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コロナ禍で入社した新入社員は例年よりイキイキしているように見える理由

2021.04.11

コロナ禍入社の新入社員は、例年よりもイキイキしている!?

2年目を迎えるコロナ禍の最中、新年度を迎えた。今年も多くの新社会人たちが、期待と不安を抱えながら、それぞれの就業先で奮闘しているに違いない。

彼・彼女たちが組織の一員となっていく過程は、果たしてこれまでと同じものなのだろうか。また、新入社員の受け入れを行う職場はどのような心構えをしておけば良いのだろうか。

本稿では、リクルートマネジメントソリューションズが約 6 年間にわたり収集した新入社員のコンディションデータの分析結果を紹介するとともに、2021 年度の新入社員を受け入れるポイントについて考察していく。

入社後1年間の月別コンディション推移(累計)(図表1)

図表1は月別の5段階の総合判定による各コンディションが占める割合である。コンディションは良好な順に、「イキイキ」「イキイキ(要注意)」「モヤモヤ」「ギリギリ」「ヘトヘト」である。コンディション判定は、モチベーション、負担感に関する自己申告のサーベイ結果をもとに図表1右下の総合判定によって行った。

年度の後半になるにつれて徐々にコンディションが良好な社員の割合が減少している。具体的には、コンディションが良好な社員の割合は、4月には93.8%なのに対し、年度の後半になるにつれて徐々にその割合が減少し、3月には78.2%まで減少する。

⇒一般的に入社直後(4~6月)のケアが重要視されるが、新入社員のコンディションはそれ以降も悪化する傾向があるため、年間を通したケアが必要であるといえる。

コンディション悪化回数4~6月と7月以降の関係(図表2)

図表2は(「ヘトヘト」「ギリギリ」「モヤモヤ」のいずれかになった状態を悪化していると定義し、入社後3カ月間4~6月)で状態が1回も悪化しなかった群と1回以上悪化した群で、7月以降の9カ月間で状態が悪化した回数を比較したものである。

入社後3カ月間におけて1回以上悪化した群の方がその後も悪化する傾向にある。入社後3ヵ月間で1回も悪化していない社員が、その後の9ヵ月間で悪化する回数は平均1.2回であるのに対し、入社後3ヵ月間で1回でも悪化した社員は平均4.4回である。

⇒入社後3カ月間は、集中的なケアが求められる。
⇒図表1、2から、入社直後3カ月間のケアはこれまで通り重要であることに変わりはないが、状態悪化者に対しては、通年でケアする重要性が示された。

コンディション推移の年度間比較(図表3)

2015年から2019年までは図表1に示した全体データでの結果と同様に徐々にコンディションが良好な社員の割合が減少している傾向があり、年度間での大きな差異はない。

2020年においては、例年に比べて同月のコンディションが良好な社員の割合が多く、悪化する社員の割合が少ないことが分かる。2月度で比較すると、2020年度はコンディションが良好な社員の割合が85.6%と過去最高である。

⇒2020年度の新入社員が新型コロナウイルス感染症対策による就業環境の変化の影響を強く受けたことを表している。

負担感尺度の年度間比較(図表4)

負担感の各尺度は2019年までは似た傾向である。例えば、「仕事のプレッシャー」は通年で高く、それ以外の尺度は4月から3月にかけて上昇していく。

2020年は、「働く環境」や(「周囲のサポート」に関する負担感が例年に比べて上昇しにくいことが特徴的である。

⇒リモートワークやオンラインでの研修が多かった2020年度の新入社員が、オンラインでのコミュニケーションに十分に適応できているだけでなく、同僚や上司と会わないことでこれまでにあった職場での気疲れが軽減していると考えられる。

モチベーション尺度の年度間比較(図表5)

モチベーションの各尺度も図表5の負担感と同様に2019年までは似た推移であるが、(「将来展望(今の会社・仕事を通してどれだけ自身が成長・活躍できると感じているかを表す尺度)」については、2017年以降は2016年以前に比べて下がりにくくなっている。

⇒2017年以降は2016年から本格化した新卒採用の売り手市場で内定を多く獲得した先輩の姿を見て就職活動に臨んだ世代であり、入社自体への満足度が高い層が増加し、将来への不安が減少した可能性があると考えられる。

2020年は(「将来展望」を含むほとんどの尺度で前年の2019年と似た傾向であるが、「成長実感」については、例年4月が最も高く、3月にかけて低下していくのに対し、2020年は4月の値が相対的に低く、その後大きな変動は見られない。

⇒4月の値が例年に比べて低いのは、オンライン研修が多く、職場でのOJTを通じた働くことへの実感を十分に得られていないからではないかと考えられる。

⇒2020年の大きな環境変化は、負担感についてはポジティブな影響を与えた一方で、入社直後に経験すべき(「成長実感」を十分に得ることができないというネガティブな影響ももたらした可能性がある。このことから、2020年はこれまでの新入社員が通過儀礼のように直面してきた「壁」を経験する機会が少なかったことが推察されるため、将来的にどのような影響が出てくるのか、今後も注視が必要である。

調査担当研究員のコメント2021年度入社の新入社員受け入れのポイント

<調査担当研究員>

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRアセスメントソリューション統括部 アセスメントサービス開発部
研究員 近藤栞奈氏

リクルートキャリアに新卒入社。数百社の多種多様な企業の採用支援を経験後、同社の人事を経験。主に新卒・中途入社者のオンボーディング施策を担当。2017年より現職。オンボーディングやマネジメント支援のSaaSサービスを中心に、マーケティングやカスタマーサクセスなど一連の企画開発に従事。

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRアセスメントソリューション統括部 アセスメントサービス開発部
データサイエンティスト 宇野 渉氏

大手電機メーカーの研究所にて、データ解析技術を活用したUXやナレッジマネジメントの研究と新規事業企画を経験後、2019年より現職。データを活用したプロダクト/ソリューションの開発、HRデータ分析のコンサルティング、データ分析基盤の構築など、データに関わる業務を幅広く担当。

テレワークが浸透した企業も多いなかで迎える2021年度入社の新入社員受け入れの2つのポイントを解説します。

1点目は、新入社員の入社後適応期間(オンボーディング期間)と経験のデザインの見直しです。先行研究で入社3年目までの支援の重要性は多く語られてきました。2020年はこれまで1年目に想定していた経験ができず、2年目以降で経験することになります。

これは自律的に働けるまでに必要な期間が長くなることを意味します。入社2年目以降の経験のデザインを再検討する必要があるでしょう。入社後適応期間の経験のデザイン見直しにあたっての重要な観点は、新たな働き方にともない、若手社員が新たに力を発揮できる仕事も生まれていることです。そうした側面にも目を向けながら、成長の定義や、成長に向けた経験のデザインについても合わせて見直しを行う必要があるでしょう。

2点目は、人事データの積極活用です。テレワークなど新入社員の状況が見えにくい環境では、コンディションを把握するサーベイ結果などの人事データは個人や集団の状況を可視化し、その状況に至った要因を把握する有用なツールとなり得ます。

また、人事データを用いて個々人の状態をきめ細かく把握することは、昨今の若者の(「自分のことを理解し、自分にあった丁寧な指導やフォローをしてほしい」という価値観にも沿うものといえます。これまで経営や人事部門のみが全体施策の検討のために利用していた人事データを、職場の上司が職場でのマネジメントツールとして活用することをお勧めします。

以上のように、2021年度入社の新入社員の受け入れには、職場や働き方の変化を踏まえた育成プランの設計と関係者の巻き込み、互いの価値観を理解し合うための時間をかけた(「働きかけ」や(「支援」が鍵となりそうです。

出典元:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

構成/こじへい

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