるので、もっと幅広い層に人気が出てもいいはず。

石川氏:携帯電話会社のARPU(アープ:1人あたりの売上金額)は、月20GB料金プランの契約数が増えると下がるので、果たして本当に月20GB料金プランの契約が増えることがキャリアにとって喜ばしいことなのかは疑問です。MVNOからMNPがあれば、売上増に繋がりますが。
 ただ、5Gのネットワークが整ってきてユーザーのデータ通信量が増えると、やがて月20GBではもの足りなくなります。キャリアとしては月30GBへ安易に増量したりせず、使い放題などの大容量プランに誘導していくのではないでしょうか。

石野氏:僕は使い放題プランにしてからWi-Fiへの切り替えをせずに、データ通信をガンガン使うようになっています。これが一般的になっていくのではないでしょうか。

房野氏:月20GB料金プランはあくまでつなぎのサービスなんでしょうか。

石川氏:そう思います。20GBというデータ容量は総務省が提示しただけのもの。この数字にこだわる根拠はありません。今後、5Gのネットワークやスマートフォンの性能が上がっていくと、データ量が足りなくなるのは明白です。

石野氏:月20GBのデータ量は、思いっきり使うと足りないし、節約すると余ってしまう中途半端な容量ですからね。

法林氏:自宅に固定回線(光回線やCATVインターネット回線など)があるかどうかが分かれ目かな。固定回線があるなら月に20GBもいらないでしょうが、ない人にとってはテレワークなどでオンライン会議を始めると、一気にデータ量が足りなくなるでしょう。

石野氏:povoなんかはそのうちauの通常サービスより安いけれど、店舗でのサポートがない「30日定額」みたいなトッピングを作るのではないでしょうか。

〝ahamoフック〟は本当に悪なのか?

房野氏:ahamoの広告に興味を持ったユーザーにドコモショップが大容量プランを紹介することを〝ahamoフック〟と呼び、各紙で話題になりました。

石野氏:騒動の発端となった記事に関してはちょっと悪意がある気もしますけどね。

法林氏:ahamoで興味を持った来店客に、「5Gギガホ プレミアム」などの月額使用料が高くなる料金プランをすすめる営業がいいか悪いかという話ですが、クルマの営業で例えると、プリウスが欲しくてトヨタの店舗に行った客が、店員の説明を受けてクラウンを購入したようなものです。その営業姿勢を否定する記事内容には、疑問しかありません。

5Gギガホ プレミアム

石野氏:ahamoの商品説明では「オンライン専用プラン」と明記してありますし、にもかかわらず店舗へ質問をしに来た客に、大容量プランなどのサービスを説明する営業の何が問題なのか、さっぱりわかりませんでした。もしも、ahamoの契約ができないようにショップが妨害していたら問題ですが、記事が出たタイミングではまだサービスインもしていませんでしたし、開始後すぐに、ahamoへ切り替えられるようになっていましたからね。

法林氏:客をだましているわけではないですし、正当な営業活動でしょう。これに文句をつけだすと、広告などの販促活動自体が問題になりかねません。

......続く!

次回は、楽天モバイルへの日本郵政の出資について議論する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/佐藤文彦

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