小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

武田総務大臣とNTT澤田社長との会食は4大キャリアの競争原理に背くものだったのか?

2021.04.14

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は武田総務大臣とNTT澤田社長の会食について議論します。

※新型コロナウイルス対策を行っております

疑惑がなくならない「会食」

房野氏:NTTによる総務省関係者の接待問題の件。武田良太 総務大臣とNTTの澤田 純社長たちとの会食はあったということになりましたね。

武田良太 総務大臣

日本電信電話株式会社 代表取締役社長 澤田 純氏

房野氏

石川氏:NTTの中に調査委員会が立ち上がっているので、そこで何が報告されるか……注視したいといったところでしょうか。

石川氏

房野氏:武田大臣の不信任決議は否決されましたし、お二人とも辞任という感じにはなっていませんね。騒動もちょっと落ち着いた感すらあります。

石野氏:澤田社長はまったく辞めるつもりがなさそうですし。

石野氏

石川氏:谷脇さんを辞任に追い込んだことを考えると責任はとらないとねぇ。

石野氏:その気配はまったくない。

法林氏:まったくないよね。

法林氏

石川氏:辞めろと言える人もいないし。

法林氏:前任者である鵜浦さん(NTT相談役の鵜浦博夫氏)が諫める以外、手はない。でも、その前任者が関与しているなら難しい。

石川氏:この座談会でも去年の段階で、「NTTドコモの完全子会社化がすんなり決まってどうなんだ、気持ち悪いなぁ」って話をしたけれど、「料金値下げが総務省との交換条件だったんだ、そうなるとどちらもWin-Win」と指摘していた。彼らが実際に話し合っていたかどうかはわからないけど、同じタイミングに会食があった事実はある、ということだと思います。

 今回の件(NTTドコモの完全子会社化)は、NTTが中心になって事を進めた、たぶん、NTTグループ内で快く思っていない人がいただろうと思います。情報元が「クラブノックス」という、NTT都市開発のグループ会社が運営しているということもあり、たぶん、NTTグループ内で情報が流出したのではないかな、という推測が成り立つ。

石野氏:誰が何を食べて何を飲んだか、ワインの銘柄までわかっている。普通に考えて、内部の人しかわからないじゃないですか。当事者ですら忘れていることもあるレベルの話。

 ただし、報道では表向き、総務大臣や総理大臣がメインターゲットに見えるんですけど、よくよく見ていくと、澤田さんを狙っている感がある。おや? と思う疑問点が結構ある。例えばドコモの関係者がほとんど挙げられていないとか。

石川氏:そうなんだよねぇ。

法林氏:発端は2006年のNMPが導入される時。総務省の担当者は谷脇さん(元総務審議官の谷脇康彦氏)で、総務大臣は菅さん(菅義偉内閣総理大臣)だった。その谷脇さんが一度外れて、戻ってきたのが今から2年前あたり。その頃から携帯電話料金の値下げの話が出て、NTT持株としては、大義名分として5G時代には全社で取りかからないとダメだというシナリオで、「ドコモの株を買いましょう」と展開していった気がします。

石川氏:本来はモバイル(ドコモ)が上に立ってNTT全体をまとめていく方がいいと思います。もちろん、NTTには様々な事情があり、ドコモがトップになるのは無理な話。でも、全国にドコモショップがあり、携帯電話のユーザーはドコモへの接触機会が多い。だけど、結果としてNTT持株がトップに立っている。それを快く思っていない人もいるんだろうなぁと。

法林氏:以前から話をしてきたけれど、NTTグループは……持株もドコモもそうだけど、一枚岩ではない。いろんな派閥がある。その中には、澤田さんがドコモをコントロールしようとしていることを快くないと思うグループもあるはずです。

石野氏:澤田さんは都合良く「NTT」という言葉と「当社」という言葉を使い分けているようにも聞こえました。。予算委員会に参考人として出席した時には「(武田総務大臣を)当社からお誘いしたわけではない」と言った。報道でも「ドコモの社外取締役が呼んだ」と書かれていたりと、確かに持株当社は関与していないよなと。報道が事実だとしてもギリギリ嘘にはならないけど……と思いました。

法林氏:「疑念を抱かれるような会食に応じたことはない」と言う大臣もいるからね。

有識者会議は成果を出していない

法林氏:この十数年間、日本の通信行政に関わってきた谷脇さんが、結果的に2020年3月半ばに退職した。異論を持つこともあったけれど、SIMロック解除やキャッシュバック抑制など、一定の成果は得られた。ただ、お金のこととか接待のこととかを含めて、総務省のやってきた通信行政が正しかったのか検証する必要がある。

 思い出すのが一昨年の「違約金1000円」のアンケート。明らかにおかしなやり方だった。全体の数%しか「YES」と言っていないのに、あたかも大多数を占めたように説明した。

石野氏:そこは谷脇さんの思惑というより、どちらかというと官邸色が強かったというか。

石川氏:谷脇さんが途中で抜けていた時期もあるけれど、十数年間やっている総務省の有識者会議の議論では値下げにつながらなかった。法林さんがおっしゃったように、解除料の値下げもアンケートで決まっているし、メインブランドの値下げは武田総務大臣の発言から。ドコモの料金がahamoで安くなったというのも会食がスタートかもしれない。

 総務省は今回の件を受けて、上層部がごそっといなくなる可能性があり、今、変わらなきゃいけないと思います。13年間の過ちをいったん否定して、まったく新しい総務省として立て直し、これからの日本の通信をどうするか考えていく必要がある。

石川氏:有識者会議も官僚が書いた台本に沿って話が進んでいくもの。それに説得力を付けるために大学の先生とか団体の偉い人が参加して議論している。こういった仕組みを変える必要があるだろうし、通信行政に関しては、総務省から分離して別機関にするべきなんじゃないかなという気もする。

官僚としての認識が甘かった?

法林氏:10万円の接待で、今までの努力をすべて否定されて、谷脇さんが辞職するのは可哀想かな? と思ったけれど、退職金が5000万円支払われると聞いて、「う〜ん」って。

石野氏:でも、事務次官になれるとウワサされていたのに、途中で退職するのは心残りでしょうね。

石川氏:〝脇が甘い〟って報道されていたけれど、本人が悪いことをしていると認識していたら、安易にブログへ書きこまないよね。

石野氏:そうそう、谷脇さんは自分のブログで結構、スケジュールをオープンにしていた。総務省はその辺りが緩いと、いろんな記事で指摘されていました。経産省などと比べると会食の届出が少ない。その辺の感覚が他の省庁と比べてもズレていたのかなと。

法林氏:世の中に接待は存在するけれど、お役人さんは「利害がある人はやめましょう」というのがルールだし、決まっている以上、それは守ろうよ、というところ。

石川氏:「谷脇不況」という言葉があるくらいですから、谷脇さんの施策によって冷や飯食わされている人もいるわけですよ。そういう背景もあるし、ahamoが、接待の場での根回しで決まったとしたならば、それに引っ張られてKDDI、ソフトバンクも辛い状況になった。まさに通信行政が歪められたという疑念を持たざるを得ない状況になってしまったのが、残念ですね。

法林氏:良くないよね。筋が悪い話だよね。

石川氏:しかも、新料金がスタートする直前のタイミングでね。谷脇さんの悲願だった値下げを、こういった形で見ることになってしまった。

石野氏:谷脇さんが望んでいた形の値下げなのかは疑問がありますけどね。「こういうんじゃなかったんだけどな」って、思っていたんじゃないかな。競争促進の結果では全然ないから。

 でも、強権発動により今回のahamoやLINEMOといった料金プランが誕生し、短い期間で変更が相次ぎ、サービスインで混乱が生じたことを考えると、強権を発動するなら、きちんと方針を決めてからがいいなと思いました。

石川氏:ちゃんとわかっている人が発動しないとね。

......続く!

次回は、通信キャリア各社がスタートした新料金プランについて話し合いする予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/房野麻子

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2021年10月14日(木) 発売

DIME最新号の特別付録は「4WAYポータブルランタン」! 特集は「行列店に学ぶヒットの法則」、「iPhone 13」

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。