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接続料値下げを前倒しで実現した大手通信キャリア、格安スマホの大どんでん返しはあるか?

2021.04.15

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は格安スマホ各社の料金発表を受けて、今後の趨勢について議論します。

※新型コロナウイルス対策を行っております

接続料や音声卸料金の値下げは予定されているものの……

房野氏:MNO3社のオンライン専用プランに対抗するように、MVNOも新しい料金プランを発表し、値下げしていますが、これについてどう思いますか?

房野氏

石川氏:接続料が下がりそうだから、MVNOはなんとか首の皮一枚つながったけど、まぁ、本当に首の皮1枚というか……。

石川氏

石野氏:接続料があんな一気に下がるんだったら、今までされてきた説明は何だったのかと思いますよね。「トラフィック増加分を精査したらこれだけ下がる」って、今までの計算がどれだけザルだったんだよと。MVNO大手もガサッと値段が下がっている。OCN モバイル ONE(NTTコミュニケーションズ:以下NTTコム)の6GBプランとか、計算したら4割くらい下がっている。それは、接続料が3年で半減するのを2年くらい前倒しすることと、今まで666円だった音声卸料金の基本使用料を限りなく0円に近くして盛り込んでいるから。そうするとこれくらい安くなるという、非常にシンプルな理屈なんです。ただ、音声卸の基本使用料って、卸契約で決まっていたものなので、下げろと言われて下がるものなのか。接続料も、基本的に設備でかかったコストをトラフィック(通信量)で割って決まっていた。トラフィックが大きくなれば安くなっていくのはわかるんですが、見直したら急に半減するというのは、なぞの変数Xがあるんじゃないかと(笑)

石野氏

法林氏:総務大臣関数があるのかもね(笑)

法林氏

石野氏:……という疑念を国民に起こさせる。

石川氏:ドコモは国の言うことを聞く組織になっちゃったから、ドコモはどう考えても接続料を下げる。それにKDDIやソフトバンクも引きずられるんじゃないのかなって気がします。

石野氏:今までの接続料の算定式は何だったのかと。

法林氏:もう、その段階からおかしいわけですよ。ごく一部の人にしかわからないような数式で、接続料を計算していること自体がおかしい。以前は、契約者数が多いと安くなるので、ドコモの接続料が一番安くなるというわかりやすい説明があったけれど。誰がそれを説明するのって話になると、MNO3社は自分ことしかわからないから説明できない、だったら総務省が説明しなくてはいけないんだけど、それを説明する会があるわけでもない。つまり、役人が仕事をしていないんですよ。それをちゃんとさせるのは、まずメディアです。メディアは政治をチェックするのが仕事なので、それをやらなくてはいけない。接続料の算定方式を、ちゃんと理解できるように説明するべき。かつ、もし本当に接続料を下げさせたいなら、トラフィックとか契約数とか、毎年変わるようなものを指標として当てるのではなく、「2050年までに温室効果ガスをゼロに」みたいな目標の中で「毎年5%ずつ下げてください」という風に説明するしかないですよ。今の方法は、もう根本的にやり方が古い。

石川氏:5Gだと接続料での計算はできなくなるだろうし、それで縛られるような料金体系ではなくなる気がする。

石野氏:そうですねぇ。

房野氏:ユーザーにとっては、MVNOの値下げは格安スマホを契約するきっかけにはなりますよね。

石野氏:とりあえず、今、MVNOと契約している人が契約を解除して逃げ出す動機は少し弱くなったかな。

石川氏:1月以降、MVNOが新料金プランの発表を一生懸命やっていたのは、今いるユーザーに逃げられないため。声明を出したって感じ。

石野氏:ahamoなどがスタートする3月前に発表した。

房野氏:MVNOはあんなに安い料金プランで利益を確保できるものなのでしょうか。

石川氏:話を聞くと、接続料も下がるので、なんとかなるという話をしています。例えば、IIJは法人向けの携帯回線数を結構持っているので、法人契約を増やそうと思ったら帯域がたくさん必要になってくる。コンシューマ向けの料金を少し安めにして回線数を増やし、全体のボリュームを上げていくという方法を採っている。MVNOそれぞれで考え方があると思うけど、大変そうだなと思います。

法林氏:純粋にコンシューマだけを相手にしているMVNOは結構しんどいと思うけど、法人事業の裏付けがあれば、IIJしかり、関西だったらオプテージのmineoしかりですが、生き残れる感じがする。

石野氏:今残っているMVNOは大手通信事業者の傘下か、もともと通信で実績のあった大企業の通信部門かという感じになっちゃっている。シェアの多いIIJ、OCN モバイル ONEのNTTコム、オプテージ、ビッグローブなどは、ほとんど大手傘下か関西電力という超大企業のグループ会社。本来、総務省がMVNOを始めた頃に思い描いていた仕組みとは、なんかちょっと違うんじゃないかな、という気がしないでもない

法林氏:例えば、ヨーロッパはメインキャリアが各社ある中で、いろんな国にまたがって使えるMVNOがあるし、よく見かけたのはスーパーのブランド。日本でいうと西友とかイオン、昔だったらダイエーみたいな、ああいうスーパーのブランドのMVNO。また、コンビニとかガソリンスタンドが運営するMVNOもある。日本の今の電気がそうですよね。本当はMVNOもバリエーションがあってもいいんだけど、日本の携帯電話サービスは、ショップがあって、端末が壊れて持っていったらなんとかしてくれるという、あまりにも手厚い環境が整っている。だから、ヨーロッパのようにはならない。あちらはショップに店員が1人しかいなくて、応対してくれるまで1時間外で時間を潰していた、みたいなことが普通にある。

石野氏:イオンモバイルがそれに当てはまる。

イオンモバイルの4月1日に始まった新料金プラン

法林氏:近いですね。もっと評価されてもいいと思う、新料金プランのギガの刻みも。

房野氏:ほぼ1GBずつ刻んでいますね。

石川氏:あれをユーザーが選ぶのは簡単じゃない(笑)

石野氏:プラン設計を放棄しているというか、ユーザーに丸投げしている感じがする(笑)

法林氏:でも、イオンにとって苦にはならないそうですよ。イオンが取り扱う商材の多くが、価格を細かく刻んでいるのが当たり前で、そんなにストレスはないという話です。

石野氏:楽天モバイルは楽天、LINEモバイルはLINEという異業種から参入したMVNOだったんですけど、片方はMNO、片方は通信キャリアの傘下になってしまい、そしてLINEモバイルはソフトバンクの完全子会社になって、まぁ、なんかうまくいかないなと。

石川氏:海外の場合だと、アメリカだったら移民してきた人たちを対象にしたMVNOがある。また、KDDIアメリカのように、アメリカにいる日本駐在員向けというような外国人向けのMVNOがあったりする。日本にはそういったMVNOがなくて、とにかく料金だけの競争になっちゃっている。

石野氏:日本はダイバーシティが足りないんじゃないですか(笑)

気になるOCN モバイル ONE、NTTコムの動向

石川氏:OCN モバイル ONEがちょっと中途半端な発表になっちゃったなと。発表会をやるっぽい雰囲気があったのに、結局はやらずに終わってしまった。

石野氏:告知していた料金以外の“プラスα”も消えてしまった。

法林氏:発表会が直前で中止になり、新料金だけのリリースで終わった。NTTコムはMVNE、つまりNTTの回線を供給するイネイブラーとしての活動を増やすというのは以前から言われていたけど、うまく行きますかね、とちょっと思う。MVNO各社の発表では、IIJとmineoががんばった感がすごく伝わってきた。あとはKDDI系列だけどJ:COM MOBILEには安定感があると思う。

石野氏:NTTコムの料金は結構安かったですよね。

法林氏:発表会をできなかったのが残念だった……これはちゃんと言っておこう。ユーザーが「IIJは安い」と思ってIIJmioを選んだり、「関西電力だから」といってmineoを選ぶとかあると思うんですよ。みんなそれぞれ理由があってMVNOを選ぶと思うけど、OCN モバイル ONEが選ばれる理由って、料金じゃないし、ネットワークの信頼性は、まぁ半分くらいはあるかもしれないけど、ほとんどgoo Simsellerがセットで売っている端末の安さで選んでいると思う。それは正当な評価としていいのかと思うわけですよ。

goo Simseller

石野氏:NTTグループのキャッシュバック部門(笑)

法林氏:いや、本当にそうなんだよ。本当にキャッシュバックのためだけにやっている感じ。で、以前は契約して6か月だっけ、回線の最低利用期間のルールがあったけど、それを過ぎれば解約してもいい。

MVNOが狙うべきはMNOの段階制プランユーザー?

房野氏:接続料値下げでMVNO、格安スマホは、みなさんから見て生き延びたという感じですか?

石野氏:延命かな。

法林氏:絞り込まれて生き延びる。たぶん、しんどいところは出てくる。

房野氏:これからMVNOが攻勢に出るという可能性は? 延命した先に回復の兆しはあるでしょうか。

石野氏:うーん、どうかな……今のあのプランでユーザーをMNOからがっつり奪ってくるというようなイメージは抱けなかったな。

法林氏:今の改訂されたMNOのオンライン3ブランド、値下げされたメインブランドの料金が高いと感じるような風潮が世の中に出てくれば、MVNOがもう1度脚光を浴びる可能性はある。「値下げしたけど、やっぱり携帯電話料金は高いよね」と言われ始めたら生きる道はあるけど、現状では、とりあえず止血するレベルでしかない。

石川氏:解除料やMNPの手数料が0円になった影響が大きいと思う。去年までは、例えばソフトバンクからY!mobileに移る時に、解除料という高いハードルがあった。「だったらY!mobileよりも安いMVNOにしようかな」という動きがあったけど、今は解除料が取り払われたので、ソフトバンクからY!mobileに移行しやすくなった。あれがMVNOにとってはちょっと逆風。

石野氏:そうですね、ユーザーを大手キャリアから獲得しにくくなっちゃいましたよね。

石川氏:だからメインとサブの間の解除料をやめさせた武田総務大臣が悪いなと(笑)

房野氏:違う方向でMVNOが生き延びる方法はないですか?

法林氏:「MNOの解除料は0円にしなさい、MVNOは1年間は解約期間に縛りがあってもいいです」くらいの優遇をしないと難しいと思う。接続料も、例えばMVNOの言い値で通させるくらいの優遇策を採らないと。でも、それができていない。

石野氏:可能性があるとすると、MNO3社ともメインブランドに謎の低容量プランというか、あまり使いどころのない段階制プランが残っていて、あれが割高なんです。あそこのユーザーをうまく囲い込むという手はあるかなと思います。

房野氏:あそこは狙い目ですね。

石川氏:狙い目だけど、低容量プランを契約している人って、たぶん、リテラシーがそれほど高くないし、めっちゃ腰が重い。「私はあまり使わないので、容量は少なくていい」と言いつつ、高い料金を払わされている人たちだと思われるので、なかなかMVNOに行く感じがしないんだよね。

石野氏:それをうまく誘導するのがドコモのエコノミーのカテゴリかもしれない。「ドコモの仲間ですよ」と見せることによって安心感を与えて、低容量プランの人たちの背中を押してMVNOに行かせるための施策だったかもしれないんですけど、“諸事情”でできなくなったのが残念だな、というところですかね。

......続く!

次回は、月20GBプランの是非について話し合いする予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/房野麻子

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