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フレグランスショップNOSE SHOPが香りを言語化するAIシステム「KAORIUM」を期間限定で導入

2021.04.13

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

言葉を「軸」として、好きな香りを見つけることができる

2017年にオープンし、国内に6店舗を構える「NOSE SHOP(ノーズショップ)」は、「ニッチフレグランス」と呼ばれる、こだわりの強い個性的なフレグランスを集めた香りのセレクトショップ。

ニッチフレグランスとはファッションブランドやラグジュアリーブランドが出している一般向けの香りとは違い、香水に関する対概念、カウンターカルチャー的な立ち位置で、20年ほど前から世界的に盛り上がっているムーブメント。高価な素材を使ったり、コンセプトにこだわりがあったりと作り手の熱量が高いのが特徴で、ノーズショップでは世界12カ国から40ブランド、約600種類を扱っている。

ニュウマン新宿にあるNOSE SHOP新宿と、東急プラザ銀座にあるNOSE SHOP銀座の2店舗にて、5月5日まで限定イベント「NOSE SHOP×KAORIUM ―超感覚”嗅覚”体験POP UP―」を開催している。

今イベントでは、デジタライゼーションによって新たな顧客体験を提案する、共創型の香りのビジネスデザイン集団「SCENTMATIC(セントマティック)」が開発した、香りを言語化するAIシステム「KAORIUM(カオリウム)」を店舗に期間限定で導入。次世代の新しいスタイルの香水選びを体験することができる。

カオリウムは香りと言葉を相互に変換するAIシステムで、曖昧で捉えにくい香りの印象を言葉で可視化したり、言葉に紐づく香りを導き出すことを可能にする。言葉と香りをつなぐ新体験はフレグランスの世界だけでなく、飲食体験や購買体験など様々な分野に新しいビジネスチャンスを生みだすと、その可能性には期待が寄せられている。

ノーズショップを運営するBIOTOPE INC.代表取締役社長の中森友喜さんと、セントマティック代表取締役社長の栗栖俊治さんに、今回のイベントについて話を伺った。

中森さん「日本は世界から見ると“香水砂漠”と言われるほど、香水ユーザーが増えない不毛の地。そんな中でも私たちは香水ユーザーのすそ野を広げていきたいと思っているが、フレグランスはわかりづらい、高級感がある、手を出しにくいというネガティブなイメージがある。そうした意識を払拭して、自由で気軽にとっつきやすい、香りを楽しむ空間にしたいと店づくりを行っている。

ノーズショップは4年前にスタートした、フレグランス業界では新参者のプレイヤー。ニッチフレグランス自体が新しいムーブメントなので、後乗りした自分たちからすると、香水を表現するパウダリーとか、アーシーといった言葉は、『わかりにくい』『なにか違う』と感じていた。こうした呪文的な言葉があるから逆にハードルになるのではないか?と。

そういう概念を壊したいと、難しいことを考えずにたくさん香りを嗅いで、好きか嫌いかの二元論でまず選んでもらうということを提案してきた。しかし、好きか嫌いかの単純化した選び方を提案しつつも、別のアプローチがあるのではないかと感じていて、その思いは4年間蓄積していた。

香りを販売するうえで難しいのが嗅覚は言葉で表しにくいということ。香りの表現を言語化しづらいことがお客様とのコミュニケーションの難しさを感じていた。ストロベリーの香りというような素材そのものを表すとか、抽象的な表現しかなく、その解決策を模索している中で、偶然ネットで見つけたセントマティックのプロジェクトを拝見して今回のイベントが実現した」

栗栖さん「弊社は香りや風味をDX(デジタルトランスフォーメーション)と融合させて香りの新しいビジネスをデザインしている。香りは目に見えない曖昧な存在で、自分もフレグランスを選ぶとき、なんとなく好きか嫌いでしか判断できず、そんな曖昧な感覚で2~3万もするフレグランスを選ぶのは非常に難しいと感じていた。

同じ香りでも好き嫌いがあり、甘いと感じる人も草ぽいと感じる人もいる。作り手がこの香りはこういうものと定義しても、同じことを消費者が受け取るとは限らない。提供者側にとっても香りを伝えるのが難しい、つまりはマーケティングが難しい領域ということ。

この点の課題解決として開発したのがカオリウム。カオリウムは人々の香りの感じ方をAIが学習してわかりやすく言葉で表現できる存在。言葉を通すことでの感じ方が変わり、香りをわかりやすくするということは、共同研究をしている東京大学の東原(和成)教授からエンドースメントをいただいている。

カオリウムは人々の様々な感じ方を表示したうえで、あなたはどう感じますか?と消費者の感性に寄り添う。なんとなく選んでいた購買体験から、これだ!という自分にぴったりの香りにたどり着ける購買体験を実現する」

中森さん「香水初心者の方にはまずは好きか嫌いかで選んでいただくが、香りの世界に一歩踏み入れるとそれだけじゃ物足りなくなるので、そういう方にどのような楽しさを提供できるかを考えていた。

ローズとかラベンダーというのは素材切りであって、感覚切りという新しい軸で選ぶと香りの捉え方が立体的になっていくので、好みの香りが発見しやすいかもしれない。フレグランスの専門家が作る言葉の概念はどちらかというと素材からスタートしているので、カオリウムの言葉を軸とした切り口は非常に新鮮で、今までの概念を破壊する新しい様式だと感じている。

香水はトップの天才調香師が作るヒエラルキーの世界だが、カオリウムはそのヒエラルキーを壊すような、AIの集合知を使って香りを選んでいく民主的な方法でもある。実際に香りの世界でもAIは取り入れられつつあり、初めて香水を選ぶというお客様にも、このデータが指針となって提案の幅が広げられる」

栗栖さん「カオリウムでは、自身が感じる香りのイメージに近い言葉を選択していくことで、好きな香り選びのサポートをするが、これらの言葉はノーズショップの顧客から抽出した5000件を超える主観データをAIが解析して言語化した。言葉と香りをつなぐことで嗅覚の解像度が高められ、香り選びの新機軸を生み出される。

この体験はフレグランスにとどまらない。味わいの95%は嗅覚で感じると言われており、日本酒、ウイスキー、ワイン、チョコレート、お茶などの風味の領域までカバーしていく。これらは国内で2.5兆円をこえる市場規模であり、我々のDXで嗜好品分野に商品トレンドを新しく起こして、市場を活性化させ、消費者が様々な嗜好品をより楽しめる機会を創出したい」

中森さん「実際にお客様が購入するコンバージョン(購買率)は香水の場合1~2%。しかし、悩む時間も幸せな時間なので、私たちはコンバージョンの低さも好意的に捉えているが、何種類も香りを嗅いで選ばなくてはいけないことに苦痛を感じる方もいる。短時間でサッと買い物を済ませたいという方々に提供できる方法がカオリウムだと思う。既存の業界にいた人間では発想できない斬新で新鮮なシステムでありながら、そうだよねと納得できる取り組み。今回は期間限定イベントで、人気の20種類から選ぶミニ版体験だが、将来的には店で扱っている全種から選べるようなシステムを実現できればと」

【AJの読み】“別世界を映す青く滑らかなガラス玉”

カオリウムを体験してみた。最初に自分が香水に求める、香りをイメージした言葉を選ぶ。私は「静かな」「深みのある」をチョイス。20種類の中からこの言葉のイメージに沿った香りがいくつかセレクトされ、そこから好みの香りを3つ選び出す。選んだ言葉と香りから“言葉のマップ”が表示され、共通するキーワードが導き出される。私の場合は「個性的な」「刺激のある」「渋みのある」「静かな」「色っぽい」「お茶目」。

なんとなくこれが好きと選んだ中から、なぜ好きなのか言葉と気持ちを紐づけて、深掘りしていく。結果的に好きな香りを3つ選んだときに、AIが「あなたの香りから見える景色」として言葉を提示。私の場合は“別世界を映す青く滑らかなガラス玉”。

ノーズショップでは、香水初心者にはセオリーとして優しい香りから勧めるそうだが、カオリウムを使えば、初めてでもその人の方向性がわかって、おすすめを選びやすくなるメリットがあるという。

カオリウムでは普段、香水を使っていない人が、玄人好みのセレクトをすることもあるそうで、意外な結果が出てくるのも妙味。男性でも可愛らしい言葉や花の香りが好きと出ることもあり、自分でも意識していなかった気づきを得られることもありそうだ。

私が選んだのはABEL「グリーンシダー」、LABORATORIO OLFATTIVO「サクレステ」、SON VENIN「ポストヒューム」。私はフローラルや甘い香りが苦手で、選ぶのはウッディなアロマに近い感覚の香りばかり。カオリウムの結果でも、「グリーンシダー」や「サクレステ」のようなシダーウッドの香りを選んだのは、好みの香りと言葉が一致した結果だが、最後まで迷った「ポストヒューム」は、甘いけれど甘ったるさのない香り。甘い香りは好きでないがスパイシーな香りの要素を含んでいればOKとか、樹脂のお香「フランキンセンス(乳香)」が好きということが、カオリウムの結果から見えてきた。

NOSE SHOP新宿にはオープン当初から幾度となく足を運んでいるが、購入したのは1回だけ。たくさん香りを確かめているうちに、香り酔いというか疲れてしまい、結局選べずに終わってしまうというパターンだった。

今回はカオリウムから好みの方向性が見えたので、それを基にいつもなら選ばないであろうタイプも含めスタッフの方が提案をしてくれた。そこから発見したのがニッチな調香師として知られるアンディ・タウアー氏の「タウアー・パフューム」。「究極のインセンス」(オリエンタル/ウッディ)と、「モロッコの砂漠の風」(オリエンタル/スパイシー)を、早速、好みの香りリストに加えた。

文/阿部純子

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